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異世界ブローカー  作者: 伍頭眼
32/248

バベルの世界「買物」

「買い物に行くぞ。」


「はっ!?」


始まりは、クーレ達の服装を見たバベルであった。

クーレ達の服装は随分と年季が入っておりボロ布を

縫い合わせて作ったような感じで、お世辞にも

服とは言えるような品物では無かった。

クーレに至っては、サイズが全然合っていないので、

大分…いや、かなり刺激的な感じになっており

眼のやり場に非常に困る。

それを、バベルが指摘したら顔を真っ赤にして

胸を必死に隠そうとしている。

全く、デリカシーの無い事、言いやがって。

京香が、思いっきり白い眼でバベルの事を見ている。

これは、京香が正しい。

なので、全員で買い物だ。ただ…何も無い事を祈る。

俺達は、アジトを出発してアテゴレ地区にある

露店街に向かう事になった。

勿論、アテゴレ地区に向かう為には、魔物蠢く森を

通り抜けないといけないが、一切襲われない。

魔物が居ない訳では、無い。

俺も、クーレ達も耳と鼻をフルに使って探ってみたが

殆ど、遠目から俺達を見ているだけだ。

バブーンに至っては、京香を見ると頭を下げ

挨拶する程だった。完全に使役してやがる。

そんな感じで森を抜けて歩いていくとアテゴレ地区の

裏門が見える。

露店街は基本、出入りが多い門の近くでやるのがセオリーだ。

なので、中心街まで行く必要が無い。

ただ、如何わしい物やヤバイ物になって来ると

中心街の方まで行かないといけないがな。

まぁ…露店街でも、それなりの物だったら手に入るけどさ。


「此処が、露店街か?随分と活気があるな。」


「あぁ!ここなら大体の物が手に入るぜ。」


ほぉーっと言いながら、辺りを見渡すバベルの横で

クーレ達が落ち着かない様子で何か言いたげな

表情をしている。


「…クーレ?どうした?何かあったか?」


「あ、あの…ガル…さん、本当に私達の為に

 服を買うんですか?

 普通…その…奴隷に高価な服なんて

 買いませんよね…?」


確かに、そうだ!普通は奴隷に服なんて高価な物は

買わない。

俺が、奴隷の人間に着せていた物なんて服なんて

呼べる代物じゃなかったしな。

大体の奴隷は、縦に長いボロ布の中心に穴を開けて

その穴に頭を入れて、腰辺りで紐を縛っておしまい

って感じだ。


「気にすんなって!バベルの野郎が買うって

 言ってんだからよ。

 そーゆう時は、甘えたって良いと思うぜ。

 …そ、それにさ…。」


ガルは、ほんの少し顔を赤らめながら頬をポリポリ

掻きながらクーレを見る。


「バベルも言ってたじゃん。その…クーレ達は

 元が良いからって……俺も…そう…思うし///」


「へっ!?」


その言葉を聞き、一瞬キョトンとしたクーレだが

すぐに言葉の意味とガルの仕草で、ボッと顔から火を

吹き出す勢いで真っ赤になった。

レオーネも「わたしも~もとが、いいの?」と言って

来たので、「勿論だ。」と答え頭をクシャクシャと

撫でてやった。

因みに、グラッドは、小声で「姉ちゃんと妹に手ぇ出すなよ」

と殺気の篭った眼で呟いていたが、スルーした。


「おっ!あの露店で売っている服なんて良いんじゃないか?」


その露店には、純白のワンピースに小さいが綺麗な刺繍が

入っており、大人しそうなクーレにはピッタリな

商品だった。

他にも、グラッドやレオーネにも似合いそうな服が

置いてあったので此処で一式揃える事になったのだが…

やっぱり一悶着あった。


「これと…これで、いくらだ?」


「んん?…あんたが買うのか?なら金貨15枚だよ。」


あ~あ…やっぱりな。こうなると思ったんだよ。

基本、最低ランクに位置している人間に対しては、

ぼったくるか払えない金額を提示すんだよなぁ。

金を払えば店は儲けもんだし、払えなきゃ人間に

商品を売らずにすむって感じだ。

何度も言うが、この国の人間は、そーゆう扱いなんだよ。


「高くないか?この服なら良くて銀貨5、6枚だろ?」


「払えないんなら消えな!こっちも暇じゃないんでね。

 おっ!!そっちの、お客さん今なら、このワンピース

 銀貨3枚で売っちゃうよ!

