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異世界ブローカー  作者: 伍頭眼
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バベルの世界「弱者」

ふおおおー!またしても自分の拙い小説を評価してくれる方が居るなんて

感謝感激ですヽ(*´∀`)ノ

これからも宜しくお願いしますー

最近、アテゴレ地区のアアル区域を歩いていると

良く声を掛けられる様になった。

他愛のない会話をしたり挨拶したりと大した事は

喋ってないが結構、注目される。

ただ、やっぱりと言うか当然と言うか住人達の眼には、

少なからず怯えが混じっている。

あれだけの事をしたら当然なんだが何とも言えない気分だ。

まっ!気にしないようにするか!と頭をポリポリと

掻きながら一人で歩いていると前から6人の獣人が

近づいて来た。


「よぉ!ガルじゃ~ん!?久しぶりだな」


ガル (げっ!!最悪)


ちっ!こんな所で、この馬鹿と会うとは思わなかった。

男の名は、ウード。元々は俺と同じ人身売買を生業としていたが、

些細な事で俺と喧嘩になりボコボコにしちまった男だ。

それからは、何かと因縁を吹っ掛けて来ては小賢しい邪魔

ばかりする。

全く迷惑だ。最近、全然見掛けなくなったと思ったのによ。


ウード「いやぁ~、最近、忙しくてなぁ~。

    賞金首を倒す依頼がひっきりなしよ」


成る程。今は賞金稼ぎに転職か。

どうりで、装備が冒険者並に充実してると思ったぜ。

しかも随分とガラの悪い連中まで連れてやがる。

最初は、ウードみてぇな弱い奴が賞金稼ぎ?と思ったが、

どうやら連れの連中がウードの代わりに戦ってるんだろう。

ウードが腰に挿してある剣は真新しいが、他の連中の

武器は随分と使い込まれているのが解る。

結構な手練だな。

でも、何で、こんな馬鹿とつるんでるんだ?


ウード「おおっと!そー言えば分け前の~金を

    渡さなきゃな~!」


そう言って銀貨を、これ見よがしに袋から出し

周りの賞金稼ぎ達に渡し始めた。


ウード「ほらよ!トトリコ、六等分で銀貨5枚だ」


トトリコ「悪いな。しかし、ウードは計算が速いな!

     俺達は文字も計算も出来ないのによ」


あー、そーゆう事かよ。

この馬鹿は昔から金勘定だけは得意だったからな。

スラムで文字を書ける奴や金勘定が出来る奴は貴重だ。

それだけでも充分良い仕事先を見つける事も出来るし

文字や計算が出来ない冒険者や賞金稼ぎからも

引っ張りだこだからな。

と言っても上位クラスの連中になれば当然出来るけどさ。

じゃなきゃ、貴族からの依頼とか受けれないし。


ガル 「いくらの賞金首だ?」


ウード「聞いて驚け!金貨12枚の賞金首だぜ!!」


はい!ショボイ!俺達は金貨500枚の賞金を

一時期掛けられたっーの!!

しかも、この馬鹿!金を掠め取ってるじゃねーか!

何で金貨12枚を六等分で銀貨5枚なんだよ。

銀貨で払うなら20枚だろうが!金貨なら2枚だぞ。

ホントに、この馬鹿は変わらねぇな。

それで俺と揉めてボコボコにされたんだろうが。

しっかし…無知ってのは怖いな。

命張って金を手に入れても掠め取られるんだから。

俺は、昔から多少出来たが今ではバベルに死ぬ程、

叩き込まれているから、そんじょそこらの商人にも負けねぇぞ。


ウード「所でよ~、何か最近スゲェ金額の賞金首が

    出たらしいじゃん?最近こっちに戻って来たから

    詳しい事は知らねぇんだけどよ~。

    何でも人間と獣人に金貨500枚って聞いたぜ?」


金貨500枚か…コーネルが俺達に賭けた懸賞金だったが

賭けた本人が消し炭になっちまったから無効なんだよな。


ウード「しかもだ!!風の噂では~、獣人が俺の知り合いと

    名前が一緒なんだよな~?」


ウードは、舌舐りをしながら腰に挿してある剣に

手を掛ける。

この野郎!!鼻っからそのつもりだったのか!!


ウード「悪いが、ちょっと話を聞かせてくれよ!」


声を荒げたと同時に剣を抜こうとするウードの

懐に瞬時に入り込み膝蹴りを一発お見舞いする。

その瞬間、「ぐへっ!!」と嗚咽混じりの声が漏れ出し

その場に蹲ってしまった。

弱っ!!つーか、突っかかる度にボコられてんのに

馬鹿か?こいつは。

ウードは、憎々しげにガルを見上げるが良い感じに

腹に攻撃が入ったので立つ事が出来ないでいる。

最近は、ボス達みたいな化物が居る御陰で

出番が無いが結構強いんだぜ?俺。


トトリコ「中々やるじゃねーか。だかな、賞金稼ぎCランクの

     俺達に敵うと思うなよ?」


剣を抜き構えるトトリコが、そう言い放つ。

Cランクの賞金稼ぎか…正直やりづらいな。

冒険者達と違って対獣人に特化している連中だから

剣術や体術が非常に厄介だ。

だからって、背中を見せる訳にはいかない!

幸い剣を抜いているのはトトリコだけだ。


まぁ、どっちでも良いが戦うしか無い!

