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僕と友達のデート大作戦

 そして、僕たちは初めてのデートのために作戦を練っていた。僕たちと言っても……当の本人である僕は二人の意見の出し合いになかなか参加できていなかった。


「他には……あ、そういえば、桜花はどんな服を着ていくの?」


「それは自分に任せてくれ!! 今までに一度だけ悠雨が気に入ったキャラがいたんだけど、そのキャラ今思うと、桜花ちやんにそっくりなんだよね〜。だからそれに合わせる。」


「己丞、あんたのこと信用して無いわけじゃないけど……大丈夫なのよね……。」


「これに関しては任せて欲しい!!」


このようになかなか僕は話し合いに入れていなかった……。二人が真剣に考えてくれてるのは嬉しいんだけど、ちょっと熱が入りすぎていて僕は思わず苦笑い。


すると、苦笑いをしていた僕に朱希が突然話を振ってきた。

「それと、これは謝らないといけないんだけど……桜花、その格好で会うにあたって……雪華ちゃんの存在をどうしようかと……。」


すっかり忘れていた……。

悠雨には僕のこの状態で会った時に朱希の従姉妹の雪華ちゃんという設定で今の僕のことを説明してしまっていたのだ……。


このことで僕と朱希は結論が出ないまま頭を悩ませていた。するとそこで己丞君がこんな提案を出してきた。


「どうせだったら、雪華ちゃんとして初めの方はデートしてみた方がいいんじゃないのかな……? 桜花ちゃんだって、真っ先にこれが自分ですって言うよりはまだ気持ちが楽だと思うけど……」


たしかに、それはいいかも……。

内心そう思ってしまった……。


「でもそれって、悠雨を騙すことになるし、それに……桜花を受け入れてもらう手段としてはちょっと……」


朱希は心配そうに訴えた。それはそう……もしこれで成功してしまったら、悠雨は僕ではなく女の子としての雪華を好きになってしまうから……。


そうなってしまうのは、絶対に望ましいことじゃない……。それをわかっていても、僕は一度だけでもいいから、僕のことを女の子として意識して欲しいという思いを拭えなかった……。


「己丞君!! 、僕はその提案にのりたい……。」


「ちょっと! いいの!? もし、伝えられなかったら……悠雨は桜花のこと、ずっとわからないままになっちゃうよ!! それでもいいの!?」


「いいわけない! そんなの絶対……、でも……それでも……悠雨に意識してもらいたい!!」


僕は涙を流しながら、朱希に思いを伝えた。朱希も僕のために必死になってくれている。ずっと一緒にいてくれた、初めて僕を受け入れてくれた友達、とても感謝している。


でも、やっぱりここだけは、自分の思いを優先したい!


「フゥ……、わかった。桜花の決めたことなら私は止めない。でも、絶対に後悔だけはしないこと、それだけは約束して。」


一呼吸おいて、朱希はそう言ってくれた。だからこそ、約束は絶対に守りたい。


「わかってる、絶対に後悔だけはしない。」


僕はわかってる、ずっと僕のことを心配してきてくれた朱希はやっぱりまだ不安なんだと思う。でも、自分で進まなきゃ、自分の手で切り開かなくっちゃ。


「あ、あの……そろそろ自分が入ってもいいかな……?」


この空気の中で、なにか抜けなように話に入ってきた己丞君に僕と朱希は吹き出し、さっきまで真面目に強ばっていた表情も一瞬でほぐれた。


「えっと……、ではさっき話していた通り、桜花ちやんは朱希の従姉妹として会うわけね。」


「うん! それでよろしく。」


「よーし! それなら設定は年下っと……あ、ならあれも追加で……」


己丞君、なんだかすごく楽しそう……。

己丞君の様子を見て、また顔を合わせて微笑む僕ら。その後に、朱希は己丞君には絶対に聞こえない声で僕に伝えてきた。


「まあ、ああいうところがいいんだけどね……。みんな知らないんだろうな〜、己丞に夢中の奴らは(笑)」


「ふふっ、そうだね。」

その時の朱希はすごく嬉しそうで、本当はこう言ってあげたかった。


己丞君を本当の意味で好きなのは、朱希だけだよって。それに、昔に己丞君から聞いたんだ。


「桜花ちゃん、自分は朱希のことが好きだ。でも、自分が近くにいると、朱希を苦しめることになってしまう……。だから桜花ちゃん、朱希のことをよろしく頼めるかな……? 自分が朱希のことを堂々と守れるようになるまで……。」


「うん!! 任せてよ!。 僕は朱希の友達だもん。」


このとき、朱希の気持ちを己丞君に伝えてあげたかったけど、朱希は自分自身の言葉で伝えたいだろうから、あえて言わなかった。


二人が応援してくれた分、僕もちゃんと応援してるからね!



そして、この話し合いの後、本格的なデート当日の準備が始まった。






〜続く〜

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