消えたアテナスター File8
前回のあらすじ
実におもしろい。
「とうとうあらすじまでガ◯レオのパクリを・・・」
ある日の夜
暗い部屋の中で人影が鍵の付いた引き出しを開け箱を取り出した。その箱を開けると中にはアテナスターが入っていた。
「・・・素晴らしい。これを売れば・・・」
「そこまでですよ。」
その時ヴィザルの声とともに電気がついた。
「あなただったんですね。・・・オイア・バテンさん。」
人影が明かりで露になるとそこにいたのは鑑定家オイア・バテンだった。
「な、なんだねいきなり!?」
「なんであんたが先にいるのよ。」
オイアが蓋を閉め箱を隠す。ヴィザルの後に入ってきたジルフレイムが拳骨をくらわして下げるとオイアに近付いた。
「それ、盗まれたアテナスターでしょ。」
「ち、違う!これは、レプリカだ!」
「他の鑑定家に見てもらえればすぐに分かるよ。」
ジルフレイムがオイアに詰め寄る。オイアが必死に言い訳しているといつの間にか箱を開けていたヴィザルがアテナスターを見て言った。
「そ、そもそもワシがどうやってあの暗闇からアテナスターを盗んだと言うのだ!?」
「そう。それが問題だった。犯人はあの暗闇の中でどうやって盗んだのか。そこから間違っていたんですよ。」
ヴィザルがアテナスターを見ながら推理を披露し始めた。
「電気が点いた後、入ったあなたが本物を見てこう言った。“偽物だ”とね。つまり、盗んだのはあの暗闇の中じゃない。僕達の目の前だ。あなたは堂々と僕達の前で嘘をつくことで本物を偽物と錯覚させた。」
「それじゃあ後で鑑定すれば偽物と分かるはず。じゃがワシ以外が鑑定しても偽物と判断されたんじゃぞ!」
「あなたが展示室から出た時に予め用意していた偽物と本物をそこで交換したんだ。だから、後で鑑定しても偽物と断定されたってわけ。」
ヴィザルの推理を聞いていたオイアは汗をかいていた。それを見てヴィザルの推理が的中していると判断したジルフレイムは後からジストにオイアを逃がさないように指示してヴィザルのところに向かった。すると、サリアとオリヴィエも部屋に入ってきた。
「おい。なんであんたまで来ているのよ?」
「ヴィザル君が心配だからに決まってるでしょ。」
「そういえば、あの後全員身体検査したけど出ませんでしたよね。」
「そうだ!その通り!ワシもちゃんと身体検査を受けたぞ!」
「隠したんですよ。」
ジストの話に乗ったオイアがまた言い訳するとヴィザルは冷静に返した。
「隠した?どこに?」
「この花瓶の中に。」
そう言ってヴィザルはフィルディオが撮っていた写真を見せた。その写真は展示室の入口と両脇にある花瓶が映っていてヴィザルはそのうちの一つを指差した。
「その花瓶がどうした?」
「これにしたのってオイアさんですよね?」
「あ、ああ。海藤が花瓶が割れたと言っていたから知り合いに頼んで用意してもらったやつじゃ。」
オイアが汗を流しながら説明していると今度はクロアやガルム達が写真に映っている花瓶を持ってきた。それを見たオイアは驚き顔が強張った。
「この花瓶は写真に映っているのに何故か放火現場にはなかった物よ。」
「そ、それがどうした?」
オイアが言った瞬間、ガルムが花瓶を縦に真っ二つに切った。その切れた花瓶を見た瞬間、みんな驚愕した。なんと花瓶が二重底になっているのだ。
「その特殊な花瓶の中にアテナスターを入れたんだ。あの時は暗闇の中盗まれたものと判断し外にいたあなたは容疑者として見られていない。しかも、カシオペアが盗むと予告した日だから警察は犯人はカシオペアと判断し展示室から一切出さないようにした。その僅かな時間を利用してあなたは花瓶の二重底に隠した。そうすれば上から見てもアテナスターが見つからない。」
「ホント、よく考えたわね。」
ヴィザルの推理にジルフレイムは納得する。彼女は勝手にきたサリア達に拳骨をかますと他の仲間に花瓶を渡し入手経路を調べさせた。
「放火したのはこの花瓶を回収するためと持ち出した時の警報音を誤魔化すためだった。けど、盗んだだけなのがダメだった。ここに同じ花瓶を持ってきて壊せば完全犯罪もいけたかもしれないのに。」
「なんであんたが犯罪のトリックに付け足ししてんのよ?」
ヴィザルの頭に拳骨をかましたジルフレイムはアテナスターを受け取るとそれをジストに渡した。彼はアテナスターを受け取ると敬礼して部屋を出た。
「まぁ、あの花瓶の入手経路や偽物とか色々と調べればあんたが犯人だという証拠も出るでしょう。動機はやっぱり借金?」
「•••ああ、膨れ上がった3500万レクスの返済のためにと・・・」
とうとう諦めたのかオイアは膝をつき手をつき自供し始めた。
オイアが自供したのでジルフレイムは彼に手錠をかけ連行した。ヴィザルも後を追う。オイアをパトカーに乗せて送るとジルフレイムのところにケン達がやってきた。
「ケン、あの馬鹿達を連れてこないでよ。」
「悪い。あいつらが俺の制止を聞くと思うか?」
「それをなんとかするのがあんたの仕事でしょ。」
ジルフレイムがケンと会話しているとソールがジルフレイムに話しかけてきた。
「ねぇ、刑事さんの部下があそこで寝てるけど。」
「は?誰よ?」
「えっと、ジストっていう人。」
「はぁ!?」
ジルフレイムが慌ててソールの案内でパトカーに行くとぐーすかと寝ているジストがいた。
「なんでさっきまで隣にいたのにこんなところで寝てんのよ!?」
「なぁ、もしかしてそのジストってカシオペアの変装じゃないか?」
「・・・」
ケンに言われたジルフレイムは青ざめてパトカーに寄りかかった。
「や、やってしまった・・・。私、あいつにアテナスターを預けちゃったわよ。」
「あーあ。やっちゃった。これ、始末書もんでしょ。」
「ど、どうしよう。」
涙目になって嘆いているジルフレイム。すると、ヴィザルが彼女の肩を叩いた。ジルフレイムがヴィザルを見るとなんとアテナスターを持っていた。
「ヴィ、ヴィザル。それって。」
「あの時、箱から出す際に美術館で売っていたレプリカとすり替えました。」
「ヴィザル~!」
ヴィザルに感謝したのかジルフレイムは涙を流しながらヴィザルに抱きついた。
「ありがとう!ありがとう~!」
「い、いえ。こういうことを予測して・・・」
「本音は?」
「・・・」
「まさか、盗もうとしてないよね?」
ジルフレイムに抱き付かれたままのヴィザルにガルム達が聞くとヴィザルは空を見上げて沈黙した。しかし、そんなことは気にせずジルフレイムは他の部下にアテナスターを託すとケン達と同行させて署に向かわせた。
こうして、アテナスター盗難事件は無事幕を下ろした。
次回予告
ついに解決したヴィザル達。次回、エピローグ。
「なんとか金◯一よりかは短く済ませることができた。」
「まず、あれが長過ぎる。」




