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異世界ブローカー  作者: 伍頭眼
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閑話 独り言

皆様、初めまして。私、ギン・サルバトスと申します。

歳は60を少し超えた程度で少々白髪が混じって参りました。

いやはや歳は取りたくないものですな。


昔は、それなりに実力も有り伯爵家で執事をしておりましたが、

残念な事に伯爵家は没落してしまい今はアテゴレ地区と言う

無法者が巣食う最大のスラムに身を落としてしまいました。

ですが、私も只では起きません。


貴族街に居た時のコネクションをフルに使わせて貰い、

今では、それなりの地位に昇り詰めました。

但し、アテゴレ地区で、ですがね。

ん?この地区で生きていくコツと成り上がるコツですか?

それは簡単で御座います。


【強い事】ですかな。弱肉強食とは良く言ったものです。

此処では、弱い者は奪われ淘汰されます。

逆に強ければ、どんな事でもまかり通ってしまうのです。

ある意味、此処が一番自然の摂理に沿っているのではないですかな?

後は、そうですな…此処を支配している四獅王様に逆らわない事ですな。

ファルシア大国は5つの小国を吸収して出来た世界でも有数な大国です。

国が出来た当初はスラムなど存在しなかったのですが…やはり

歪みと言う物は出来てしまう物です。今では、小国の一つが

丸ごとスラムになっておるのですよ。そして、

此処アテゴレ地区には、4つの支配区域があります。


【アアル区域】

此処は、四獅王様の中で一番血の気が多いコーネル・ガウン様が

支配している区域で御座います。

暴虐の限りを尽くすと言う誠に恐ろしい御方です。

知力の方は、少々乏しい所がありますがアテゴレ地区の

ゴロツキ達を束ねる所を見ると相当な実力者でしょう。


【イス区域】

次は、イス区域であります。こちらを支配している御方は、

竜人族のゲイン・セドリック様です。

非常に物腰の柔らかい御方で言葉使いも丁寧。

まるで、何処ぞの貴族かと見間違えてしまう程ですな。

しかも、御顔も整っており女性の方達から絶大な支持を

受けておりますので常に4~8名の美しい女性陣が

護衛を兼ねて常に御側におります。

何とも羨ましい限りです。私も、もう少し若ければ…ゴホンッ!

失礼致しました。


【イリオス区域】

さて、お次は、イリオス区域であります。こちらを

支配している御方は、魔族の御方で我が主イリス・ニドレース様です。

私が、成り上がる事が出来たのもイリス様が居てくれた御陰ですな。

この御方が居なければ私は、どうなっていた事か…。

イリス様は実力も知力、コネクションと、どれを取っても

申し分無い御方。そして何より、その美貌であります。

イリス様は絶世の美しさを持っており間違いなくアテゴレ地区で

1番の美女と言っても過言ではありません。

それ程までに美しいのです。

当然、その美貌を狙う不届きな輩も大勢おりますが、

僭越ながら私が露払いをしておりますので御安心を。

流石に、ゲイン様が出て来た時は焦りましたが、イリス様の

冷たいお言葉で帰られましたな。あの時は正直、痛快でした。


【シボラ区域】

最後は、シボラ区域ですな。こちらを支配しております御方は、

イアン・ガルディア様です。何と、この御方まだ17歳と言う

お若さで此処まで昇り詰めた実力者であります。

中性的な顔立ちで少々おちゃらけた所も見受けられますが、

部下からの信頼も厚く男女共に慕われている御方です。

この中で唯一の既婚者で奥様も美人であります。

2年前にお子様が生まれ長々と語られた時は流石に疲れました。

イリス様が止めてくれなかったら夜が明けていたでしょう。

一度、お子様の話が長いと罵ったコーネル様と血塗れになりながら

お互い殴り合いをした時は戦慄が走りましたよ。


軽い説明でしたが長々と私の独り言に付き合って頂いて

誠に有難う御座います。

ですが、この独り言にも理由があるのですよ。

なぜなら本日、各支配区域の方々がイリス様の別荘にて

会談が行われるのです。


これだけの実力者が集まるのは、国と揉めた時以来ですな。

今回も、それなりの理由だと思っておりましたが、

会談の議題が、人間に関係している事と聞き正直

耳を疑いましたな。もう歳ですから。


ですが、イリス様から渡された羊皮紙を見て愕然と致しました。

コーネル・ガウン公開処刑、主犯は人間。

あちこちに散りばめているモグラと言われる私兵の密偵からの

情報で目撃者も多数おり信ぴょう性が高い情報です。

しかも、コーネル様が支配していた【アアル区域】を

人間が支配したと言うではありませんか。


これには、流石の私も絶句してしまいました。

私も腕に自信がある方ですがコーネル様には勝てません。

そのコーネル様を人間が処刑ですよ?

しかも日夜、にらみ合いが続く中央広場で生きたまま

焼き殺したと言うではありませんか。

悪魔の眷属か何かでしょうか?


しかも!しかもです!!この会談に例の人間を呼ぶらしいのです!

実力者が集まる会談で最底辺の人間を呼ぶなど沽券に関わります。

当然、引き止めました。てすが、既に使いの者を出しているそう

なのです。

なんとも行動がお速い…速いのは結構ですが、少しは私にご相談を

して頂きたかったですな。ですが、後の祭りです。

私は、既にイリス様の別荘にて会談の準備をしているのです。

豪勢な食事に貴族が飲む最高級の酒、さして最高の警備体制で

準備万端で御座います。

不肖ギン・ブリューナク。最高の持て成しをして差し上げる

次第であります。

おっと…そろそろ時間ですな。では後ほど。

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