使ってはいけないカイマのスキル
俺はスキル診断で意識を失ったあと再び回復し、少女と一緒に医者に呼び出された。
「えっと、ラディナさん?その使い魔さんに致命的な欠陥が見つかったのですが、落ち着いて聞いてください。」
まさか本人からではなく医者から主人の名前を知ることになるとは。こいつラディナっていうのか。
それはそうと、果たして医者から何を言われるのだろうか。
ごくり。
「まず、使い魔さんのマナ適合型は吸収型でした。」と医者。
「それは想定内です!むしろマナ適合しているだけで良かったです!それ以外に私の使い魔にどんな欠点があったのですか!?」と少女。いつでも元気いっぱい。
「それはですね……」
固唾を飲んで次の言葉を待つ。ごくり。
「使い魔さんのスキルはですね……」
ごくり。ごくり。
「〈自爆〉です。」
「えっと、自爆ってことは、スキル発動したら俺の周りが爆発して、俺だけは都合よく助かるみたいなそんな感じすか?」
そうだ。きっとそうだ。異世界に召喚されて、使ったら死ぬスキルを背負わされることあるはずがない。
「いえ、あなたも死にます。」
最悪だぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!
スキル使ったら死ぬ使い魔とか、異世界ヒエラルキーの最底辺でしかないだろぉぉぉぉぉお!!!
どうあがいてもバッドエンドの道しか見えないっ!
「さらに言えばあなたの体の内側から爆発が発生するので、最期はあなたの骨も何も残りません。」
「そんな!ひどいですよ先生!」と少女。
あ、この少女も本当はちゃんと俺を気にかけてくれてるんだな。キュン。
「こいつを一回特攻させたらもうそれで終わりじゃないですか!スキルを使って死ぬまで私のために働いてもらおうと思ってたのに!」
俺の胸キュン返せ。
「いえそういう問題ではなくてですね。」
医者も軽く流すな。
「この使い魔さんの自爆はですね、国一つなら簡単に滅ぼせる程の火力を持っているのですよ。」
え強すぎ。
自分の命を犠牲にさせすれば好きなものを破壊できるのか。
「というとこで使い魔さんのスキルは危険と判断され、明日からヘラクヘウム警察より数人使い魔さんに監視がつくようになりました。」
あーただでさえ今この少女に支配されてるのに、更に国家権力の監視まで受けなくてはいけないとは。
「とりあえず本日はお帰りください。ラディナさんも、使い魔さんにスキルを使わせないように見張っていてくださいね。」
医者はそう締め括り、部屋から出ていった。
まさかの第六話でようやくヒロインの名前が明らかになるという。