歴史の勉強は当事者に聞くのが一番
前回のあらすじ
ケンはセブンレベルの強さがある。
「ケンさんの話ってついでですよね?」
「話の導入のために使われたな。」
「教えてください!」
ある日、ケンのところにヴィザルとシャルロットマーニュ学園の同級生がやってきた。
「もう一回言ってくれ。」
「はい!僕達冒険科の宿題として歴史のレポートを提出しないといけないんです。でも本で調べたやつで提出しても二番煎じだなぁと思ってたらケンさんがオリュンピア大戦争の当事者だと思い出したのでここは直接本人に本に載らない話をと!」
「これで評価も爆上がり!」
「お願いします!」
ヴィザルが熱弁する。友達もみんなキラキラした目でケンを見ている。ケンは顎に手を当てしばらく考えていると了承したのか話し始めた。
「わかった、わかった。けど俺が知ってるのもほんの一部だがいいか?」
「もちろんです!」
「そもそもオリュンピア大戦争は第2次テュヴォーン世界大戦の終盤にオリュンティア公国で起きた戦争のことだからな。」
ケンの話を聞いた瞬間、ヴィザル達は絶句した。
「え?そうなんですか?」
「そうだ。」
「あれ?テュヴォーン世界大戦って2回もあったのか?」
「知らなかった。」
「そりゃ第1次テュヴォーン世界大戦はもう50年も前に起きたけど第2次よりは規模が小さいし理由も理由だからあまり本とかには載らないんだよ。」
ケンの話を聞いていると知られていない情報が次々と出てくるためヴィザル達はメモをとるのも忘れ聞きいっていた。
「その・・・理由は?」
「その年に魔王テュヴォーンが復活したと言われていてな。その魔王の力を狙って北にあるヴァルデラ帝国が攻めてきた。」
「ヴァルデラ帝国?」
「ここから無茶苦茶遠い北のヴァルデラ大陸を支配している国だ。かなりの軍事大国でエドラシア大陸に何度も侵攻した記録がある。」
初めて聞く他の大陸、そこに君臨する軍事大国にヴィザル達は呆然としていた。すると、ヴィザルの隣にフィルディオがヒョコっと現れた。
「ヴァルデラ帝国ですか。確か名もない大陸の国々を全て占領したことで大陸にヴァルデラと名付けた国ですね。」
「うおぉっ!フィル!いつの間に!ってか知ってるの!?」
「何言ってるんですか?これでもジャーナリスト、こういう情報収集はお手の物ですよ。」
「フィルがジャーナリストっていう設定、初めて聞いたよいな・・・」
「あれ?」
フィルディオが加わりさらに詳しくオリュンピア大戦争について話すことになった。しかし、魔王テュヴォーンは情報がほとんどなく謎の存在だった。そのうえ、オリュンピア大戦争ではあまり関係していないということで魔王の話は飛ばすことになった。
「オリュンピア大戦争もヴァルデラ帝国の一部がオリュンティア公国に攻めてきたことで起きた戦争だ。」
「ケンさんはそれに参加していたんですよね?」
「そうだ。ちなみに、その戦争にはミョルニオスさんとバースロットさんとレザニアさんも参加していたからな。」
「ちょっと待ってください。レザニアさんも参加してたんですか!?」
「してたよ。そもそもあの人はオールドマギアの元メンバーで“星砕”の二つ名を持っている冒険者だぞ。」
「あの人、そんなに凄い人なんだ・・・」
ここの大家であるレザニアの過去を知ったヴィザルは震えていた。すると、そのレザニアがメタルバンドに入ってきた。
「ケン!今月の家賃は払え・・・なんだいヴィザル。私を見るや否やすぐ土下座して。」
「レザニアさんの過去を教えたらこの通り。」
「何やってんだい?」
ケンが事の成り行きをレザニアに話す。レザニアは納得したようでヴィザルに頭を上げるように言った。
「気にすることないよ。あの時はハンマーを振り回すことぐらいしかやってないから。」
「それだけで無双してたけどな。」
またオリュンピア大戦争の当事者がやってきたことでヴィザル達は言葉が出なかった。2人を交互に見ると少し離れて輪になった。
「ヴィザル、お前んところどうなってんだ?ヤバい人しかいないぞ。」
「どうする、ガルム?なんか壮大過ぎてレポートにしづらいんだけど・・・」
「俺に聞くな。ソール、お前はどうなんだ?」
「僕に聞くの!?そう言われても今更他のに変えたらレポートに纏める時間がないよ。」
「うん。私もそう思う。」
どうするかひそひそ会議をするヴィザル達。会議の結果、そのままオリュンピア大戦争をレポートにすることになりケン達の話をレポートに纏めた。
後日、そのレポートは大いに評価されたという。
次回予告
久しぶりにあの子達に会いに行きます。
「・・・元気でしょうか?」




