暗殺に地味も派手もない
前回のあらすじ
スポーツの街ユミルガルドに到着したサリア達。早速、依頼人のところへ行こうとする彼女達の隣を歩いていた男を見たクロアはその男を追いかける。彼女の前に現れたのはクロアの過去を知る人物だった。
「クロアも苦労してるだね~。」
クロア15歳
とある国の貴族令嬢として裕福な暮らしをしていた頃
クロアの父ゴバルツ・アングルボラはその国が治める街の市長だったが市民に重税を課せ市民の暮らしは荒れていた。
そんな夜、クロアは眠れないのか一人廊下を歩いていると話し声が聞こえてきた。扉を少し開けて見るとゴバルツともう一人が何かを話している。
「・・・・まったく妻のパーティー好きにはたまりませんな。」
「えぇ、毎日、毎日パーティーされてはお金が底をついてしまう。また来月から税を増やしましょうか。」
「いいですな。」
二人が笑っていると何者かが侵入してきた。二人はすぐに逃げようとするがその人影は瞬く間に二人の顔を掴むと爆発させ頭部を四散させた。クロアはその時、爆発の光で左手にタトゥーを見た。そして、人影はそのまま屋敷を爆発させ去って行った。
「・・・あれから5年。まったく酷い目にあったよ。あの時、家族はみんな死んで生き残った私は民衆の慰み者になってしまったからね。」
「あれで生きていたんだな。幸か不幸か・・・」
「今は幸せだよ。」
クロアは昔話をしながら男に近付く。
「っていうか殺し屋があんな派手にやっていいのか?」
「暗殺とは本来依頼対象を殺すことをいう。その方法は問わん。俺は派手なのが好きでねぇ。何事も景気よくやらねぇとなぁ。ブラフマス・ボマー。さぁ、報復の狼煙をあげるぞ!」
ブラフマスはクロアに一気に接近すると殴ってきた。クロアはとっさに防御するが拳が爆発しクロアは吹き飛ばされた。
「爆発・・・!」
「俺はあらゆる爆弾を扱う爆発魔法の使い手。大量殺人、証拠隠滅なんでも出来る。爆発は芸術だ!」
ブラフマスは両手から爆弾を大量に生成するとクロアに向けて放った。
「《ボマーソルジャー》!」
「・・・」
(うわぁ。マ○オのボ○兵じゃん。)
クロア先頭のボマーソルジャーを踏みつけるとそのまま蹴り飛ばし他のボマーソルジャーにぶつけて爆発させた。ブラフマスは次々とボマーソルジャーを出してはクロアに向ける。クロアも光線で凪はらって応戦する。その途端、爆発の煙の中から赤いラグビーボールが飛んできた。それを弾こうとした瞬間、ラグビーボールが爆発しクロアの左手が吹っ飛んだ。
「はぁ!?」
「ここはラグビー場だ。折角だから、こいつで戦ってみるか?」
ブラフマスはラグビーボール型の爆弾を生成し余裕の笑みでクロアを挑発する。
「いいぜ。乗った!・・・ラグビーのルール知らないんだけど。」
「安心しろ。俺もあまり知らん。」
ブラフマスはラグビーボールを蹴り飛ばして攻撃した。それを今度は風魔法を足に纏わせて蹴り返した。ブラフマスはそれを取ると回転させて投げてきた。クロアは再び蹴り返そうとすると直前で爆発した。
「ひっきょ~!全然、スポーツマンシップに乗っ取ってないじゃん!」
「殺し屋にそれを求めるか?」
「・・・そうだった。」
クロアはそう言うとブラフマスに一気に詰め寄ろうとした。その瞬間、足下が爆発しクロアの右足が破壊された。
「《ブラフマイン》。 殺し屋がまともに戦うと思わないことだ。」
ブラフマスは右手の指を銃のように組むと指先から赤い弾を放った。クロアがとっさに避けるとさっきまでいた場所が爆発しクレーターが出来ていた。
「なにそれ?」
「踊れ。踊り狂え。」
ブラフマスは左手も同じように組むと両手から爆発弾を連射し始めた。クロアは右手と左足だけでなんとか避けているもののブラフマスからどんどん離れていく。
「これじゃあ、じり貧だ。・・・一か八かやってやる。」
クロアはある程度距離を取ると左足からスラスターを展開し一気にブラフマスに接近してきた。左足だけなので上手く飛べず何度か地面に墜落しかけた。それでも諦めず爆発弾を避けながら接近する。
「義足か。ならば・・・」
ブラフマスは爆発弾が当たらないと判断すると指を戻し指を上にくいっと曲げるとクロアの下から赤いドラゴンが現れクロアの左足を噛み契った。
「!?」
「おもいっきりの良さは褒めてやる。が、それだけでは俺には届かん。」
ブラフマスはそう言うとドラゴンと同じように赤い狼と鷹を召喚した。
「特別だ。俺の奥の手の一つ《爆三神》を拝ませてやる。・・・そして、死ね。」
ブラフマスの合図で爆三神が一斉に襲いかかってきた。クロアはその光景を見て目を瞑ってしまった。
その瞬間、クロアの前にバサッと音がすると爆三神が吹き飛ばされた。クロアがおそるおそる目を開けると目の前にエレキナが立っていた。
次回予告
窮地に立たされるクロア。彼女を助けたのはエレキナだった。二人は協力してブラフマスに立ち向かう。
「なんでエレキナだけ?」
「それは次回のお楽しみ。」




