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異世界ブローカー  作者: 伍頭眼
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閑話 露店街

男は、高見台のような建物からアテゴレ地区の

裏門にある露店街を見ていた。

見張り…とゆー訳では無いが実質、見張りと何ら

変わりは無い。

だが別に苦では無い。彼は、此処から見る光景が

好きだった。

スラムにも関わらず、様々な人種が訪れアテゴレ地区の

中心街とは、また一味違った感じなのだ。

彼の名は「ゼス」コーネル・ガウンの側近だ。

昔、獣人を5人殺し大国の騎士に追われていたが、

力を買われ、スラムの犯罪組織にスカウトされ何とか

生き延びた。

流石に、騎士の連中を相手にするのは分が悪い。

貴族上がりの馬鹿騎士なら瞬殺できるが、隊長クラスに

なると実力が段違いに跳ね上がる。

別に、負ける気はしないが…勝てるか?と言われたら、

ちと厳しいかな。


厳しいと言えば、先日戦った人間の女。

あれは衝撃的だったな。まさか人間の、しかも女に

僕の瞬足と剣が見切られるなんて思っても見なかったよ。

相当強い。しかも、かなり戦闘慣れしている。

目配せ、重心の移動、即座に武器を切り替える判断、

どれを取っても一流だ。

ギルドで殺されていたC級やB級クラスでは話にならない。

とんでもない修羅場を潜って来たのだろう。

全く…人間で、あれ程の強者がいるとは…。

しかも後ろに居た連中も化物クラスだな。あんなのと

戦ったら正直、命がいくつあっても足りない。

頭は、そんな化物共に懸賞金なんて賭けたが、

どうなる事やら。


スラムの犯罪組織に属してるからって弱気とか

言わないでくれよな。

このぐらい慎重じゃなかったら冒険者時代に

とっくにくたばってるからな。臆病ってのも時として

重要なんだぜ。

まぁ、こんな性格だから大目に見てくれ。


さぁーてと、ゆっくり露店街でも眺めながら酒でも……って

なんか、騒がしいな?

んーー?ありぁ…アテゴレ地区の嫌われ者コラトスか?

何してんだ?あの馬鹿は。また弱い者虐めか?

んで、その可哀想な相手はっと。


「………………………………………………。」


おい…………………おいおいおい!?

マジかよ!?アイツ等、ギルドに居た人間じゃねぇか!?

あ~あ~…コラトスの馬鹿、懸賞金に眼が眩んだのか。

ご愁傷様だな。

助ける義理も無いし俺も高見の見物と行きますかね。


『ズダダンッ!ダンッ!!ダダンッ!!』


決着は、あっという間だった。

コラトスの兵は、ギルドで俺達がヤられたように

魔道具?のような物で一蹴されていしまった。


「いやぁー、さっぱり見えないなー。

 少しは、解ると思って見物してたのに全然だよ。」


しかし、あの魔道具?魔法?まぁ、どっちでも良いが、

かなり厄介だなー。

どうやって対策しようか…って、あらっ?

アイツ等、何を御丁寧に横一列に並んでんだ?

そんで、腕を上げて……おいおい…マジかよ。

相手は騎士団直轄の兵だぞ。そんなんしたら騎士団が

黙ってないぞ。

騎士団を敵に回すって事が、どーいう事か…あぁ…、

ヤっちまったな。

これで騎士団を敵に…って!!コラッコラッ少しは、

躊躇しろよ!!そんなサクサク切り落としちまって…。

参ったな…ありゃあ、想像以上に化物だわ。

あんな光景、見せられて挑む奴なんて中々居ないぞ。

あ~、ほら、周りの連中完全にビビってる。


グビリっと残った酒を勢いよく飲み干す。


どーすっかなぁ…これ、俺が報告しなくても頭に伝わるけど…。

うん!見なかった事にしよう。

それが良い!!そうしよう!!ハハハ……。

さてと…あの人間共が居なくなるのを見計らって

戻るとするかね。

飲み干した少し質の悪い酒瓶からバベル達の方に

眼を戻す。


うげっ!!…コラトスの野郎、腕拾ってんのかよ…。

あのリーダーっぽい奴が命令してんのか?

俺も、ギルドで一度あの男は見掛けたが、正直、

薄気味悪い笑顔が特徴の普通の人間に見えた。

戦闘になったら、瞬殺出来るような奴の命令を聞くなんて

コラトスの馬鹿も落ちたもんだ。

周りに、化物達が居るから仕方ないか。


さぁ…コラトス一行も退散したな。あとは人間共が

消えたらっと…おっ?何か喋ってるな。

「口読み」を使えば、一発で解るからな~っと。

何か重要な事かも知れないし…えーと、なになに~…


『懸賞金を賭けた連中は、皆殺し。

 縄張りを乗っ取って仕事がしやすい環境にする。

 そーなれば、皆、ハッピーだ。ハッハッハッ!』


そう発した瞬間、バベルの顔が、コチラを向き一瞬

眼が合った。


ゼス 「えっ!!??」


えっ?あれっ?あの男こっちを向いたぞ…。

もしかして…気付いて…?いや!

いやいやいや!!気付く訳無い!

露店街からも結構離れているし、嗅覚や聴覚が

鋭い俺達、獣人ならいざ知らず、ただの人間に

バレる…訳……無いよな?


ゼス 「………懸賞金を賭けた奴は…皆殺し…。」


気付いた時には、反対側の窓から身を乗り出し

建物を飛ぶように駆け出していた。


ヤバイ!ヤバイ!!あの男も充分過ぎる程、

危険だ。

少し考えれば解った事じゃないか!!!

あの化物達を引き連れてる奴が普通の筈無い!!

汗を拭う事も忘れて兎に角走るゼスは、

ほとぼりが覚めるまで仮病を使って何とか

凌ごうと強く誓ったのであった。

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