従ってはいけない異世界召喚
病院でとんでもない事実を聞かされ、もう理想の異世界生活は諦めつつある俺は、ラディナ(少女)とまた歩き始めた。
「ねぇ、カイマくん!?あなた私の使い魔辞めたがってましたよね!?あなたが望むなら今から辞めてもいいんですよ!あなたが望む自由が手に入りますよ!」
俺のスキルが分かった途端の突然の態度豹変は何かムカつくな。
しかも少しあたふたしてるように見える。
「俺が自爆するのがイヤなら、主人として俺にスキルを使わせないように命令すればいいじゃないか。」
「そういうことではないんですよ!」
自爆がイヤじゃないんなら、ラディナが慌てる理由は一つしかない。
「じゃ明日から俺に見張りにつく警察のことか?」
「ギクッ!」
分かりやすい反応ありがとうございます。
「で、具体的にどんなことやってるんだ?」
「べ、別に、危ない薬品作って闇市で売りさばいたりなんかしてないんですからね!あと、使い魔使って人体実験なんて、やるわけないんですから!」
そうか、思った以上にこいつヤバいな。
もし俺に警察がつかなかったら俺も人体実験を施される可能性もあったってことかよ。危ねえ。
「ほら、もしかしたら明日警察が来る前に私があなたに人体実験施しちゃうかもしれませんよ!それがイヤならさっさと使い魔辞めちゃってください!」
本来なら辞めたかったけど、辞めろって言われると従いたくなくなるのが人間の性ってものよ。
と、ここで俺ひらめく。
ラディナは何でも俺に命令できるんだよな。
しかもラディナは俺が使い魔を辞めることに拘っている。
ならこれをすれば、ラディナは俺にこう命令するだろう。
多分今までの言動から察するにラディナの知能レベルは低そうだから、この作戦が成功しそうだ。
「俺は辞めない。」
やはりラディナは目を見開いて驚いた顔をする。
「何でですか!?あなただってさんざん辞めたがってたでしょ!?」
お前に復讐したいからだよ。
っていうのが正直な意見だったが、こんなこといったら作戦成功する前に潰される。
つくづくこいつが読心解除してくれて助かったよ。
「なぜなら俺はお前の使い魔だから。」
我ながら意味の分からない理由だと思ったが、こう言えばより作戦に乗りやすくなるだろう。
「それじゃ」
これは作戦に乗っかったんじゃないか。
「私が主人としてあなたに命令するほかないようですね!」
キタコレ。
「〈契約解除〉!」
ぐへへへへ。