バルダットファミリー
[アテゴレ地区・バルダットファミリーアジト]
「シバァの兄貴…バルドさん達、遅すぎませんか?」
トレーニング後であろう、汗が滝のように流れ
シバァの部屋は、熱気に包まれている。
シバァの兄貴は、バルダットファミリーのNo.2だ。
そして、シバァさんの実兄が頭領のバルドさん。
この2人で、ファミリーをデカくしたと言っても
過言では無い。
事実、この2人のお陰でメンバーは200人を超え、
稼ぎも、かなりの額になっている。
それ程の実力者なのだ。
それと…イケメンだ。
ウェーブが掛かった赤い髪に顔は少し幼く見えるが、
キリッとしており筋肉も実戦的な筋肉だ。
日々の訓練の賜物だろう。
男の俺でも、惚れ惚れする。
…一応言っとくが、男色じゃないぞ。
漢気に惚れたってだけだ。
「確かに、遅いな…取引相手は?」
「ガルって言う人身売買を生業にしてる
小悪党です。」
今回の取引は、ガルって餓鬼だ。
何度か取引してる相手だし顔も一度見た事がある。
「小悪党か…なら、問題無いだろう。
どうせ、仲間達と馬鹿騒ぎでもしてるのさ。」
「ハハッ、確かに、そうですね。」
バルダットファミリーに喧嘩を売ったら、どうなるかなんて
馬鹿でも解るし、そもそもバルドさんに勝てる訳無い。
あの人は、昔、敵対していたファミリーを1人で
潰したぐらいだ。
(ザワッ…ザワッ…ドカッドカッドカッ)
「んっ?何か、下が騒がしいですね?」
アジトの一階が何やら騒がしい。
何だ?…まさか、敵対してる連中か?
いや、この辺で敵対してる連中は全部潰したが…
答えは、すぐに解った。
(バンッ!!)
部屋の扉が勢い良く開けられる。
「なっ何だ!!?これは!?」
いきなりの光景で声を荒げる。
「そ、それが…取引に行った仲間が帰って
来たと思ったら、こんな事に…。」
血が止まらない。
治療魔法も使える者も居るが軽度の怪我を
治すぐらいだ。
「……誰に、やられた?」
(ボソッ…ボソッボソッ……)
シバァの兄貴に小さく耳打ちし…死んだ。
「シバァの兄貴……。」
「土に還してやれ。」
死んだ仲間を土に埋めてやる。
俺達、スラムの奴らで土に還れるなんて希だ。
殆どが、路上で野垂れ死んで、蛆とゴミに埋もれちまう。
だから、こいつは、まだ幸せ者だ。
埋めた後に、シバァの兄貴の所に向かうつもりだったが、
兄貴の方から来てくれた。
しかも、腰には剣をさし武装した状態で。
「ルイス、取引があった現場に行くぞ。
準備しろ。」
後ろには、既に武装した仲間が20人程、揃っていた。
「はい!」
剣を取り、シバァの兄貴について行った。
モブキャラは、アルファベットの表記になりますヽ(´▽`)/