変な合言葉を設定すると後々大変なことになる
前回のあらすじ
懐かしキャラの登場
「変態魔法を極めたなんでも屋ですよね?」
「違うぞ。」
オルフェウスの案内で船底の怪しい部屋へ向かうヴィザルと勇薙。すると、オルフェウスが後ろをチラリと見た。二人が何かと後ろを向くと聞き覚えのある女性の声が聞こえてきた。
何だと構えていると曲がり角から触手に捕らえられているサリアとエレキナが連れられてきた。二人とも水着姿でアハハと渇いた笑いをしていた。
「・・・何してんですか?」
「だってヴィザルが誰かと一緒に行ってるのが気になって・・・」
「それよりなんでマキナは捕まえないの?」
エレキナがジト目で曲がり角を見るとマキナがピョコンと出てきた。
「マキナまで何してるんですか?」
「・・・マスターの行動を監視してました。」
「お前もいたのか。気付かなかった。」
「・・・はい。私はステルス起動して気配を消していましたので。」
「何さらっと新技術出してんのよ。」
久しぶりにマキナと出会ったオルフェウスは軽く挨拶した。マキナも昔のいざこざを気にせずに挨拶する。ヴィザル達がいろいろ会話していると勇薙が話を止めた。
「皆さん、同窓会はそこまでにしてください。」
「あ、久しぶり。イキリチーターじゃん。」
「気付くの遅っ!それとその呼び方止めてください!」
勇薙がツッコミながらサリア達を追い払おうとした。
「とにかくあなた達は無関係なので帰ってください!」
「ヴィザルは良くて私達はダメなの!?」
「それに聞いちゃったもんねー!カグツチ魔教会の魔人復活儀式!」
「うっ!あなた達まで聞いてたんですか?」
「・・・マキナがそう言ってた。」
「マキナって便利過ぎません?」
大事なカグツチ魔教会のところまで聞かれたと知った勇薙は諦めてサリア達も同行させ例の部屋に向かった。
しばらく歩いていると目の前にドレスを着た金髪のエルフの少女がいた。彼女がゾディアックアルゴのリブリアだ。オルフェウスは彼女に近付いた。
「どうだ?」
「部屋はあそこ。でも扉の前には警護が二人。入るにはこの仮面と合言葉が必要よ。」
そう言ってリブリアは変わった形の仮面をオルフェウスに渡した。彼の後ろからヴィザル達が仮面を覗き込む。すると、後ろからまた叫び声が聞こえてきた。誰だとヴィザル達が振り向くとエレナとエリスが触手に捕らわれていた。
「ちょっと何してんですか!?」
「何って念のためにテンタクルマインを仕掛けただけだが。」
「とりあえず二人を解放してください!」
勇薙に言われオルフェウスがエレナとエリスを解放すると二人は勇薙に抱き付いた。
「怖かったですお兄ちゃん~!」
「だ、大丈夫か?」
「私は大丈夫ですお兄様。」
「ねぇ、ここでイチャイチャするの止めてもらえる?」
勇薙に抱き付いたエレナとエリスを見たリブリアがイライラしながら声をかける。勇薙は二人を引き離すと本題に戻った。
「二人は俺が呼んだ。こう見えて強いからな。」
「マスターズじゃ私にやられたのに?」
「話が進まないので止めてください。」
「それで、合言葉ってなんだ?」
オルフェウスが聞くとリブリアは顔を赤くさせ口をモゴモゴさせた。周りを見て誰もいないことを確認するとみんなを集めて小声で答えた。
「・・・え?マジで言ってる?」
「マジもマジ。私もこれやるの躊躇うレベルで恥ずかしいからどうしようか迷ってたのよ。」
「それよりこれはやるとまた訴えられそうなんですが・・・」
ヴィザル達が合言葉に躊躇しているといつの間にか仮面を着けたオルフェウスが扉の前に行き姿勢良く背筋を伸ばした状態で手首が直角のまま片手を上に伸ばし、もう片手を胸元に寄せ片足の膝は鋭角に上げ・・・
「アローラ!」
「「「やりやがった~!」」」
ヴィザル達が一斉に叫ぶ。オルフェウスがやっているポーズは正しくイ◯ミの一発芸で有名なシ◯ーである。そして、掛け声は某有名アニメの挨拶である。
「ちょっと待って!何しているんですか、リーダー!」
「やりやがったよ。マジでやりやがったぞあの人。」
「しかもなんの躊躇いも恥も外聞もなく真顔で。」
「あれがゾディアックアルゴマスターの姿か。」
真顔でシ◯ーを決めるオルフェウスにヴィザル達が驚きを隠せずにいると護衛の男達もオルフェウスと同じシ◯ーをした。そして、扉を開けてオルフェウスを部屋の中に入れた。
「ど、どうする?マジであれやらないといけないの?」
「いや、もう仮面ないから撤収しましょう。」
「そうはさせないわよ。」
恥ずかしいポーズをしたくないと理由をつけて去ろうとするヴィザル達を止めるためにリブリアがヴィザル達を変装魔法で仮面を着けた姿に変えた。(サリアとエレキナはちゃんとしたドレス姿にしている。)
「リーダーがやったんだからあんた達にも付き合ってもらうわよ。」
「・・・」
ヴィザル達だけではなく勇薙達も汗をかいて悩んでいる。そして・・・
「「「アローラ!」」」
「「アローラ!」」
顔面を真っ赤にさせて合言葉をいいなんとか潜入するヴィザル達だった。
次回予告
カグツチ魔教会と魔人復活儀式の全容が明らかに
「それよりあのふざけた合言葉をなんとかしてください。」
「それは俺には無理だ。」




