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異世界ブローカー  作者: 伍頭眼
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バベルの世界「招待」

ブックマークして下さった方が10人になりました!

嬉しいですねー!しかも評価までして頂いて感謝感激です(*゜▽゜*)

皆さんのお陰でヤル気が出ます!

支えてくれている皆さん本当に有難う御座いますヽ(´▽`)/

これからも、宜しくお願いします!

「初めましてだな。俺は此処の冒険者ギルドで

 ギルドマスターをしているディドと言う」


俺達は、ギルドマスターが到着したと同時に受付嬢の

イザベラと共にギルドマスターの部屋に案内された。

普通ギルマスとの面会はCランク以上のランクに昇級する

試験の時や優秀な冒険者が主だ。

人間がギルマスに会う事など滅多に無いと言う。


「お前達には前に随分と世話になったな」


「世話?初対面だが?」


ディドの言葉に訝しげな表情をするバベル。

そのバベルに声を1トーン落とした低い声でディドが

口を開く。


「俺のギルドを半壊させて冒険者達を何人も

 殺しただろう」


眼を細めバベル達を威圧するような声で凄む。

ハッキリ言ってメッチャ怖い…。

齢50は軽く超えているであろうディドだが、

身体は鍛えこまれ無駄な脂肪が一切無い。他の冒険者達と

違って筋肉もただデカイだけでは無く実戦に特化したような

筋肉の付き方をしている様に見える。


「何か言ったらどうだ?声も出ないか?」


ディドが口元を軽く釣り上げ不敵に笑う。


「お前、虎の獣人か?」


「そうだが?それが何……なっ!?」


ディドが答え終える前に剣崎とボスの刃がディドの

首筋に当てられガストラは拳銃を構えていた。

余りの早業にゴクリっと喉を鳴らす。


「虎の獣人なら剥製にしても良いかもな?

 その立派な毛並みなら高く売れるんじゃないか?」


バベルの純粋な悪意の笑みに先程まで不敵な笑みを

浮かべていたディドの顔が引き攣る。


「解った、解った!降参だ!ちょっと試して見ただけだ。

 全く冗談の通じねぇ人間だぜ」


両手を上げて肩を竦めながら溜息を吐くディド


「はっはっ、こっちも冗談のつもりだったんだがな。

 お前の方こそ冗談が通じないんじゃないのか?」


ケラケラと笑いながらボス達に戦闘体制を解かせ

先程の行いが冗談と言う。

その言葉にディドは小さな声で「よく言うぜ」と

呟いた。


「で?俺達みたいな賞金首に何の用事だ?」


「別に賞金首だからってアテゴレのギルドは

 門前払いしないぜ?此処のギルドは冒険者に

 登録していれば仕事を紹介する。

 まぁ、ランクに応じてだがな」


ディドは顎を摩りながらアテゴレ…つまりスラムの

ギルドに関する簡単な説明をしてくれた。

要は、貴族街や平民街にあるようなギルドは真っ当な

仕事を紹介するが脛に傷がある奴や犯罪行為に手を

染めている者達はスラムのギルドでしか仕事が貰えない。

当然、汚れ仕事で危険度も増す。

一応、ギルド組合では犯罪行為を行った者は

冒険者カードを剥奪となっているがスラムでは腕が立つ者も

多いので暗黙の了解となったいるそうだ。


「成る程な。仕組みは大体解った。それで、何の用だ?

 まさか俺達に魔物を討伐なんて言わないよな?

 これでも忙しいんでね」


魔物の討伐と言う言葉に京香とガストラが眼を

輝かせている。


「そんなんじゃねーよ。俺は頼まれただけでな」


そう言って一枚の上質な紙を手渡した。

そこには、王族の印が押されている。

バベルは、紙を受け取ると、そのまま流れる様に

俺に手渡して来た。

読めって事だ。

全く…何で俺が…バベルだって、もうこの世界の文字は

理解してるだろうに。まっ!そんな事言っても無駄か。

うーんと…どれどれ~。


手渡された紙には、こう書かれてあった。


『貴殿等は、ファルシア大国武闘大会に選出せれた。

 誇り高い武の祭典に選出された事を誇りに思い、我が

 主催する大会に全員参加せよ。

 尚、貴殿等に拒否する権利は無く万が一拒否した場合、

 直ちに処罰する。


 セイント・ヴォルフ・バルバトロス第1王子』


マジかよ…武闘大会って国を上げて盛大に行われる武の祭典だろ?

