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鋼絆《メタルバンド》  作者: 高本 龍知
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死者を愚弄する奴は外道

前回のあらすじ

衝撃波は意外と強い。


「こういう時ぐらい真面目なあらすじをお願いします。」

ヴィーダの葬式が行われている教会。中には葬式に参加している人達で埋まっている。ヴァリスがヴィーダが眠る棺の前に立つ。神父が神に捧げる祈りを行っている。神父がヴァリスに棺に花を送るように指示する。ヴァリスが言う通りに棺の扉を開け眠っているヴィーダに花を手向けようとした。その瞬間、ヴァリスに刃が刺さった。


「!」


何が起きたのか分かっていない一同。しかし、ヴァリスは刃を破壊して神父の腕を掴んでいた。


「まさか、神父に変装して乗り込んでくるとはな。」

「・・・誰だ?」


神父が聞いた瞬間、ヴァリスが一瞬でトールバスターに変わったのだ。


「マスター!?」

「なるほど、やられたね。」


神父はニヤリと笑うと席に座っていたトールバスターに向けて刃を発射した。すると、トールバスターの前にクリスタルが現れ刃を防いだ。そこに現れたのはジャックとトールバスターの変装が解かれたヴァリスだった。


「え?入れ替わってたの?」

「はい。実はさっき・・・」



離れて行くヴィザル達とその後をついて行く男をトールバスターは目撃していた。すると、彼はヴァリスに耳打ちした。


「ヴァリスさん。少し時間を借りていいでしょうか?」

「え、あ、はい。」

「ありがとうございます。」


トールバスターはヴァリスとジャックを連れて少し離れる。


「どうしたんですか?」

「もしかしてだがここで奇襲される可能性がある。」

「ええ、承知しています。」

「そこで私とヴァリスさんを変装で入れ替わりたいのですが。」

「・・・わ、分かりました。気を付けてください。」

「ありがとうございます。ジャックは全力でヴァリスさんを守ってくれ。」

「畏まりました。」


そして、今に至る。


「私達に内緒でやってたの?」

「そうしないとバレるからね。私としてはいきなり襲撃にくると予想していたのですがまだまだですね。」


ジャックが見つめる先には既に神父を囲んでいるトールバスター、ジルフレイム、アルティネ、ギガストロがいた。


「参ったな~。さっと殺ってさっと帰るつもりだったのに。」

「いつまでも神父の格好をするな。」


神父が余裕綽々の態度をとっているとトールバスターが腕を真横に振った。すると、神父の変装が解かれ銀髪の男が露になった。


「・・・あ~めんどくせぇ。これで全員殺して口封じしないといけねぇじゃねぇか。」


男はゼイル。さっきバリッシュが電話していた時に出てた名前でバリッシュより強いとバリッシュ本人が言うほどの暗殺者だった。

ゼイルは避難しているケラウロス達に狙いを定めると空中に刃を生成し放った。それをジャックとオリヴィエがそれぞれの魔法で、ジルフレイムがガトリングガンで防いだ。


「ここから先は誰一人死なせない。」

「私は悲しむヴィザル君を見たくない。」

「あんたを殺人未遂及び数々の殺人で逮捕するわ!」

「・・・正義の味方気取りか?じゃあ、守ってみろ。全ての命を。」


ゼイルはそう言って棺の上に刃を生成した。


「まさか!」

「正義って守る物が多すぎるだろ?」


ゼイルは笑うと刃を棺に向かって振り下ろした。その瞬間、ギガストロが土塊を棺に纏って防ぎトールバスターが刃を破壊した。


「ありがとう!」

「ああ!てめえ、死人に刃突き刺すとかどういう教育を受けてきたんだ?」

「別に。今まで何百、何千、何万と殺してきた。今更、死体がどうなろうと知ったこっちゃない。」

「最低だな。」


ゼイルは周りに刃を大量に生成するとトールバスター達に向かって攻撃を始めた。全員避ける。その時にアルティネが茨で棺を安全なところに運ぶ。全員が教会から出るとなんと周りに大量の巨大な刃が刺さっており誰も逃げることが出来なかった。


「なんだこれ・・・」

「こいつは錬金魔法。めちゃくちゃ珍しい魔法よ。」

「確か無から何でも生成するっていうチート魔法だったか?」


アルティネ達が刃を破壊しようと試みると教会の屋根からゼイルが見下ろしていた。


(さてと、トールバスターにアルティネにギガストロ・・・なかなかいい面子だ。動けないようにしてボスにトドメを刺してもらって利用するかここで完全に息の根を止めるか。・・・とりあえず、殺す気でやって生き残ったらボスにやるでいいか。)


ゼイルはトールバスター達を一通り身終えると彼らの真上に無数の刃を生成した。


「さぁ、狂い踊って死んでいけ。」

「くるぞ!」


ゼイルが刃で逃げれない状態の人達に向けて刃を雨のように落とした。無数の刃に対して真っ先に動いたのはやはりトールバスターだった。トールバスターは純白の翼を作り出して飛ぶと羽根を撃ち出して刃と相殺させた。しかし、トールバスターの羽根よりも刃の数が多く全てを破壊することが出来ない。いくつかの刃がトールバスターの脇を通り抜けていく。


