バベルの世界「本戦」
またまた、新しくブックマークしてくれた方ヽ(´▽`)/
誠に有難う御座います!
仕事で投稿が遅くなっていますが、まだまだ続けて行きますので
宜しくお願いしまっす
クロとシロとの交渉に決裂した翌日、
会場内では、ちょっとした問題が起きていた。
会場に着いた俺達は、話を聞いてみると本来、
予選の殲滅戦後に何度か予選を行い本戦に
出場する予定だったのだが、バベル達の
戦闘を見た者達が次々に欠場したのだ。
確かに、あれだけ派手に殺れば
多少腕に自信が有る程度では惨殺される事が
目に見えている試合なんかしないだろう。
なので急遽、俺達は本戦に参加になり
トーナメント表を確認しているのだが……。
悪意しか感じない振り分けに目眩がする。
本戦一回戦。
ボス 対 第1騎士団ウィル・アルバーニ隊長
京香 対 第4騎士団グレイ・フォーゲル隊長
ガストラ 対 第5騎士団ウィンザー・レビィル隊長
ガル 対 騎士団リヒト・アルバーニ団長
バベル 対 第2騎士団キャス・ナルフェス隊長
何だ、コレ…何だよ!!コレは!?
何で騎士団隊長クラスが大会に参加してんだよ!
完全に俺達を潰しに掛かってるじゃねーか!!
しかも俺の相手……もう泣きそうだよ…。
何で対戦相手が騎士団のトップに君臨している
白狼のリヒトなんだよぉ。
「ハッハッ、潰しに来たか。困ったもんだ」
そうは言ってもバベルの顔は、いつも以上に明るい。
何で、こんなにヘラヘラ出来るのか。
「公衆の面々でぇ戦えるのは良いねぇぇ」
「これってチャンスだよね?」
「……一歩近づくっすね。バベルさん」
はっ?
こいつ等、一体全体何言ってんだ?
チャンスな訳ねぇだろ!!何を、どう考えたら
チャンスになんだよ!
あれか?騎士団が俺達を捕まえるチャンスか!?
それならチャンスだろうな!
「フッフッ、ガル。良い感じに運が向いて来たぞ」
「さっきから何言ってんだよ!?運?チャンス?
馬鹿じゃねーか!!最悪の対戦相手じゃねーかよ!
完全に潰しに来てる証拠だ!
俺の相手なんて白狼のリヒトだぞ!
この国の騎士団トップだ!それ以外にも隊長クラスが
総出で出場なんて絶望だろ!」
捲し立てる様に声を荒げるガル。
「負ければ絶望だな。なら、勝ったら?
民衆が見ている前で騎士団の連中が人間に負けたら
どうなると思う?」
はぁ?勝ったらって………あっ!
何かに気付いたガルにバベルは満足そうに笑う。
「ハッハッ!国が誇る騎士団が人間の、しかも犯罪者に
負けるんだ。
民衆は絶望するだろうな!
今までの凝り固まった価値観が崩壊するんだ!
クハハ!国が、引っ繰り返るぜ!」
そう……そうだよ!
もし、もしも万が一騎士団の隊長や白狼のリヒトが
バベル達に負ける様な事になったら大事だ!!
これだけの民衆や貴族達が見ているんだ。
揉み消すのは不可能。
ガストラに至っては一度、ウィンザー隊長に勝っている。
国が大混乱になるぞ。
「そうなれば、国の掌握もスムーズに行く。
貴族や国のお偉い方も俺達に尻尾を振るだろうな。
それに、騎士団は綺麗揃い。
良い値段で売れるだろうよ。あの綺麗な身体を
滅茶苦茶にしてみたい連中になぁ」
バベルの邪悪な笑みに背筋がゾッとする。
騎士団を奴隷として売るなんて想像した事も無かった。
スラムで育った俺が特権階級の者達を売る……
間違い無く悪人として歴史に名を残す所業だ。
「相変わらず下衆な男だな、貴様は」
「あぁ?」
凛とした声が周りに響きバベル達が後ろを
振り向くと、白狼のリヒト団長と隊長達が
悠然と立っていた。
「これは、これは騎士団様が勢揃いで何か御用ですか?」
茶化す様に声を上げるバベルに周りの隊長達の
顔が厳しい表情になる。
「随分と余裕そうだが我等に勝つつもりか?」
「余裕だな。実際、俺の部下に1人負けてるだろ?
