バベルの世界「武器」★
「これがぁ、俺の拳銃だよぉ。」
「け、拳銃?」
な、な、何だ!?これは!?
さっきは、遠目からだったから、よく解らなかった。
けど、近くで見たら素人の俺でも解るぐらい精巧な作りだ。
「結構古い型なんだけどぉ手に馴染んでねぇ。
トカレフTT-33ロシア製…あぁ、ロシアってのは母国ねぇ。
装弾数はぁ8発、口径7.62mm。
使用弾薬はぁ7.62mm×25mm弾でぇ。
有効射程距離は50m~60mだねぇ。
この銃は安全装置が無いから取り扱いには注意が必要だよぉ」
「……。」
やべぇ…言ってる事が全く解んねぇ…ただ、これが火を吹いたら
死ぬって事は…解った。
「な、なぁ…こっちの兵士は鎧とか着てっけど防げねぇのか?」
「どんな鎧ぃ~?材質はぁ?」
「確か…内側は軽量化の為に木材で外側に薄い鉄板を
加工してると…思う。」
知り合いに兵士が居て、装着させてもらった事がある。
あー、騎士団とかじゃなくて歩兵な。
「そのぐらいならぁ余裕で貫通するねぇ。」
マジかよ………。
「拳銃の他にも、小銃・散弾銃・狙撃銃・機関銃・榴弾銃
なんてものもあるしぃ他にもあるよぉ。
この中で一番威力が無いのが拳銃だねぇ、物によるけどぉ。
あれぇ?ガル君、顔色悪いよぉ?」
多分…いやっ、間違いなく俺の顔は蒼白してるだろう。
だって、そうだろ!鎧を装着した兵士を下手したら一発で殺せるんだぞ!
しかもだ!拳銃だけじゃなくて他にも種類があるなんて…。
もう…反則すぎだろ。
「ガル、解ったか?俺の世界では、こんな武器や兵器を
使用して戦争してるんだ。
そして、その戦争を幾度も経験し生き残って来た兵士なんだよ。」
異常だ…こいつ等の住む世界は、間違いなく異常な世界だ。
考えてみろ!火を吹いたら頭が、いきなり吹っ飛ぶような武器が
自分に向けられてる世界だぞ!!
恐ろしすぎる……。
そして、そんな世界の怪物達が…目の前に居る。
駄目だ!勝てる訳が……いやっ、この銃を手に入れれば、
こいつ等にも勝てるんじゃ……。
ガルの目線が銃を凝視する。
「因みにな、銃を手に入れたとしてもボス達には勝てんぞ。」
ドキンッ
心臓が口から出そうになった。
何で俺が思った事が、解んだよ!!こいつ!!?
「そうだねぇ、やっぱり訓練しないと当たらないしぃ。
もしぃ~、ガル君が、その銃を俺達に向けた瞬間…。」
「しゅ…瞬間!?」
ゴクリと生唾を呑む。
「股間と腕を同時に潰し痛みを感じる前に頭を撃ち、
殺す。」
こ、こええぇぇぇぇぇぇぇ!!!
何、何だよ!!怖すぎだろ!!しかも、口調が全然違うじゃねーか!!!
銃が有れば勝てるなんて考えが甘かった!
よく考えれば、こいつ等、殺しのプロみてぇなもんじゃん!!
銃を向けられた時の対処だって出来るに決まってる!
「そそそ、そんな事、すすすする訳ねぇじゃん!」
「だよねぇーーー。」
「ごめんねぇ~、ガル君~冗談が過ぎたねぇ」
ガルは、思った。
絶対に冗談じゃ無いと…。