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異世界ブローカー  作者: 伍頭眼
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バベルの世界「事故」

皆さん、交通事故には気を付けて下さいねヽ(・∀・)ノ

道の真ん中で口上なんて述べてると轢かれるよ!

俺達は今、【イリオス区域】に向け2台の車で向かっている。

馬車なら半日ぐらい掛かるが車なら2時間弱で着く予定だ。

最初は、スラム特有の細い路地やら入り組んだ路地やらで

手間取ったが今はスイスイだぜ。

そんな俺達が乗った車をスラムの住人が皆、驚いた顔をして

見ている。

一度、休憩を挟んで停車した時なんか物珍しさも相まって

滅茶苦茶囲まれた時は焦ったけどな。

さーてと、もうすぐ【イリオス区域】の検問かぁ。

検問って言っても兵士が居る訳じゃなくてイリスの部下達が

敵対勢力が入って来ないように警備してるんだけどよ。

ううっ!緊張して来た!無事に通れますように!!


検問兵「おい!停まれ!!」


早速、検問兵に止められたが別に俺達だけじゃない。

他にもガラの悪そうな冒険者崩れや商人達も同様に

止められ検査を受けている。

当然、俺達も門の前で停車したが車を見た事が無い

検問兵や商人、その他諸々が後ずさりをしている。

近くで見るとかなりデカイ車だから圧迫感が凄いからなぁ。

ただ、何人か見た目盗賊の獣人がギラついた眼で俺達を

見ていたが……見なかった事にしよう。

どうせ、バベル達だって気付いているだろうし。


検問兵「こ、これは一体何だ!?何故、馬も引いていないのに

    動いてるんだ!?魔法か?」


驚きの声で喋り出した検問兵は革鎧を装備し腰に差している

剣を、いつでも抜ける様に警戒している。

危機管理が結構しっかりしてる奴だな。まだ10代前半って

感じなのに。

少なくとも最初の俺よりは立派だ。


バベル「あぁ、魔法で動いてるんだ。珍しいだろ?」


また適当な事言いやがって。でも、流石に異世界の乗り物です、なんて

言える訳無いから仕方ねぇか。

その言葉を聞いた検問兵は手を顎に当てて、人間のくせに

凄いなと感心していた。

スラムで育っている割に擦れてない感じだし相手が

人間だからと言ってイチャモンも付けて来ない。

根は良い奴なんだろうな。

なんて物思いに耽っていたら別の検問兵が近づいてくる。


検問兵B「おい!シリア!!何チンタラして…って、ウオ!!

     何だ!?こいつは!?馬車か?」


へぇー、あの若い検問兵は、シリアって言うのか。

そんでコッチに来たガラの悪そうな検問兵が驚きの声を上げている。


検問兵B「見た事もねぇ馬車じゃねぇか。随分、珍しい物

     持ってるなぁ、人間の癖によ~」


舌なめずりをしながらギラついた眼で物色している。

絶対に通りたければ金を払えって言って来るぞ、こいつ。


検問兵B「へへっ、中々金になりそうじゃねぇか。

     おう!この変わった乗り物を置いて行きな!