それに取り逃してるじゃねぇか。
国の最高戦力が聞いて呆れる」
バベルの言葉に他の大会参加者達や野次馬達が
騒めきだす。
さっきから視線を感じていると思ったが、
かなりの野次馬が集まっていたみたいだ。
当然だよな。
方や一方は、絶世の美女騎士団。
方や一方は、極悪非道の犯罪者達が睨み合いしてんだ。
集まるなって方が無理な話だろう。
「次は、逃がさん!」
リヒトの口調に少し怒気がこもる。
「ハッハッ!こんな美人に追い掛けられるなんて
光栄だな。是非、捕まえてくれ。
もし君を抱かせてくれるなら喜んで飛び付くぞ?」
うわぁ…騎士団の隊長の方々の顔が超怖い。
眼を合わせない様にしよう。
「ふふっ、私を抱いた後に貴様が処刑台に赴くなら
考えておこう」
お、おおう…リヒト団長も結構言うな。
隊長達もリヒト団長が、こんな返しをするとは
思っても見なかったんだろう。
綺麗な顔が凄い事になっている。
「ハッハッハッ!いやぁ、実に愉快だ。
あんた、良い女だよ。久しぶりに惚れそうだぜ」
「悪いが、好みでは無いな」
あっ…バベルが崩れ落ちた。
こーゆう所は精神的に弱いんだよな。
「ガ、ガストラ///久しぶりだな//」
顔を赤らめながらガストラに声を掛ける
ウィンザー。
前の戦いでガストラに敗れた隊長で現在ガストラに
惚れている。
「お久しぶりっす。相変わらず可愛いっすね」
「かっ!?かわわわわ///!?」
ガストラに声を掛けられたウィンザーは今にも
顔から火が出そうな程、真っ赤だ。
そして、周りの野次馬や参加者の一部から
殺気の篭った視線を向けられているガストラ。
「貴様が、ポス・ホバックか!?」
ガストラとウィンザーがイチャ付いている横で
ボスに話しかけている奴が居た。
「だぁれぇ?君~?」
「第1騎士団隊長のウィル・アルバーニだ!
貴様だけは絶対に許さんぞ!!」
おぉ、何か穏やかな雰囲気じゃないぞ。
何切れてんだ?……まぁ、怒る理由なんて腐る程
有るけどさ。
「我々の部下達の腕を切り落とした犯人は貴様だろう!?
その者達は、職務に復帰する事が出来ず
苦しんでいるのだぞ!!心は傷まないのか!?」
「あぁ~、あったねぇ。そんな事もぉ~。
特にぃ何も感じないねぇ。と言うかぁ、あの馬鹿共を
復帰させようとしてたとか想像以上に頭が悪いんだねぇ。
騎士の連中はぁ~」
あー、ウィルの顔から血管が浮き出して
ピクピクしてる。
完全に激怒しているな。
「必ず鉄槌を下してやる!我が正義の名の元に!!」
ビシッとボスの顔に指を指す。
そんなウィルに対しボスは、
ウィルの綺麗に装飾が施されたフルプレートの鎧に
吸っていた煙草を指で弾きぶつける。
「君の正義が、どの程度か楽しみだよ」
この二人の側から離れよう。
いきなり殺し合いを始めそうな雰囲気だもん。
そんな雰囲気も物ともせず会話をしているのが
京香とグレイだ。
「ふふっ、随分と動きにくそうな身体だね?
特に胸が邪魔なんじゃないかい?」
「そんな事無いわよ~、女として大事な魅力だもーん。
まな板の貴方には解らないかもだけどね!」
こっちは、こっちで女の戦いでバチバチだな。
胸がどーのこーの言ってるが…どーでも良くないか?
「僕の剣技で邪魔な脂肪を切り落としてあげるよ」
「あはは~、アンタは、バベルに頼んで変態共に
売り飛ばしてあげるわ。
そーすれば、少しは胸も大きくなんじゃない?」
やべぇな、此処が一番怖いかもしんねぇ。
関わらない様にしよ。
「ちょっと!そこのチビ!」
ああん!誰だ!俺の事をチビなんて
言った野郎は!!
そこには、無い胸を精一杯強調しながら仰け反っている
キャスの姿があった。
「てめー!今、チビって言いやがったか!?」
「えぇ!だってチビじゃん!獣人の癖に人間とつるんで
悪さしている奴なんて器の小さいチビよ!
リヒト姉様にギタギタにされちゃいなさい!」
こ、こいつ!俺より身長が小さい癖にチビだと!!
許せねぇ!!
「てめーの方がチビだろうが!
ったく、胸も身長も無い癖によ!」
「なぁ!!?」
俺の言葉で顔を真っ赤にさせながらプルプルと
小刻みに震えているキャス。
後、グレイが俺に殺気を放っているのが怖い。
「絶っっっ対に許さないんだから!!
リヒト姉様に言いつけてやる!!」
「言ってろ!!馬鹿!!」
こーして、皆、各々と小さな宣戦布告をして
本戦が始まるのであった。




