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癒し処の四姉妹  作者: 井上みなと
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癒し処にやってきたお客様4

 眉シェーバーなら自分も使っているので、だいたいどんなものか予想できる。


 コーティングされた丸い刃先で剃っていく感じなのだろう。


「耳たぶと耳珠という顔側の出っ張ったあたりをメインに軽くあてて剃りますね」

「耳珠っていうと、おじさんが耳の毛が飛び出してたりするところですか?」

「そうですね。ご老人になると、この部分から耳の毛がたくさん伸びる方もいらっしゃいます」


 桜子さんの説明に私はちょっと自分の耳が不安になった。


「あ、あの……。私の耳って、その耳珠って部分に耳毛が出っ張っていたりします?」

「いえいえ。耳毛が出っ張ったりはしていないですよ。ただ、見える部分なので産毛を剃るだけです。顔のシェービングの耳バージョンだとお考え下さい」


 耳毛が飛び出しているわけではないと知って安心して、後はお任せすることにした。


「耳のそばなので、ちょっと音が大きく聞こえるかもしれません。気になるようでしたら、すぐやめますのでおっしゃってくださいね」


 音が大きいと先に言ってもらったので、心の準備が出来た。


 桜子さんが耳用シェーバーの電源をオンにする。


 軽いチュイーンという音が近づき、それが耳たぶにあてられた。


 すっすっと撫でられるように耳用シェーバーが耳たぶの上を動く。


 ちょっとくすぐったい、初めての感覚だ。


 耳たぶの部分を剃り終わると、耳珠の部分が縦から横から剃られ、次に耳のふちを上から下に向かってシェーバーが動いた。


 カチッと音がして、桜子さんが耳用シェーバーを止める。


「どうぞ触ってみて下さい」


 言われるままに自分の耳を触ってみると、つるっとした感触がした。


「産毛でも剃ると変わるんですね」

「はい。ピアスをしている写真をアップする前に、耳の毛を剃って欲しいといらっしゃるお客様もいるんですよ」


 今は写真が鮮明だから、気持ちがちょっとわかる気がする。


「それでは耳かきを始めますので、ちょっと明かりを寄せますね」


 桜子さんが持ってきたのは、行燈のような形をした和風ランプだった。


「畳の雰囲気に合わせたものなんですね」

「ええ。見た目は和風ですが、明るさが調整出来て、良く中が見られるんです」


 行燈は私の頭の後ろ側に置かれて、私の耳を照らしているようだった。


「それでは、耳かきを始めますね」


 耳のふちをつまんで、軽く後ろに引っ張られる。


 じっと耳の中を見られているとどこか緊張するけれど、桜子さんの手が柔らかいからか怖さはない。


「耳の入り口あたりからかいていきますね」


 桜子さんが台から大きめの耳かきを取るのが見えた。


 その耳かきが耳の入り口に触れる。

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