どの世界も糸目の老兵は強い
前回のあらすじ
ヘルマvs.ジェミコ(&アリエ)開幕&終了
「特に言うことなし。」
「段々このあらすじと次回予告が煩わしく感じてませんか?」
空からマキナを捜しているエレキナ。
(ここからじゃ全然分からないわね。そろそろ中に侵入しようかな。)
一通り空から捜索したエレキナはそのまま研究所の屋上に降りようととした瞬間、何処からともなく大量の矢が飛んできた。エレキナは降りるのを止め猛スピードで上昇しながら矢を避けた。矢を避けた後、屋上を見ると二人の人影が見えた。一人は弓矢を持っている若い男性。もう一人はタキシードを着こなした老人だった。老人をよく見て見ると糸目で白髪、頭からは山羊の角が生えていた。
(屋上の見張りってわけね。)
エレキナは二人を確認すると両手に炎の球を大量に作ると一斉に二人目掛けて放った。放たれた炎の球はそのまま真っ直ぐに二人に向かっていく。すると、老人が前に手をかざすと炎の球が二人の前で弾かれてしまった。
「シールド・・・防御魔法ね。しかも、あの一瞬であの硬度・・・なかなかの使い手のようね。」
エレキナは老人の方を警戒しながら攻撃を続けていると若い方が再び弓矢を構えて矢を放った。すると、矢が途中で大量に分身してエレキナに向かってきた。
「なるほど、そっちはそういう魔法ね。」
エレキナは理解すると軽々と矢を避けた。
「なかなか当たらない。ならば・・・」
若い男が再び弓矢を構えて放った。今度は分身せずにエレキナに向かってくるので一応警戒しながら避けると矢が向きを変えてこちらに向かってきた。エレキナは猛スピードで飛行するが矢はエレキナを追尾してくる。そこで、エレキナは避けるのを止めて口から吐く光線で矢を焼き払った。
「なかなか対応が早いお嬢さんだ。しかも、稀少種の龍人ときている。これは簡単には落とせないですな。」
「いえ!俺がなんとしても落としてみせます!」
「落ち着きなさい、サジウス殿。今侵入しているのは確認出来るだけで6人。正門に一人、そして目の前に一人。計8人の侵入者がいる。目的はマキナというアンドロイドの少女でしょう。とにかく私達は時間稼ぎか捕縛が使命。時間さえあれば仲間が侵入者を捕らえるでしょう。そうすればあの女性も観念するでしょう。」
「わ、分かりました。」
老人に諭され、サジウスは冷静になると再び矢を放った。エレキナは今度は避けることなく炎魔法で矢を焼き払った。
(早く入りたいのに邪魔ね。)
エレキナはそう思うと空高く飛んだ後、勢いよく真っ直ぐ二人目掛けて突撃してきた。
「おや?どうやら我慢が苦手なようですな。」
エレキナはそのまま突っ込んでいくと二人の前で何かにぶつかった。それは老人が張ったシールドだった。すると、力任せにシールドを殴り始めた。何回も何回も殴り続けるとシールドにヒビが入った。エレキナはそのままごり押ししようとすると老人はシールドでエレキナを左右から挟み込んだ。
「残念ですが勢いだけでは私達には届かない。」
「・・・と思うじゃん?」
「?」
挟まれたエレキナがニヤリとするので老人は警戒していると遥か上空から炎の球が雨のように降ってきた。そして、そのまま二人に命中しシールドは割れサジウスはまともにくらい倒れた。エレキナはシールドから解放されると再び空に飛んで距離を取った。
「・・・やれやれ。豪快に見えて繊細。みくびるつもりはなかったのですがこれはあなたに対する考えを改めなければなりませんな。」
土煙が晴れるとそこには倒れているサジウスと立っている老人がいた。エレキナは距離をとりながら雷の球を大量に生成して老人に向かって放った。すると、老人はサジウスの周りにシールドを展開すると空中に張ったシールドを足場にして攻撃を避け始めた。
「そのシールド。そんな使い方もするのね。」
(ケンさんみたいね。)
エレキナは自分と同じ高度にまで迫ってきた老人を警戒しながら距離を一定に保っていた。
「そうですね。あなたとあなたの仲間に敬意を評して私の全力でお相手しましょう。私はゾディアックアルゴのカプリコン。」
「・・・・アイアンガイアのエレキナ・レダニウス。」
「よろしくお願いしますよ。・・・《土星輪》!」
カプリコンはエレキナに一礼すると周りに半透明の魚を生成し始めた。それと同時に土の球も生成し彼の周りに輪っか状に並べた。
「何それ?シールドだけじゃないの?」
「一芸だけでは傭兵は務まりませんよ。」
カプリコンはそう言うとエレキナに向かって魚で攻撃してきた。魚は不規則にエレキナを追尾した。エレキナも最初は避けながら雷魔法で迎撃するが段々魚が動きを変えて回避しながら接近してきた。
「面倒ね。」
エレキナは魚の追尾から逃れるためにスピードを上げて縦横無尽に飛び出した。そして、そのまま雷魔法を放ちながらカプリコンへ突撃した。
「また突撃・・・しかし、油断は出来ませんな。」
カプリコンは土の球で雷魔法を攻撃して相殺すると再びシールドでエレキナの行く手を阻んだ。しかし、エレキナは止まる気配を見せることなく突進する。
(これは?気をつけた方がよいですな。)
カプリコンは念のためとシールドを張りながら今いるところから移動を始めた。すると、エレキナは赤いオーラを放ちさっき張ったシールドを破壊した。
「避けて正解でしたね。」
「まだよ!」
「ほぅ。」
エレキナは軌道を変えてカプリコンに突撃する。カプリコンもエレキナから距離をとりながら魚や土の球で反撃する。しかし、エレキナは避けることも止まることもなく全ての攻撃を受けて尚スピードを緩めずに向かった。そして、カプリコンの前のシールドを破壊し彼との距離を約1mまでに縮めた。
「これで!」
「まだ若いですな。」
カプリコンはフッと笑うとエレキナの突進を体をひねって受け流すとそのまま彼女の背中に拳で重い一撃を入れた。
「なっ!?」
「さっき言いましたよ。一芸だけでは傭兵は務まらないと。シールドが破壊される時もサターンが効かない時もここまで接近を許す時もある。そんな時に一番役立つのは己の身体。なので体術は習得してますよ。」
「なるほど。」
(経験豊富ね。)
エレキナはカプリコンから距離をとって体勢を直すと再びカプリコンと対峙した。
二人は睨み合ったままただ時間が過ぎていくのだった。
次回予告
次はクロア戦行ってみよー!
「8時だよ!」
「全員集合~!じゃないんですよ!」




