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異世界ブローカー  作者: 伍頭眼
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閑話 ロックスとファベーラ

「鍵を手に入れたぞ!

 他の牢の囚人も助け出して戦力にするんだ!」


ファベーラが共に逃げた囚人仲間に

指示を出し鍵を次々に開けて行く。


「ふんっ!今更、儂等の味方気取りか?」


ファベーラの隣を並走して走る

ロックスが不機嫌そうに顔を顰める。


「今は、そんな事を言っている場合では無いだろう!」


「解っとるわい!けど言いたいんじゃ!」


先代の皇帝に随分煮え湯を飲まされた

儂の身からしたら一言でも二言でも

小言を言いたいんじゃ!


じゃが今代の皇帝に比べれば先代など

まだマシな方じゃわ。

ロックス・マルボロス。

クインケ帝国で1~2を争う程の魔術師であった

儂は今代のクソッタレ皇帝に帝国魔法旅団に

入団し指揮を取る様に命令を受けた。

じゃが儂は断った。

民に対し横暴で貴族にへつらうだけの

張りぼて集団なんぞ興味など無い。

そもそも今代皇帝が嫌いじゃからな。

あんな奴の下で働くなんぞ御免じゃわ。


それが気に食わなかったのか……あの鬼畜はっ!!

儂の家族を殺し!儂を幽閉しおったのじゃ!

許せん!!

あの屑だけは絶対に許せんのじゃ!!

必ず地獄の業火で焼き殺してやる!

そう毎日思っておった。

そして、そんな矢先……嬢ちゃんが儂等の前に

現れた。


眼は潰させれ暴行されボロボロの嬢ちゃんを

見た瞬間、怒りが更に増した。

こんな小さな子供まで!!

そう思い看守に食って掛かった。

当然、殴られたが…それ以上に儂等は看守の

言葉を聞いて驚愕したわい。


国喰いバベルが率いるゲヘナの一員。


流石に、この言葉を聞いた瞬間鳥肌が立ったわい。

今では知らぬ者が居ない程の超凶悪犯。

口に出す事すら憚られる悪行を重ね、国を

一つ滅ぼした犯罪集団じゃ。

噂では、いくつもの小国や国がゲヘナの加護を

欲して契約と言う名の同盟を結ぶと聞いた。

そんな凶悪集団に属しているなんぞ正直

信じられんかった。

が……嬢ちゃんの行動を見て確信に変わる。


バベルを侮辱された嬢ちゃんは侮辱した看守を

殺害し脱獄すると言ったのじゃ!

まだ5歳程度の子供がじゃぞ!?

驚くに決まっとるわい!あのファベーラも

驚いておったからの。

殺害手口を見ても正確に首を通っている

太い血管を切断していた。


そして、そのまま嬢ちゃんは一緒に脱獄しようと

提案してきての。

儂は直ぐに提案に乗るつもりじゃったが、

他の者共がまごついての。

それを察した嬢ちゃんの言葉は衝撃的じゃった。


「どうせ死ぬなら戦って死のうよ」


なんと…なんと強き子供か!!

兵士でも中々言えん言葉を嬢ちゃんは当たり前の様に

言い放ったのじゃ!!

これには、他の者達もファベーラも眼を見開いて

おったわい。

誰かの下で働くなんか真っ平御免の儂ですら

大きく心が動かされた程じゃからな。

更に驚くのが嬢ちゃんの行動力と的確な指示じゃ。


「ファベーラしゃん、次は右でしゅ!

 曲がったしゃきに3人看守しゃんがいるから

 ロックスしゃんと力がつゅよい人達で

 制圧して!」


「「「おう!!!」」」


この地下牢は脱獄防止に非常に入り組んだ

造りになっているにも関わらず嬢ちゃんは

まるで全て知っているかの様に指示を儂等に

出す。

最初は、余りにも詳しすぎて間者なのかと

一瞬疑ったぐらいじゃ。


「ソル嬢!制圧したぞ!次は!?」


くはは!全く笑えるわい!

