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異世界ブローカー  作者: 伍頭眼
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バベルの世界「卑怯」

ブックマークしてくれた方、評価してくれた方、感謝感激です(*゜▽゜*)

励みになります!これからも宜しくお願いしますヽ(・∀・)ノ

ファルシア大国の大門を抜けると広大な大地が

広がっており、そこには行商人や冒険者、旅人が

列を成している光景を見る事が出来る。

5つの小国が融合し出来た大国ならではの光景だ。

勿論、今日も賑わっている。

いや、正確には熱を帯びすぎていると言った方が良い。


ファルシア大国の大門の外には、四獅王イアンが

500名程の部下を引き連れ門を背に仁王立ちしている。

その眼は血走っており髪が逆立ち怒りに満ちている。

【紅蓮のイアン】と言われている四獅王が此処まで

怒りの形相をしているのは理由がある。


先日、イアンの妻子が何者かに誘拐されたのがきっかけだ。

愛する妻と目に入れても痛く無い娘を誘拐されれば当然の事だろう。

そんな大切な家族が攫われ、イアンは自身が持つ全ての

コネクションを使用し昼夜問わず探した。

しかし、妻子は見つからず3日が経ち疲弊している所に

小さな小包が届いたのだ。

何かの手掛かりかも知れないと淡い期待を胸に

小包を開けたイアンの目に入ったのは………。


【ネックレス】と【手紙】…そして、【親指と小指】。


ネックレスは娘の誕生を祝った時に買った物だ。

忘れる筈が無い。

イアンは震える手で手紙を開きワナワナと肩を震わせ

咆哮を上げ近くに有る全ての物を怒りに任せ破壊した。

余りの怒りに部下達も震え上がり止める事が出来ずにいたが

床に落ちた手紙を部下が拾い上げ眼を向けると、そこには

驚きの内容だった。


【親愛なるイアン様へ】

君の美しい妻と可愛らしい娘を預かった。

生きて返して欲しければ俺のお願いを聞いてくれ。

一つ、シボラ区域からの撤退。

二つ、全ての利権・金品の譲渡。

三つ、優秀な人材の確保。

これが、俺からのお願いだ。勿論、お願いなので

断る事も可能だ。

ただ、当然断れば君の妻子は生きて帰れない。

君の妻子であった事が解らない程、原型を留めない形で

返品しよう。

返答は2日後、ファルシア大国の大門前で聞かせてくれ。

素晴らしい返事を期待している。

追伸。

妻の指を送るので元気を出して欲しい。

貴方の友人・バベルより。


こんな内容の手紙が送られれば誰だって怒りで我を

忘れしまうだろう。

そして現在、イアンは大門前で誘拐犯を待っているのだ。

しかし、待っているのはイアンだけでは無い。

今の状況を見物している大勢の人、獣人、亜人が

何事かと興味を持っているのだ。

城壁の上から酒を飲む者、イアン達から少し離れた場所で

賭け事の準備をする者など多種多様な者達が集まっている。

これだけの見物客が居れば国の兵士が出て来そうだが

イアンは門の兵士を買収し通達を遅れる様にしていた。

だからと言って、これだけの人数が集まれば兵士や

騎士達が来るのも時間の問題だ。

まだか、まだかと険しい表情をしているイアンだったが

不意に何かが近づいて来る気配がした。


ブロロロロロッ!


聞いた事も無い様な音と共に砂埃を巻き上げながら

見た事が無い鉄の様な塊が近づくにつれ周りが

どよめき始めた。

馬もユニコーンも引いて居ないのに動く物に

皆、驚愕した表情をしている。


「な、何だ…あれは!?」

「馬車?」

「馬鹿!馬車なら何で馬やユニコーンが居ないんだよ!?」

「お、恐ろしい…」


皆、口々に声を上げているがイアンや、それを見た事が有る

者達は一層眉間にシワを寄せた。

一度、見た事があるのだ。四獅王が会談を開いた日に。

そして、乗っている者達も知っている。


車が停まり扉から出て来たのは例の人間だった。


バベル「久しぶりだな。イアン君」


気味悪く薄ら笑いを上げているが相変わらず眼が一切笑ってない男が

軽い感じで話しかけて来た。

その隣には、獣人のガルと京香と言う人間にボスと呼ばれている

奴が居る。


イアン「てめぇえぇええ!!クソ野郎がぁ!

    ララナとルルナは何処に居る!!!」


今にも飛びかからんとするイアンを周りの部下達が

必死に止めている。


バベル「おいおい、そんなに怒るなよ。今見せるから」


車からルルナとララナが降りてくる。


ララナ「イアン!!」


ララナ「お父しゃん!!!」


イアン「ララナ!ルルナ!あぁ、無事だったか!」


イアンの言葉でララナとルルナはコクンッと頷く。


バベル「感動の再会に水を指すのは悪いが、例の条件は飲むのか?」


さて、どうなるかな?いくら妻子を人質に取っているからと言って

イアンはシボラ区域をまとめあげている顔役だ。

組織のメンツだって有るし、部下達の事もある。

あんな条件そうそう飲めるもんじゃない。

簡単に屈服したら部下に舐められるし下手したら組織内で

分裂し抗争になっちまうからなぁ。

スラムの顔役も私情を殺さなきゃならない時もある。


イアン「あぁ!その条件を飲む!!」


ガル 「えっ!!?」


マジで!!あの条件を飲むのかよ!