表向きは強者を選ぶ大会だが、実質は人間を公衆の面々で

公開処刑するなど獣人が強さを誇示する大会だ。

国王は反対派だったらしいが民衆には絶大な支持を

受けた為、廃止にする事が出来なかったと噂で聞いた。


俺達、そんな大会に呼ばれるのかよ。しかも、

セイント・ヴォルフ・バルバトロス第1王子直々の

招待だ。当然、普通なら断れない。

しかし、普通じゃないバベルは、断るだろうな。


「馬鹿馬鹿しい。断る」


ほらね。バベルなら絶対こう言うと思ったわ。

内心ホッとしたぜ!ナイスだ!


そんなバベルに食い下がる約2名のお馬鹿さん。

当然、京香とガストラだ。


「えぇ~、良いじゃん!出ようよ!楽しそうだしー」


「自分も……興味あるっす…」


京香は、バベルの肩を掴み説得しようとしている。

しかし、バベルは首を縦に振らない。


「何故、わざわざ自分の手の内を見せないといけない?

 そんな事する犯罪者が居る訳無いだろうが。

 そもそも、こんな胡散臭い大会に出るメリットが無い。

 それとも何か?お前等は楽しそうと言う理由だけで

 他の仲間を危険に晒す新兵か?

 もし、どうしても出たいなら勝手に出ろ。

 その代わり京香とガストラはクビだ。

 金輪際関わるな」


いつもの冗談めいた口調では無く本気の口調で

2人に警告するバベルに京香もガストラも

自分の浅はかな言動を後悔する。

俺もバベルが仲間に本気で叱責する光景は初めて

見るので滅茶苦茶ビビる。


「……御免なさい…バベル」


「申し訳ありません…」


京香とガストラはバベルに頭を下げた。

正直驚いた。最初は結構なぁなぁな上下関係だと

思ってたけど全然違った。

バベル達のグループは徹底された上下関係が構築されている。

それだけ、京香達がバベルを認めている証拠だし、

それと同じぐらいバベルも京香達に信頼を置いている証拠だ。

だから、甘さだけで無く厳しく言うのだろう。

あれだけの戦闘能力を持っている部下を従わせるのは至難だ。

不甲斐ないリーダーなら寝首を掻かれるだろう。

けど、京香達はバベルに謝罪した。それだけ京香達にとって

良い上司なんだろうな。

バベルは、人間だけど俺から見ても少し誇らしいと思う。


謝罪を受け取ったバベルは「解れば良い」と一言だけ

言って煙草に火を着ける。

重苦し空気が軽くなりホッとしたのも束の間、

ボスが京香とガストラの前に立つ。


バキッ!ドゴッ!グシャ!!


京香とガストラを思い切り殴り付け倒れた所を

更に蹴り抜く。

その光景にディドと俺は顔が真っ青だ。

全く手加減していない攻撃に京香とガストラは痛みに

顔を歪ませる。


「お前等の様な馬鹿共が仲間を危険に晒すと言う事を

 忘れたのか?自分が優秀だとでも思っているのか?

 自惚れるな!

 戦闘で絶対など無い!経験して来た筈だ!」


こ…怖い…。俺の正直な気持ちだ。

バベルの怖さも異質だがボスの怖さも尋常では無い。

それ程の雰囲気を出しているのだ。


京香とガストラは痛みに耐え立ち上がりボスと

俺にまで謝罪して来た。


「ガルちゃん、ホバック教官、申し訳ありません」


「ガルさん、ホバック教官。自惚れていました。

 申し訳ありませんでした」


「い、いや!俺は別に気にしてねぇからよ!

 あ、頭上げろって…」


いきなり俺にまで謝罪して来たのでマジで焦った。

京香達の冗談では無く100%ガチの謝罪なんて

逆に、どうして良いか解んなくなるぜ。

ボスが「仕事に戻れ」と一言だけ言うと京香達は素早く

仕事に戻る。

京香もガストラも頭から血を流しているけど…、

だ、大丈夫かな…?鞄からポーションを出して

渡そうとしたけど2人は「大丈夫、ゴメンね」と

笑っていた。

うぅ~~、この空気苦手だ…。


「随分と…手厳しいんだな」


此処にも空気に耐えられなかった男が1人。


「部下を危険に晒す上司が何処に居る?この件は断る。

 処罰しに来るなら受けて立つが、俺の土俵でだ」


「……極悪非道冷酷無比…そう聞いていたし、実際、

 そう思っていたが…どうやら違う様だな。

 ………お前みたいな奴が上に立っていたら、

 この国も此処まで腐って無かったかもしれん」


バベルは、ハッ!っと笑いディドの肩を叩き

「笑えないジョークだ」と言い席を立とうとした瞬間、

バーンッと勢い良く扉が開いた。


そこには、焦った顔をしているイザベラの姿があった。

 

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