プロローグ
はてさて、これより語りますのは、
とある少女と少年のお話。
人の記憶からも忘れ去られた神話の時代。
全ての生物はひとつの世界で暮らしておりました。
みんな仲良く元気良く……。
そんな理想がまかり通るわけもなく。
当然、弱者は強者に文字通り、
食い物にされておりました。
ある時、この世界を創った神が、
自分の姿に似通った姿を持つ、
一番か弱き者たちを哀れんで、
世界をふたつに割りました。
自分の姿と似たような姿をした、
か弱き者たちを地上へ。
それ以外の者たちを地下へ。
こうして、ひとつだった世界は、
地上と地下というふたつの世界に分かれました。
そんな事があったことすらも、
そこで暮らす人々の口に上らなくなるくらいの
途方もない時間が過ぎ去った頃――。
地上に突如、塔が立つようになったのです。
時間も場所も関係なく、なんの前触れもなく、
突如として立つ不気味な塔。
塔が立つと、その周りには、
およそ人が入り込めない、
不気味な森が拡がります。
そう。
これはそんな時代のお話。
今日もまた、新たな塔が出現します。
もう一話、今日中に出します。