ジリジリと隙を伺うが中々堂に入っていて隙が無い。

Cランクでも結構、上位なんじゃないか?こいつら。

そんな事を考えていたらトトリコが一気に間合いを

詰めて来た。


トトリコ「戦いで考え事とは舐めているのか!?」


ヒュっとトトリコの剣が風を切りながら俺に

向かって来る。


ガル 「うおっ!!あぶね!!」


その剣を何とか間一髪避ける事が出来たが、その瞬間

脇腹に激痛が走った。

トトリコは、剣を避けられたと同時に剣を挿す鞘を

使用しガラ空きになったガルの脇腹を強打したのだ。


ガル 「ぐうっ!!」


俺は激痛に顔が歪み膝を付いて蹲ってしまった。


ぐっそぉ!いってぇぇ!!骨にヒビが入ったかもしんねぇ。

脇腹を抑えながら油汗を流すガルの元に笑いながら

ウードが近づいて来る。


ウード「はんっ!ざまぁねぇな!!テメェみてぇな

    カスが俺達に勝てると思ってたのかよ!

    Cクラスの賞金稼ぎを舐めんじゃねぇよ!!」


蹲っているガルに罵声を浴びせながら蹴り続け

ウードは優越感に浸っている。


この野郎がぁ!この俺が、こんな奴に!!

蹲りながら拳を握り締め怒りと悔しさに震える。

強くなりたい!もっともっと強く!!

でも、そう願っても体が激痛で動かない。


ガル (俺は…こんなに弱かったのかよ…)


心の中で呟いた。呟けば、呟く程、悔しくて悔しくて

涙が出て来そうだ。


ウード「テメェを殺ったら人間も序でに狩ってやるぜ!

    ひゃはははは!!」


「誰を狩るって?」


ウードの下卑た笑いをかき消すかの様な低い声に

全員の眼が声を発した者に集まった。

そこには人間が4人立っており心無しか見物していた

スラムの住人の顔が恐怖に歪んでいる。


ガル 「バ…バベル!?」


そこにはバベルを筆頭にボス・京香・ガストラの凶悪メンツが

勢揃いしていた。


ウード「な、なんだぁ!?テメェ等!!」


ウードは、いきなり現れた人間に一瞬たじろいだが、すぐに

気を取り直して怒声と共に剣の切先を向けようとする。

そこに先程ガルと戦ったトトリコが割って入る。


トトリコ「辞めろ!!ウード!殺されるぞ!!」


ウード「な、何言って…!?」


いきなりトトリコに警告されウードは剣を持ちながら

オロオロしている。

そのトトリコは、バベル達を睨みつけてはいるが

尋常で無い程の冷や汗が出ている。


バベル「ほぉ~、お前は、俺の部下の優秀さが解るんだな」


トトリコ「…これでもCランクの賞金稼ぎだからな…。

     自分より強いかどうかは相手を見れば解るが

     あんたの部下は…別格だ」


この、トトリコって男は学は無いが危機管理と洞察力は

中々のようだ。死と隣合わせの仕事をしているから当然かも

しれないが、此処まで人間に対しハッキリと言った奴は

初めてかもしれないな。


バベル「ふふっ、部下が褒められるのは気分が良いな。

    序でに、そこのガルって獣人を離してくれると

    更に機嫌が良くなるんだが?」


トトリコ「ウード、離してやれ」


トトリコは、バベルの言う通りガルを離す様に

言うが納得の出来ないウードが怒鳴り始める。


ウード「此処のリーダーは俺だ!!何ビビってんだよ、テメェ等!

    相手は、たかが人間だろうが!!さっさと始末しろよ」


トトリコ「悪いが出来ない。俺達は学も無い力馬鹿だが、

     戦って間違いなく死ぬと解っている相手に挑む程

     馬鹿じゃない」


その言葉を聴きウードは、ワナワナと怒りに震えている。


ウード「糞がぁ!なら俺が殺ってやらぁ!」


剣を振り被りバベル達に無謀にも向かって行く。

直ぐ様、ボスが手の甲で振り下ろされる剣を捌き

無防備になった所でウードの首の正中線に親指を捩じ込む形で

刺突する。

コヒュっと口から空気が漏れ出し剣を落とす。同時に顎に

肘鉄を入れウードの顎を砕いた後に首を極め一瞬の躊躇も無く

頚椎を砕く。

この間、僅か1~2秒の出来事だ。

ドシャっとウードが力無く崩れ落ち周りの連中も

緊張と恐怖で動けないでいた。


トトリコ(速い…速すぎる。刃物に対し手の甲で捌いた後の

    一連の流れ…あんな動き見た事が無い!

    そもそも、無手で刃物に対する恐怖が全く感じられない。

    この人間……俺達とは全く違う訓練を受けているんだ)


内心で、そう考えているとバベルが話しかけて来た。


バベル「このゴミは死んで当然だが、お前達は見所があるな。

    少し依頼があるんだが受ける気は無いか?

    報酬は金貨30枚だ」


トトリコ「……話だけなら聞く。受けるか受けないかは

     内容次第だ」


バベル「良い心掛けだ。報酬に釣られず内容を確認するのは

    大事な事だ。

    よし!近場の酒場に行くぞ。酒も奢ってやる」


なんとか場は収まった。収まったが…またバベル達に

助けられるなんて。

くそっ!いつもは強気でいるのにいざとなったらこれだ!

こんなんじゃ只の口先だけの男じゃねぇか…

もっと強くなりたい…もっとバベルみたいに精神的に強く、

ボス達みたいに圧倒的に強くなりたい!

くそっ!くそぉぉぉ!!


ガルは、バベル達の後ろ姿を見つめながら強く思った。

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