 お客さんは、可愛いから大分、値引きしますよ!」


店主は、バベル達や俺達を無視して他の女性客に声を掛ける。

流石に、これは俺でも気分が悪い!

多分、人間と一緒に居るって理由で俺の扱いも格下

扱いなんだろうが…だからって金貨15枚が銀貨3枚に

化けるってのは、どうなんだよ。

クーレは、さっきのワンピースを何気に

気に入ってたっぽいから明らかにシュンとしているし、

レオーネは、ちょっと泣きそうだ。

バベルは、平然としているが護衛共がヤバイ…。

今にも店主をブチ殺しそうだ。血の気が多いのは諦めたが

こんな所で暴れられたら買い物処じゃなくなっちまう!


「待て!それは、俺が買う!!金貨1…いや2枚

 出すから売ってくれ。」


いきなり、横槍を入れられた他の客は不機嫌そうな

顔になったが俺には関係ない!

俺は、必死なんだ!!


「あ~!?金貨2枚ねぇ…どうしたもんかねぇ~。」


店主は、俺をジロジロと見ながら顎に手を当て考えている。


「…まぁ、あんたなら金貨5枚で売ってあげても

 良いけどねぇ。これ以上は、まけられないよ。」


グッ!!この爺が!!人の足元見やがって!!!


「わかったよ!買う!!」


金貨5枚は手痛いが仕方ねぇ、此処まで啖呵切ったんだ!

今更、後に引けるかってんだ。

金貨が入った小袋から金を出し店主に渡す。

店主は、嫌な笑顔を浮かべながら「毎度あり~」とか

言ってやがる!

あーーーー!!腹立つ!!

そんな俺を見て申し訳無さそうにクーレ達が

話しかけて来た。


「…あの、ガルさん…御免なさい。

 私達のせいで…。あんな大金を…。」


クーレは、自分達のせいで大金を払わせてしまった事に

負い目を感じているそうだ。


「言ったろ。気にすんなってさ。それに、

 クーレ達は、全然悪くねーじゃんか。」


ニコッと笑うガル。


「でも……。」


「それにさ、あの服はクーレの方が絶対に

 似合うって!」


自然に出てしまった言葉に、クーレは俯きながら

はにかんでいた。頬を赤く染めて。

ヤバイ…可愛い…。顔に出ていたんだろう。

バベルが俺を見て「手が早いな~」と笑っていた。

別に、そんなつもりじゃねーよ!!と強がってみたが

後の祭りだ。クッソー!

服を買った後に、別の店で下着類も買ったが、その時に

バベルが「俺が選ぶ!!」と言ってたので京香に思いっきり

ラリアットって言う技を受けて気絶したりもしたが、

何とか無事に買い物が終了した。

さぁてと、後は帰るだけ~、なんて思っていたら

違和感を感じる。

何だ?何となーくだが…周りの連中が俺達の事を

見ている?

さっきまで、買い物で夢中になっていたから全然

気付かなかったけど間違いなく見てるよな?


「見つけたぜぇー!人間共。」


不意に声が聞こえたと思ったら、何処からともなく

兵士達がゾロゾロと出て来た。

その兵士の中には、先程、俺達をボッタくった店主の

姿もあり、兵士の一人と喋っている。


「俺ぁ~、アテゴレ地区を担当している部隊長の

 コラトスって者だ。

 テメェ~等、随分とやらかしてるみてーだなぁ?」


白髪が少し混じり短髪の男は、アテゴレ地区担当の

コラトスと言う男だ。

この、コラトスと言う男…このアテゴレ地区のコーネル

支配地区では、悪名を轟かせている嫌な野郎だ。

とにかく、何をするにも賄賂を要求してくるし、

強い奴にはゴマ擦るくせに、弱い立場の奴には、とことん強い。

な?嫌な奴だろ。

しかも、隣にはボッタくり店主のダブルパンチだぜ?

最悪な気分だよ。

さて…バベル達は、どうすんだろうな?

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