ハードボイルドは種族を超える
前回のあらすじ
カリスティvs.キャンサー開幕
「頑張れ。」
「雑っ!」
カリスティがキャンサーと戦う少し前
ゲーテウェルズ研究所最深部
「ふわぁ~、僕もそろそろ行こうかな。」
「気を付けてください、アリエ。あなたはあまり戦闘向きではありませんよ。」
「大丈夫。それぐらい弁えているから。」
眠そうな表情の女性、アリエがあくびをしながら入口に向かう。水晶を持っている女性、ピスケラはアリエを心配しながら見届けた。彼女達のやり取りを見ていた所長はどこかへ電話をした。
「ゲーテウェルズです。実験は最終段階に入りました。見に来てください、━━━━━さん・・・」
地下に入って捜しているヴァンガスの前には大きな亀に乗った少年が現れた。少年は亀の上に立つと意気揚々と自己紹介を始めた。
「来たな、侵入者!僕は傭兵クランゾディアックアルゴの水瓶座のエリウス!それと相棒のアクタルだ!」
「・・・おい、水瓶座の瓶はその亀じゃないぞ。」
「え・・・」
ヴァンガスの指摘に両目を点にしたエリウスはアクタルに確認するとアクタルは頷いた。すると、エリウスはアクタルの上で膝をついて愕然とした。
「そんな・・・」
「知らなかったんかい!」
アクタルの上で愕然としたままのエリウスを少し不憫に思いながらもヴァンガスは無理矢理にでも突破しようとした。
「悪いがガキのお遊びに付き合ってる暇はねぇんだよ。」
「お遊びじゃないぞ!」
エリウスは水魔法で攻撃するがヴァンガスは全てはねのけた。エリウスが驚き戸惑っている隙にヴァンガスが突き進もうとした瞬間、アクタルが頭突きでヴァンガスを吹っ飛ばした。
「!」
「・・・悪いがエリウスの大事な仕事だ。失敗させるわけにはいかんのだよ。」
「お前・・・喋れるの!?」
「いつ話せないと言った。」
「いや、話せないなら言えねぇよ。」
いきなり喋ったアクタルに驚いたヴァンガス。しかし、すぐに戦闘態勢に入り炎の渦を作って放った。アクタルは水で瓶を2つ作るとそこから水を出して炎をかき消した。
「ちゃんと水瓶座の意味分かってるんかい!」
「あの時違うと頷いていただろ。」
アクタルはエリウスを守るように水瓶を操作するとエリウスにステータスアップの強化魔法をかけた。
「俺はこいつが小さい時から共に過ごしてきた。俺の夢はいつかこいつが立派になって俺を養ってくれること。だから、共に生きる。いつか二人で上手い酒が飲めるその時までな。」
「こ、この亀・・・めっちゃハードボイルドなんだけど!なんで亀が無茶苦茶カッコいいこと言ってんの!?っていうかお前は酒飲めるのかよ?」
「ふっ。知れたこと。我がゾディアックアルゴで酒が飲めるのは俺とリーダーとタウガスとリブリアだけだ。」
「いや、知らねぇよ。なんだよゾディアックアルゴって。」
ヴァンガスはアクタルにツッコミ入れながらも風魔法で攻撃を仕掛けた。アクタルは水瓶で攻撃を防ぎエリウスが強化された水魔法でヴァンガスを攻撃する。今度は水魔法を紙一重で避けるとアクタルに向かって鋭い爪で攻撃しようとした。すると、アクタルは首を引っ込めた後、一気に伸ばしてヴァンガスに頭突きした。
「《亀頭突き》!」
「!?」
ヴァンガスは腹を抑えながら下がるとアクタルに聞いた。
「おい、今なんつった?」
「?」
「さっきの技なんだ?」
「亀頭突きだが?」
アクタルが答えた瞬間、辺りが静まりかえった。その静寂を破りヴァンガスがアクタルにツッコミ始めた。
「・・・おもいっきりアウトだろうが!?完全に下ネタじゃねぇか!」
「何がおかしい?亀の頭突きなんだから亀頭突きだろ?」
「いや。理屈はあってる。けどその技名はダメだ。いろんなところから怒られるぞ。」
ヴァンガスとアクタルが言い合う中、エリウスは何のことか分からず首を傾げた。
「なんと言われようと俺は俺のやり方でエリウスを守る。」
そう言ってアクタルは首と手足を引っ込めるとそこからジェット噴射して回転しながら飛び始めた。
「・・・それもアウトー!なんで某有名怪獣と同じことしてんだよ!?」
ヴァンガスのツッコミも虚しくアクタルとエリウスは回転しながら水魔法で攻撃してきた。
「あ~、もうめんどくせぇ。さっさと終わらせてやる!」
ヴァンガスは水魔法を掻い潜りながら突っ込んで行った。
次回予告
次はエウリア戦でーす。
「おい!俺の活躍はどうした!?これで終わりか!?」
「段々いつものテキトーな予告になってきてるわね。」




