からかってはいけない主人の○○
ダブルクォーテーション(“”)で囲まれた部分は、カイマが心の中で意識的に《少女》に話しかけているところを表します。
事が終わった俺らは何事もなかったかのように立ち上がり、再び歩き始めた。
“俺はな、お前に二つほど指摘したい。“
と俺は、この少女が読心していることを前提に話をする。
「ん、何ですか!?」
“まずな、さっきから俺は心の声で話しているけど、お前はちゃんと声を出して話している。つまりお前は周りから見れば一人で話していることになるわけだ。“
「それがどうしたんですか!?」
"察しが悪いな。つまりお前は周りからおかしな奴だって思われてんだよ。"
「そんなことぐらいで私は…………ってよく考えたら恥ずかしいっ!?」
はっはーざまーみろ。
俺を使い魔にしたバツだ。やーいやーい。
相手反応してないのに一人でめちゃくちゃ元気に話してるイタイ奴とでも思われてろ。
「聞こえてますよ~!?」
あいすみません。
“で、二つ目、ここはかなり人通りの多い路地です。”
少女は学習したらしく、何も言わずにただ頷いて相づちを打った。
“そこであなたは俺にキスをしてきました。しかも立ったままではなく押し倒して。”
少女、刹那の停止。
その後少女は何かを察したかのように目を見開いた。
ばっと振り返り、周りを見回す。
するとこの少女を腫れ物を見るように横目で見ていた群衆は一斉に目をそらした。
群衆の中にいた一人の子供が「あのお姉ちゃんチュッチュしてた」と母親に向かってあどけなく言うと、母親は「気にしたら負けよ」と子供に諭し、小走りで去っていった。
“さあ、これであら不思議、街の変わり者が完成です。”
「………………っ!」
少女は顔を赤くして手で隠し、しゅんとしていた。
はっはーざまーみそしる。
俺を使い魔にしたバツだ。やーいやーいやーい。
街中でも突然事に踏み切っちゃう変態とでも思われてろ。
「ぐすん。結局、あなたは素直ないい子ではなかったのですね…!」
ふん。お前は胸小さいくせに態度がやたらデカいからだよ。
……突然空気の流れが変わったのを感じた。
「あなたは……」
へっ?
突然掌にエネルギー弾みたいなの作っちゃってどうしたの?
「思ってはいけないことを思ってしまったようです。」
“おい冗談はよせよ。それよりお前また一人で喋ってるぞ。周りから変な目で見られてもいいのかよ。”
「心配いりません。あなたを目撃者もろとも消してみせますから。」
おい待て
どこに地雷があったんだ?
やっぱり
『閃光弾!』
むn……