数奇な運命
前回のあらすじ
暗殺クランの報復が始まった。
「お父さん・・・」
ヴィーダの葬式のため、ヴィザル達をオリュンティア公国に残しサリア達は依頼人がいるユミルガルドに向かっていた。
「ユミルガルドってどんなとこ?」
「確か・・・人口約250万人の比較的小さな街。異世界から伝来したサッカーやラグビー、野球、テニス、クリケットなどのスポーツが盛んなところみたい。」
クロアの質問にサリアがパンフレットを見ながら答える。
「おい。また観光気分で来てないだろうな?」
「だ、大丈夫ダヨ。」
「目を見て話せ。」
ケンに睨まれ目を反らすサリア。しばらく馬車に乗っているとレンガ造りの街並みが見えてきた。ユミルガルドだ。サリア達は馬車から降りて依頼人のところへ行こうとする。
・・・はずだった。
「意外と凄い活気ね。」
「さすがスポーツの街。」
サリア達は依頼人のところに行く前に観光するつもりだ。ユミルガルドは海に面し、気温が常に高いため水泳やビーチバレーも人気だ。
「おい!完全に観光する気満々じゃねぇか!」
ケンがサリアの頭を掴んで止める。
「大丈夫だって!時間はまだあるから少しぐらい・・・」
「その少しぐらいで何回失敗してんだ?」
「アハハハ・・・・」
ケンはサリアを引きずりながら依頼人がいる屋敷に向かう。その後ろをヘルマに引きずられながらカリスティとエウリアがついている。その隣でクロアが歩いていると人混みの中、ある人物とすれ違った。その人物の左手のタトゥーを見た瞬間、クロアは表情を曇らせた。
「・・・あ、ごめん!ちょっと急用!」
「はぁ!?」
「すぐ戻るから!」
クロアは止めようとするケンを振り切ってすれ違った人物を追う。
しばらくして誰もいないラグビー場に着くと中央に立って辺りを見回した。
「・・・ねぇ、出てきたら?」
「・・・やっぱりお前か。」
クロアがどころかに話し掛けると追っていた人物が現れた。黒いコートに身を包み左手には爆弾のタトゥーを入れていた。
「思い出したよ、そのタトゥー。あんた、私の父ゴバルツ・アングルボラを暗殺した奴でしょ?」
「これで確信に変わった。お前はその娘クロア・アングルボラだな。あの爆発の中でよく生き延びたな。」
「あぁ、そのおかげで奴隷になったりしたけどそのことについては別に恨んでないよ。父は殺されるだけのことをしてたからな。」
クロアは近付いてくる男に見覚えがあった。その男は自分の父親を殺害した男なのだ。
「それで何が目的?」
「報復。」
「・・・」
「お前んとこの坊主がうちのお得意様を2つも潰してくれたおかげで仕事が激減してね。新しいクライアントを作る前に坊主の家族とその関係者全員を抹殺するつもりだ。」
「そうか。だったら私は全力であんたらを倒す。父の敵討ちのためではなく大切な仲間を守るために。」
クロアは固く決心し男の前に立ち塞がった。
次回予告
クロアの前に突如現れた因縁の敵。果たしてクロアは仲間を守ることが出来るのか!?
「多分、クロアが活躍する回書くの初めてな気がする。」
「嘘でしょ!?」




