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異世界ブローカー  作者: 伍頭眼
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バベルの世界「問答」


 「君は、人売りか?」


 笑いながら顔を近づくが、相変わらず目が

 全く笑っていない。

 ここは、嘘を言わず正直に答えるべきだろう…

 もし少しでも嘘をついたら

 床に転がってる連中と同じ末路だ。


 「ああ、そうだよ」


 「そうか、そうか、なら邪魔してしまったなぁ。

 此処の連中が余りにも喧嘩腰だったもんで

 俺の優秀な部下も機嫌が悪かったんだ。

 すまなかった」

 

 薄ら笑いを見せながら謝罪して来た。

 

「そうだ!大事な商談中だったのに、

 テメェ等が滅茶苦茶にしやがったんだぞ!!

 しかも、太客までぶっ潰しやがって!!

 テメェ代わりに奴隷共を買えよ!!」


 最初は、ビビってたが今は商談を滅茶苦茶に

 された事で頭に血が登る。

 当たり前だ、バルドとパイプを

 築くまでに散々苦労して、やっと軌道に乗って

 きたのに、こいつ等に、完全に潰されたんだからな。


 「………プッ」


 「?」


 「ブッハハハハ!アッハハハハハハハハハハ!!

 ハッーハッ!!!」


 静寂を掻き消す程の子供の様な

 笑い声が店内に響き渡る。

 なんだ、この男…自分がやった事

 の重大さに気付いて頭がイカれたか?


「いやぁー、スマン。この俺に、ここまで

 啖呵切った奴は初めてだ!

 この世界で、こんなに仕事熱心な奴は、

 初めてでなぁ」


 ケラケラと無邪気に笑いながら喋ってる姿は、

 まるで遊び場所を見付けた子供のようだ。

 周りの連中も心無しか肩がプルプル

 震え笑いを堪えてるようにも見える。


 「くっそ!!何なんだよ!?

  何が、そんなに楽しいんだよ!?

  テメェ等!!」


 「少年…名前は?」


 「はぁ?名前って……ガル。…

  ガル・フェルナンデスだよ。」


 この野郎、さっきから何なんだ?

 ケラケラ笑ったかと思ったら名前を聞いてきたり、

 一体何がしてぇんだ?

 疑問ばかり浮かぶ俺に、バベルが口を開いた。


 「ガル、これでテストは終了だ。

 晴れて仲間だ、歓迎するぞ。」


 「…………はぁ!!??」


 何?何言ってる??意味が解らない!

 テスト?一体何の事だ?

 俺は、コイツ等の事を知らないし、

 そもそも初めて会ったんだぞ。


 「テメェ…何訳解んねぇ事言って…」


 そう言おうとした時、後ろから

 苦しそうな声が聞こえて来た。

 

 「ハァッ…ハァ、テ、テメェエ!

  ガルゥ!!裏切りやがったな!!」


 叫んだ奴は、バルダッドファミリーの

 ボスのバルドだった。


 「はっ?ま、待ってくれ!!

 バルドさん!何言ってんだよ?!」


 慌ててバルドに、答える。


 「俺は、こんな連中知らねぇし、

  今日初めて会ったんだ!あんたを

  裏切る訳ねぇだろ!」


 「うるせぇえ!!テメェ…ハァ、ハァ、

  じゃあ何でテメェだけ無傷なんだよ!!」


 「その人間と組んで俺の…ゴフッ…

  縄張りを横取りしようとしたんだろうがぁあ!」


 バルドは、腕と胸から大量に血を

 流しながら、辛うじて立っている感じだが

 目が血走り歯を剥き出しにしながら

 俺を睨んでいる。


 「他の仲間には俺が戻らなければ裏切りが

  あったと思えと伝えてある!!

  テメェは絶対逃がさねぇぞ!ガル!!」


 駄目だ…あれだけ血を流してるのに、

 完全に頭に血が登ってる。

 さすが、血の気の多いバルドだ……

 いやっ!いや、いや、違う!

 何考えてる!俺は!!

 冷静になれ。このままだと、バルドの

 仲間にぶっ殺されちまう!!

 何とか、誤解を解かないと…


 「ガル、この辺に酒屋は無いのか?

  歓迎会をしたいから案内してくれ。」


 こ、こいつ!!俺がヤベェって時に

 何言って……アッ


 「お前…わざと言いやがったな!!

  バルドが生きてる事が解ってて、

  あんな事を!!!」


 「おいおい、酷い事言うなよ。

  俺達は昔から親友だろ?」


 野郎ー!笑いながら何て事

 言いやがる!!この悪魔が!!


 「クハハハ!どの道テメェ等は

  終わりだ!おい!人間、

  テメェ等どうなるか分かってんだろうな」


 「ぜってぇ逃がさねぇ!

  八つ裂きにしてやっからな!

  ハァ…生きて此処から出れると

  思うなよ!」


 「ギャハハハハハハハ!!」


 ドンッ ドガッドガッ

 店内に発砲音が響いたと思った瞬間、

 バルドの頭が吹き飛んだ。


 「バベ~、早くガルちゃんの

  歓迎会行こうよ~」


 「楽しみぃだねぇ」


 「……」(コクコクッ)


 この3人組…バルドの頭を吹き飛ばしておいて、

 まるで何も無かったように振舞ってやがる。

 信じらんねぇ…人間が、たかが人間風情が…


 「では、案内宜しく。」

 

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