バベルの世界「使役」
クーレ達が売られて数日が経った。
最初は毎日が憂鬱で全然何も手が付かなかったけど
今は何とか行動している。
今日も、ダルイ勉強で頭を酷使して机に
突っ伏していた。
こんな日は気分転換に外に行こう。
久しぶりにシドや子供達にも会いたいし。
そう思ってた。
「……それは、何?」
バベルが指を向けて京香とガストラの
隣に居る連中の事を聞いた。
京香の周りには信じられない者達が大勢居る。
ゴブリンと言われている魔物の子鬼が約50匹。
武器を使用するAランクの魔物バブーン5匹。
京香の身長よりデカイ猫。
そしてガストラの隣には、これまたデカく
プルンっとしたスライムが居た。
流石に、この光景にはバベルも
ボスも大口を開けてポカンとしている。
俺?勿論、俺も顎が外れそうだ。
「えへへ…ついてきちゃった」
「……説明しろ」
そう言うと京香は説明を始めた。
何でもバベル達に内緒でゴブリンや
バブーンを訓練していたらしい。
そしたら、いつの間にか主として認められたと。
まぁ、色々と言いたい事もあるが今は良い。
次に隣のデカイ猫だ。
バベルの質問に京香は、猫です!
なんて言ってたけどこれ…間違いなく
『ジャンフォレスト・キャット』だ。
この世界でも希少で、毛皮はキラキラと
黄金の斑模様。
貴族が喉から手が出る程、欲しがると
言われ魔法耐性まで備わっている。
ただ、滅茶苦茶強くてランクは、Sだ。
冒険者や騎士が束になっても敵わない程の魔物。
それが京香の隣に居てチョコンと座っている。
信じらんねぇ光景だ。
んで最後は、ガストラの隣に居るデカイスライム。
スライムなんて何処にも居るけど、此処までデカイ
スライムは見た事無い。
因みに、ガストラが餌を与えたら懐いたらしい。
餌付けかよ!
「頭いてぇ…」
こればかりは俺も同感だ。
いきなり魔物を引き連れて来たんだからな。
「でもバベルー、この子達中々筋が良いよ?
森の魔物だけあって気配の消し方や歩き方も
しっかり出来てる。兵士には充分よ?」
「ほぉ?京香が言うなら中々だな」
そこに一匹のゴブリンがバベルの前に来て跪いた。
「我が主、剣崎様の下僕で此処にいるゴブリンの頭を
務めさせて頂いております。
この度は、剣崎様の主であられるバベル様にお会い出来
誠に光栄であります」
「…喋れるのか?とゆーか礼儀正しいな。
驚いたぞ。…ん?どうした?ガル。
馬鹿みたいな面になってるぞ?」
「い、いやいや!!えっ!?何で魔物が喋れるんだ!?」
「魔物は、喋らないのか?」
「喋らねぇよ!しかも、こんな丁寧な口調で喋るなんて
有り得ない事だぞ!!」
「喋れるのは、ゴブリンだけじゃねぇでやんすよ。
ガルの旦那」
次に喋り出したのは身長がガストラと
同じぐらいのAランクの魔物バブーンだ。
知能が高く武器を使用し獣人にも劣らない
パワーの持ち主で冒険者殺しの異名を持つ。
「儂も喋れるぞい」
ジャンフォレストキャットまで
喋り出した。ハハッ…
何だ?これ、夢でも見てんのか?
バベル達と行動し始めてから驚く事ばかりだ。
「おもしれぇ、お前ら全員俺達の下に付くのか?」
「勿論です」
「当然でやんす」
「剣崎嬢からの甘味は最高じゃった!
配下に加わろう!」
全員配下を望みか…約1匹完全に餌付けだが。
さて、残りはっと。
「これ…スライムで良いんだよな?
流石に喋れないか」
ガストラの横でプルンプルンと身体を
揺らしている。
とゆーか、こんなデカイスライムどうすんだ?
ガストラは、見捨てないで下さいと
言いたげな顔をしているが、
バベルだって、そんなお人好しじゃねぇだろ。
などと言っていたら、バベルがスライムの
液状の塊のような柔らかい身体を触っている。
「まさか俺がスライムを触るなんてな。
おぉ!プルプルしててヒンヤリしているな!
うん!よし!採用!!」
……こいつ…絶対面白半分で採用しただろ。
まぁ、害が無ければ良いけどよ。
「所で、お前達、名前は?」
「我々は魔物です。名はありません」
「それでは、不憫だな。京香、ガストラ
責任を持って名を付けてやれ」
バベルに言われ京香は、ゴブリン、
バブーン、猫の前に立った。
その瞬間、一気に空気が変わり
ジャンフォレスト・キャットの毛が
逆立ち、ゴブリンとバブーンからは
尋常では無い程の汗が流れ落ちる。
そのぐらい京香の気迫が凄まじいのだ。
動物の本能で感じ取った魔物は皆、
動けず京香に跪いた。
「貴方達は兵士!死ぬ場所は寝床では無い!
敵の血と戦友達の血が染み込んだ戦場だ!
共に戦う我が戦友に名を授ける!
ゴブリン頭領は、閻魔!
バブーン頭領は、山王!
猫は、ノルウェと名乗れ!」
「「「ハッ!!!」」」
おぉ!何か…カッコィィ!名前だけでも
スゲェ強そう。
因みに、スライムは静かに名付けられ
『プー』となった。
なんとも可愛らしい名前だな。