「くっ。抑えきれない・・・」

「おい!俺達を忘れているだろ!」


その時、ギガストロが地面から巨大な腕を生成し刃を防いだ。それと同時にアルティネが蔦を生やしてゼイルを攻撃した。ゼイルは腕を刃に変え蔦を切る。その後ろにジャックが現れゼイルをクリスタルに閉じ込めた。


「ありがとう。」

「あいつ、例の暗殺クランのメンバーか?」

「だろうな。」


トールバスター達がゼイルを見ているとクリスタルが破壊され中から全身に刃を纏ったゼイルが現れた。


「おいおい、マジかよ。」

「私のクリスタルが破壊された!」

「あの姿・・・」

「それにこの魔力・・・」


現れな姿に変わったゼイルを見て言葉を失うギガストロ達。ゼイルは背中から生えている菱形状の刃をいくつか分離させるとこっちに放ってきた。


「くるぞ!」


トールバスター達が構えた瞬間、刃の先からレーザーを出して攻撃してきた。


「なんだとぉ!」

「ファンネルかよ!ガ○ダムじゃねぇか!」

「いい加減、あんたは黙ってなさい!」


ゼイルの攻撃にツッコミを入れるドトールをシバいたアルティネが再び蔦を生やしてレーザーを防ぐ。彼女に合わせてシルバーホーク、エンジェルフォース、ギガントタイタンのメンバー、そしてジルフレイムがレーザーを防いだり刃を破壊したりした。その隙にトールバスターがゼイルの頭上をとった。

そして、弓矢を生成してゼイルに放つ。が、ゼイルは刃で翼を作ると空を飛んで回避した。


「厄介だな。」

(しかも、この魔力は・・・)

「お前、魔薬を使っただろ?」


魔薬。以前、ニルガーナでネハン達が生産していた人間を魔人に変える劇薬。血管に打てば誰でも魔人になれるというかなり危険な薬で生産が禁止されている。

トールバスターが追及するとゼイルは笑って肯定した。


「そうだ。凡人なら摂取した瞬間狂ってしまうことが多い劇薬だが俺にとっては万能薬だ。なんせ、昔より仕事がしやすくなったからな!」


ゼイルは右腕を巨大な剣に変えるとトールバスターを攻撃した。トールバスターも剣を生成して迎え撃つ。お互いに一歩も退かずキンキンと空中で激しい攻防が続く。 トールバスターはゼイルの剣を避け腹に蹴りを入れる。ゼイルにダメージを与え距離をとることには成功したがゼイルは腹にも刃を生成していたためトールバスターの足からは血が噴き出していた。それでも、一切弱音を吐かず両手を前に出して風で作った鷹を放った。


「《ホークバスター》!」


トールバスターが放った鷹はゼイル目掛けて飛んでいく。ゼイルも鷹を撃ち落とそうと刃を放つが鷹は華麗に回避してゼイルを貫いた。


「これでどうだ!」

「やったか!?」

「それ言っちゃいけないやつ。」


ホークバスターが命中したゼイルは少しよろけた。しかし、すぐに刃を生成し再び雨のように降らせて攻撃した。


「やっぱり魔人になったことでしぶとくなってるわね。」


ジルフレイムがガトリングガンで刃を破壊しつつゼイルに攻撃する。ゼイルは刃を盾のようにして弾丸を防ぐ。そこに拳に雷を纏ってトールバスターが接近した。拳を勢いつけて振るい刃の盾を破壊してゼイルの顔面を殴り飛ばした。しかし、ゼイルの肌が剃刀みたいになっておりトールバスターの拳が血だらけになった。


「・・・まったく。攻撃すればするほど自身がどうなるか分かってるだろ?」

「だからなんだ?俺はお前という悪を倒すまで倒れるつもりはない。」

「それに堪えればインドライガ達も応援に来てくれるはず!」


アルティネが叫ぶとゼイルは笑いだした。


「何がおかしい?」

「分かってないな。俺達の報復対象は誰だと思う?オルディダンテ家?だけじゃない。そいつらが加入しているクランも報復対象だ。」

「まさか・・・」

「そうだ。報復対象はオルディダンテ一族、ヴィザルが加入しているアイアンガイア、そしてバルドが加入しているレジェンドドラゴンだ!」


ゼイルの発言に全員が驚く。予想は出来たはずだった。が、誰一人として視野に入れていなかった。ゼイルは驚くトールバスター達を見てさらに高らかに嗤うのだった。

次回予告

報復の魔の手はなんとレジェンドドラゴンにも向けられていた。そのレジェンドドラゴンのところにも謎の依頼があった・・・


「レジェンドドラゴンが負ける未来が見えないから大丈夫だと思うけど・・・」

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