     そうしたら通してやるぜ?まぁ、嫌だっても

     力ずくで頂くけどよ~」


おおっと!!金じゃなくて車を要求してくるとは予想出来なかったわ。

だけど、力ずくとか言ったら駄目だって。

只でさえ、こっちに乗っているメンバーは血の気が多い、

京香とボスが乗ってるのに…閻魔も小声で「殺りますか?」とか

言ってるし。


ボス 「うざいねぇ」


窓から拳銃を突き出しガラの悪い検問兵の眉間に構える。

そして……。


『パンッ!』と一発の銃声を合図に護衛全員が一斉に

下車し制圧していく。


『ズダンッダンッダダンッ!』『パンッパパンッパンッパンッ!』


何が起こったのか解らず仲間を見捨てて逃げようとした

検問兵達は、閻魔と山王に首を撫で斬りされて事切れてしまった。

ボス達の早業は、いつもの事だがゴブリンの閻魔とバブーンの山王が

此処まで強くなってるとは……何と言うか動きに無駄が無い。


ボス 「クリア!」


京香 「クリア!」


ガストラ「クリア!」


閻魔 「こちらも、クリアです!」


山王 「クリアでやんす!!」


あっという間…本当に、あっという間に15名程居た検問兵を

始末した。その光景に、列に並んでいた商人は腰を抜かしているし、

先程ギラついた眼で品定めをしていた盗賊っぽい奴らは全力で走って

逃げてしまった。

後は、一番最初に話しかけてきた若い犬人族のシリアは、

尻尾を内腿に挟んでガタガタ震えている。

バベルが、その子に金貨2枚の迷惑料を払いイリスの招待状を

見せたら「ど、どどどど、どうじょ!!お通り下しゃい!!」と

噛み噛みで通してくれた。怖かったろうなぁ…。

まぁ…無事に……無事では無いかもしれないが検問を突破した

俺達は地図を頼りに現地へ向かう。

イリスが支配している区域は、【男の楽園】と言われている

だけあって至る所に娼館が存在し、薄い布を纏った様々な種族の

女達が道行く者に色目を誘って誘惑している。

所々、店の前に厳つい獣人が立っているが用心棒だろうな。

イリスが支配している区域は、女性が多い事から結構清潔に

されている。多少のスラムらしさは有るが俺が居た区域に

比べたら雲泥の差だ。やっぱり支配している奴の特色とか

出るんだなぁ。

あと、バベル。娼婦が誘惑してくる度、車の速度を落とせって

指示出すの辞めれ!!京香が睨んでるぞ。

さてさて、なんやかんやで目的地まで少しだぜ。

検問所では、焦ったけど何とか無事に……んっ?

何だ?アレ。

バベル達が乗った車から500m程離れた見通しの良い

道の真ん中で数人の兵士らしき者が立ち塞がっている。

何かゴチャゴチャ言っているが、そんだけ離れた所から

喋っても獣人の俺は未だしも人間は聞こえないぞ。

んーーと、なになに?

耳をピクピクと動かしながら集中する。


アモン「私は、第1騎士団ウィル・アルバーニ様の部下!

    アモン・サーナイト騎士長であーーる!!

    停まれーーーーーーい!!」


だから、口上言うにしても距離考えろって!!

遠すぎてバベル達は何言ってるか聞こえてねぇから!


アモン「貴様等が最近、悪さをしている人間であるな!

    人間の分際で何と言う太い奴よ!

    我が剣の錆にしてくれようぞ!!

    む!?まず停まらんかーー!!」


事の次第をバベルに説明してんだが…なぁ、そろそろ

スピード緩めた方が良いんじゃないかな?

京香は何事も無いようにドンドンスピードを

上げて行ってるけど…な、なぁ、そろそろ!

本当に、そろそろ停まらないとヤバイって!!お、おいぃ!

何、普通に娼婦の話で盛り上がってんだよ!!

いや、今は乳が、どうとかじゃ無くて騎士が必死に口上言ってんじゃん!


バベル「だからな、俺は巨乳が好きであって種族は

    関係無くてだな!様々の乳を…ん?何だ、あの馬鹿

    まぁ良い、轢け。でな!そもそも閻魔は、どー言った

    女性の乳が好きかって言う事を聞きたいんだよ」


閻魔 「小さくても大きくても全て素晴らしいと

    思っております」


アモン「貴様等!!停まっ!停まらんか!!ちょ!

    くっ!!仕方ない、唸れ!我がハルバー…」


『ドガンッ!!!』


大きな衝撃音と共に騎士長のアモンが宙に舞う。

ゆっくり…そう、わっくりと宙に舞う光景は何故か

涙を誘う光景であった。

あれだけ部下達が見ている中で立派な口上をし威厳を見せつけようと

したのに下世話な話をして殆ど見向きもされず轢かれたのだ。

余りにも哀れ過ぎて涙が出てくる。

それと、いい加減、乳談義は辞めろ!!あと閻魔!

キリッとした顔で言うと言葉使いも相まって変態紳士みたいに

なってんぞ!

30m程進んだ所で、やっと停車し轢かれてしまった

アモン騎士長の所に行ってみる。

あぁ…右腕と右足がエライ方向に曲がっている。

周りの騎士達も見てないで介抱してやれよ。

バベルは意識が朦朧としているアモンに近付くと

しゃがんで口を開く。


バベル「お前は、どんな乳が好きだ?」


アモン「わ…私は、小さ、いのが…好、みであ…る…ごふっ!」


ガクリッと気を失うアモン。唖然とする騎士達。

顎に手を当て考え込むバベル。笑いを必死に堪え震えているボス。

ジト眼の京香。爆笑するガストラと山王。

今この場は混沌である。その混沌を目撃しているガルは、

心の底から思ったであろう。


ガル 「…もう、帰りたい…」


そんなガルを励ます閻魔の姿があった。

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