完全に人間に負けた事になるんだぞ!?しかも、人間に

負けたレッテルを貼られたらスラムの顔役じゃあ生きていけねぇぞ。

他の地に行くのは当然として、また一から遣り直しだ。


イアン「俺は妻と娘を愛している!例え世界中の奴等が

    敵に回ったとしても守るって決めてんだよ!!」


ララナ「イアン…///」


イアンの言葉に周りの見物客や部下達も、おぉ!っと

歓声が上がる。中にはイアンにウットリしている女達も

チラホラ見える。

そりゃそうだ。傍から見れば囚われの姫を救う英雄だ。

そんな御伽話の様な状況を見れば誰だってそうなる。

んで、俺達は悪の魔王って訳だ。


「うおおお!イアン様ーー!」

「かっけぇぇ!俺も言ってみたいぜ!!」

「きゃーーー///イアンさーん!」

「おらぁ!人間!イアンさんの妻子を離しやがれ!!」

「人間が舐めてんじゃねぇぞ!!卑怯者が!!」

「そうだ!そうだ!」


見物人やイアンの部下達が一斉に声を上げ完全に

俺達が悪者だ。まずくね?

つーか、これだけ居る連中を一気に味方に付けるイアンも

スゲェ!

意図して言った言葉で無く本心で言った言葉で

周りを魅了するなんて、若くして四獅王に昇り詰めるだけある。

この状況……どうすんだよ。

妻子を解放して終了なんて絶対無いぞ!!下手したら見物人も

暴徒としてイアンの味方になっちまう。


バベル「解った。解放しよう、ほれ、行って良いぞ」


イアン「ッッ!!?」


ガル 「うえっ!!?」


うええええええ!マジ!もう解放しちゃうの!!

早くね!?もうちょっと身の安全を保証とか無いの!?

いきなり解放しちゃったら手札もう無いじゃん!!

完全に襲って来るだろ!!!イアンもララナ達も呆気に取られてるし。


軽くテンパっている俺の横をスルリと抜け、イアンの元に

走っていくララナとルルナ。

同時にイアンも走り出しララナとルルナを抱き締める。


イアン「ララナ!ルルナ!もう大丈夫だ!!

    怖い思いをさせてスマナイ!!」


ララナ「イアン!いいの!気にしないで」


ルルナ「お父しゃん!お父しゃん!」


抱きしめ合う三人を見た瞬間、地面が震える程の大歓声が

巻き起こった。


「「「「うおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」」」」


拍手が飛び交い、腕を天に上げ咆哮し、喜び、感激し

涙を流す者達まで居る始末だ。全員の眼がイアン達に

向いてる内にずらかった方が良くね?

なーーーんて事考えていたら空気の読めない男が

言っちゃったよ!!


バベル「じゃ、全員出て行ってくれ。あぁ、金品や

    家財道具一式も置いて行けよ?

    後は、優秀な人材もな」


バベルの言葉に先程まで喜んでいた者達が一斉に睨み

罵詈雑言が飛んで来た。


「何が出てけだ!!てめぇが出てけ!!」

「空気読みやがれ!このボケ!」

「人間が調子に乗りやがって!殺しちまえ!」

「そうだ!人間なんて下等生物皆殺しだ!!」


周りからは、殺せの大合唱。

近くに居た奴隷の人間達を暴行する者達も現れた。

あれだけバベルの怖さを知っている住人達も、

完全に今の状況に飲まれている。

そんな大合唱の中イアンが手を上げると一瞬で静かになる。


イアン「おい、卑怯者。てめぇの条件だがよ、

    やっぱり飲めねぇな」


バベル「ほーう、何故?無事に解放したろ?」


イアン「無事だと!?ララナの指を切断しておいて

    何言ってやがる!!

    俺は妻と娘が無事なら条件を飲むつもりだった!

    だが、ララナは大怪我してるじゃねぇか!!」


バベル「屁理屈だろ?」


イアン「はん!屁理屈だろうと先に約束を破ったのは

    テメェだ!」


バベル「悪人だな…」


イアン「今は、正義の味方だぜ?ルルナの前だからな」


イアンは拳を構えると後ろに居た部下達も武器を抜く。

これが、御伽話なら悪の魔王は勇者に倒され人々は平和に暮らしました。

ってなるんだよな……。

だけどよ、イアンさん…相手は魔王なんかじゃねーんだぜ。

相手は、常軌が逸した人間だ。それは多分…魔王なんかより

恐ろしい相手なんだよ。


バベル達は笑っている……更に歪んだ笑みで。


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