図書室ではお静かに
前回のあらすじ
執事よりメイドの方が高性能
「やっぱりメイドだよなぁ。」
「「「待ってください!!」」」
シャルロットマーニュ学園
物凄く広い学校で敷地面積は東京ドーム約20個分あり騎士科棟、魔術科棟、冒険科棟とそれぞれ の学生寮その他にも運動場やプール、剣術道場などが完備されている。
そのうちの1つ、 魔術科棟にある図書室でヴィザルは1人調べ 事をしていた。彼の周りには特殊体質に関する書物が大量にあった。
すると、ヴィザルの後ろからオリヴィエがやってきた。彼女は ヴィザルに気付かれないように後ろからヴィザルが読んでいる 本を覗き込んだ。
「ヴィーザル君。」
「オリヴィエさん!?」
「しー。 ここは図書室だよ。」
「あ、ごめんなさい。」
オリヴィエに驚いたヴィザル。 彼の声に周りが反応するがヴィ ザルが謝るとすぐに戻った。
「それで何調べていたの?」
「特殊体質です。以前、 オルフェウスさんから僕は特殊体質だ と言われて気になったので調べていました。」
「へぇ~、ヴィザル君が特殊体質・・・」
二人が会話していると1人の男性が近付いてきた。
「オリヴィエさん、どうしたんですか?」
「ハリアー先輩。」
「?」
「あ、この人は魔術トップで生徒会長で私の魔術師の師匠のハリアー先輩です。」
「はじめまして。 魔術科学生寮長も兼任しているハリアー・マーリンズです。」
ハリアーは笑顔で自己紹介する。彼は端正な顔立ちに知的そうな眼鏡、魔術科生徒が着用するローブといかにも賢そうな雰囲気を纏っている。
「は、はじめまして。ヴィザル・オルディダンテと言います。」
ヴィザルも軽く会釈する。 ハリアーはヴィザルの近くにある書 物を見て彼に少し興味をわいた。
「特殊体質ですか?」
「はい。この体質が発現する条件や能力を調べたいのですが資料があまりなくて•••」
「では私が少し教授しましょう。」
「本当ですか!?」
「シーっ。」
「ごめんなさい。」
ヴィザルは縮こまってしまう。ハリアーはそんなヴィザルを宥めた。周りを気にしながらヴィザルの向かいの席に座った。
「特殊体質は先天性と後天性があります。先天性は生まれつき魔力が高い子に宿ることが多いですね。後天性の場合は感情の昂りで発生する場合が多いですね。そもそも特殊体質は特定の感情の高揚で魔力が高くなる体質です。今私から説明出来るのはここまでですね。どうですか?参考になりましたか?」
「はい。ありがとうございます!」
ヴィザルは立ち上がってお辞儀してお礼を言う。ハリアーも良かったと返事をした。それと同時に自身の人差し指を自分の口に当てた。それを見たヴィザルは周りを見るとジーとこちらを見ている人達がいた。
「す、すみません•••」
ヴィザルは申し訳なさそうに本を戻して図書室を後にした。ハリアーも出ようとするとオリヴィエが何か考え事をしているのに気が付いた。
「どうしました?」
「•••ヴィザル君の力になりたいですけど私は特殊体質に詳しくないからどうすればいいのか分からないです。」
ヴィザルのことで悩むオリヴィエを見てハリアーも一緒に考える。すると、思い付いたのかハリアーがある提案をしてきた。
「オリヴィエ君、私の知り合いに特殊体質がいるんだ。その人が生徒会長をしている学校からこちらへ短期留学の申し出があってね。君が良ければ私が推薦しよう。成績優秀な君なら問題ないよ。」
「あ、ありがとうございます!」
オリヴィエが立ち上がってお辞儀しながらお礼を言う。すると、ハリアーがやっちゃったという乾いた笑いをしていたので周りを見るとヴィザルの時と同じようにジーと見られていた。
「あ、あはははは。ごめんなさい。」
気まずくなったオリヴィエはそそくさと図書室を退出して行った。
「2人とも似た者同士、いいカップルになるかもね。」
去っていくオリヴィエを見てハリアーはクスッと微笑んだ。
次回予告
男の夢が叶う。
「別に僕は叶わなくても•••」




