訃報は突然に
前回のあらすじ
ついに始まるアビスロード編
「今度の相手は暗殺クラン。」
ある日
「皆さん、しばらく兄さんをよろしくお願いします!」
ヴィザルの隣にはぶっきらぼうなフォルスがいた。サリアとケン以外はフォルスと初対面なので誰なのか分からなかった。
「なんでヴィザルの兄がいるの?」
「え?こいつがヴィザルの兄なの?」
「こいつ!?」
「はい。脛かじりのフォルス兄さんです。」
「ヴィザル!?」
散々な説明をされたフォルスはガーンと涙目になっていた。サリアがフォルスの説明を簡単にする。と、言ってもヴィザルにイカサマを教えただけだったのでさらに涙が溢れるフォルス。
「実はお父さんが危篤状態でフォルス兄さんもそろそろ仕事してもらおうと連れてきました。」
「じゃあ、バルドが所属しているレジェンドドラゴンじゃダメなの?」
「こんな兄さんを所属させたらレジェンドドラゴンの恥になりますよ。」
「ひどい!」
ニッコニコでフォルスを罵倒するヴィザルに号泣してしまうフォルス。サリア達は納得したのか仕方なく了承した。
「じゃあ、クロアがやるクエストに同行してもらったら?」
「分かりました。」
ヴィザルはフォルスを連れてクロアと一緒にクエストに向かった。
「・・・そういえばクロアさんってなんでアイアンガイアに入ったんですか?」
「いろいろあってなー。」
クエストに向かう途中、ヴィザルが何気ない質問をクロアにした。
「元々私は貴族のお嬢様だったんだよ。」
「ダウト。」
「ダウト。」
「ちょっと待って!マジだから!」
呆れた表情をする二人を引き留めるクロア。
「なんで貴族がこんなところにいるんですか?」
「なんで褐色なんですか?」
「あ、これ日焼け。」
クロアはフォルスの質問に答えるとヴィザルの質問に答えるために自分の過去を話し始めた。
「私の父はある国の貴族だったんだけどかなりの悪政でね。民衆の怒りを買いまくっていたんだよ。そんな時に父が暗殺されて貴族が没落すると私、奴隷にされてね~。」
「重い!重すぎる!えげつない過去が出てきたんだけど!」
「そういう設定?」
「設定とかじゃないから!」
クロアのカミングアウトに二人を驚愕する。
「じゃあ、手足が機械になっているのは?」
「奴隷時代に手足切り取られたから。」
「重いよ!軽く話していい内容じゃないよ!」
「それで手足無い状態で奴隷として売られてた時にサリア達と出会って買ってもらって今ここにいる。」
「・・・聞いた僕達が愚かでした。」
クロアの過去話に耐えられない二人はクロアから目を離してクエストに向かった。
それからしばらくしてクエストを終わらして帰って行くとメタルバンドの前にジルフレイムがいた。その表情は切羽つまっていてサリアに何か聞いていた。
「どうしたんですか?」
「ヴィザル!それとフォルス!心して聞いて!
・・・ヴィーダ公爵が亡くなられたわ!」
「え・・・」
いきなりの訃報にヴィザルとフォルスは言葉を失った。
次回予告
突然亡くなったヴィーダ・オルディダンテ公爵。その裏にはアビスロードの姿が・・・
「・・・」




