消えたアテナスター File9
前回のあらすじ
犯人逮捕でめでたしめでたし。
「推理小説としてはいまいちね。」
「・・・」
事件が終息して2日が経過した。あれから回収したアテナスターが盗まれた本物のアテナスターであること、花瓶を壊した人はオイアに金で雇われたこと、停電の原因となった白熱灯からオイアの指紋が検出されたことと色々と証拠が出た。
その後、ヴィザル達はオバールに招待されていた。新聞にはヴィザル達のことは記載されていないが関係者には知らされていたようだ。
「いやぁ、改めて感謝させてくれ。アテナスターを取り返してくれてありがとう!」
「い、いえ!」
オバールがヴィザルの手をとり握手する。隣には気の弱そうな男性が立っている。
「え~と、あの人が・・・」
「あ~、彼が昨日まで入院していた私の秘書サレヴィ君だ。」
「は、初めまして。」
ヴィザルはサレヴィと軽く挨拶する。その間にジルフレイムがオバールに事件のことを報告していた。
「しかし、オイア君が犯人だったとはな。」
「何か心当たりは?」
「・・・確か以前アテナスターを鑑定した時は私がアテナスターは5000万レクスの価値があると言ったことがある。」
「なるほど。犯行を思い付いたのはその時ね。」
ジルフレイムからの簡単な事情聴取を終えたオバールはヴィザルに再び握手を求めた。ヴィザルもそれに答える。
「これのお礼はまたするよ。」
「は、はい。」
ヴィザル達はオバールの屋敷を後にする。帰路に着く途中、ジルフレイムがヴィザル達に報告した。
「そういえば、ジストさんやケセウスさんからも感謝されていたわよ。」
「え、本当ですか?」
「ああ、本当だ。」
ジルフレイムの報告を聞いていると前から海藤がやってきた。海藤は紙袋をヴィザルに渡す。中身は菓子折りみたいでサリアが目をキラキラさせて見ていた。
「犯人を見つけてくれてありがとう。おかげで美術館を再開させることが出来るってさ。ケセウスさんも犯人と盗んだ方法が分かって安心しているみたいだよ。」
「そうですか。それは良かったです。」
「?」
海藤と話しているヴィザルは笑顔で答えるが何故かジルフレイムは怪訝な表情をして海藤を見ていた。海藤は話を終えると手を振って去って行った。すると、ジルフレイムが紙袋から箱わ出した。
「いきなり何?食べたいの?」
「違うわよ。さっき海藤さんが言っていた感謝の言葉が私が預かっていた言葉と少し違ってたから。」
そう言ってジルフレイムが箱を開けると中身はアテナスターと手紙だった。
「え!?これって・・・」
「いや。これは偽物だ。美術館で売っている奴だ。」
「これ、もしかして僕が入れ替えた偽物・・・」
ヴィザルの言葉にハッとしたジルフレイムが同封されていた手紙を開いた。
“今回はしてやられたけど次はそうはいかないよ。
とりあえず、君の1勝。おめでとう。
怪盗カシオペア”
「・・・あ、あの怪盗~!海藤さんに化けてたわね!」
叫ぶジルフレイムをヴィザル達が落ち着かせる。それを高台から見ていた海藤は一瞬でカシオペアに戻った。
「また、会える日を楽しみにしているよ。」
そう言って彼女は消えた。
次回予告
いつもの日常(?)に戻ります。
「ヴィザルー。ちょっと相談があるんだけど~。」