あの堅物ファベーラが嬢ちゃんの指示で

動くとはのぉ!くくっ!愉快じゃて。


「此処から、まっしゅぐ!大きな扉がありゅから

 開ければ地上だよ!!」


その言葉を聞いて一斉に走り出す。

そんな時、ファベーラが儂に話しかけて来た。


「もし……もし、クインケ帝国が滅んだら

 爺さんは、どうする?」


「滅ぶじゃろ…いや、こんな国、滅んだ方が

 世の為じゃわ。

 しかし……そうじゃな、もしあの鬼畜が死んで

 国が滅んだら、ソル嬢ちゃんの下にでも

 就こうかの。がっはははは!」


「そうか…。実は、私も考えていた。

 もし生き残る事が出来たら、あの強く気高い

 少女に忠義を尽くそう」


ほう?これはまた意外じゃな。

こやつが先代以外を認めるとは。


「あの少女は私には無い物を持っている。

 ソルの言葉一つで絶望に染まっていた者達が

 奮い立ち行動したのだ。

 私には決して出来なかった事を、あの子は

 やったのだぞ。それに………」


「それに?何じゃ?」


「久しぶりに血沸き肉躍る!!」


がっはは!おうおう!こやつの獰猛な顔なんぞ

久しぶりに見たわい!

血沸き肉躍るか。くくっ。

初めて考えが一緒になったわい。


かっかっかっ!と笑いながら走っていくと

ソル嬢の言う通り大きな扉が見え開けようとする。


ガチャガチャ!


「ソル嬢!!鍵が掛かって開かねぇ!」


「ふぬぬぬぬぬっ!」


筋肉の塊の様な囚人が全力でぶつかっても

扉はビクともしない。

当たり前じゃわなぁ。要所要所を施錠しているに

決まってる。地下牢じゃもん。


ファベーラが看守から奪った鍵束から

いくつかの鍵を挿しこむが駄目な様じゃ。

儂の魔法で吹っ飛ばすのも有りじゃが

如何せん脱獄しながら看守達と戦ったもんじゃから

魔力が少ないわい。全く、老いたものじゃ。


「みんにゃ、しゅこし下がって」


ソル嬢が全員を下がらせると片方の靴を脱ぎ

靴底から何やら粘土の様な物を取り出した。

それを鍵穴にギュ!と詰め込んだ後にソル嬢が

自身の口に指を突っ込んだ。


「おぶぶっ…おえっ!」


「嬢ちゃん!何をしとるんじゃ!?」


儂が驚いて止めようとした所でソル嬢の

口から見た事の無い部品?の様な物が

零れ落ちる。


「これで大丈夫!ガシュトラお兄しゃんは、これで…

 こうして……うんと…こうだ!みんにゃ離れて!」


ソル嬢ちゃんが何をしているのか全く

解らんが今は離れた方が良いじゃろう。

そんな気がするわい。


ワイヤーの様な物を勢い良く引いた瞬間、

ガチンッ!と言う音が聞こえ……。


ズドドーーッン!!と耳を劈く様な爆音が響き

粉塵が舞う。

良く見ると扉の鍵部分とドアノブ部分が

跡形も無く吹き飛んでいた。


……ソル嬢ちゃんには驚かされてばかりじゃが…

これは…半端無いの。

儂の勝手な推測じゃがソル嬢は爆裂用の媒体を

靴に隠していたんじゃろう。それは良い。

何より血の気が引いたのは5歳程度の子供が

体内に起動用の魔道具を仕込んでいた事じゃ。

普通せんじゃろ?

子供じゃぞ?


「…まるで歴戦の兵士だな……ソルは」


歴戦の兵士でも此処までやらんじゃろ!

一体、どーゆう教育しとるんじゃ!?

あの組織は!


驚愕に染まりながら地上への出口を出ると…。


「んん?新手ですかね?」


そこには異様としか思えぬ男が一人立っていた。

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