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異世界ブローカー  作者: 伍頭眼
240/248

バベルの世界「面会」

メッチャ遅くなり申し訳ありませんm(__)m

ゲヘナが魔国に到着する1時間前。


ラズロ魔国の城壁で何時もの様に

警戒していた魔族軍兵士が異変に

気付いた。


「……?なぁ、あの砂埃何だ?」


「ん?確かに、この時期の砂嵐とは

 少し違う様な…単眼鏡貸してくれ」


魔国は一定の期間砂嵐が発生する

気候だが既に時期は過ぎている。

それに気付いた兵士が隣に居た同僚から

単眼鏡を借りて覗き込む。


「どうだ?何か見えたか?」


単眼鏡を貸した兵士が煙管に火を

入れフゥゥーと煙を吐く。


「おい?……大丈夫か?顔が真っ青で…

 はっ!?ま、まさか帝国の連中か!?」


単眼鏡を覗き込んでいる兵士の様子に

敵国が攻めて来たと思い、つい語気が

荒くなる。


「……ち、違う…何て事だ!?」


単眼鏡を覗いていた兵士は青褪めた顔で

警鐘がある場所まで走り出す。


「お、おい!何だってんだ!?」


その慌てように同僚が声を荒げた。


「ゲヘナだ!!ゲヘナの連中が来てる!!」


その言葉に一瞬、同僚の思考が停止する。

ゲヘナと言えば巨大な軍事力と化物達で

構成された世界で類を見ない犯罪組織だ。

そんな連中が今……此処に?

ゾクッ!っと背筋が冷たくなるのを感じ

同僚も走り出した。



カーーーンッ!カーーーーンッ!!カーーンッ!!


ラズロ魔国のあらゆる場所で警鐘の

鳴る音が響き渡る。


「兵は正門前に集合しろ!!大至急だ!」


「フル装備で最大の警戒態勢を取れ!!」


「上層部に至急伝達を!!」


軍の基地では兵士達が慌ただしく

装備を整え全力で正門に走っていく。

休暇中の者も非番だった者達も全員

収集され一人でも多くの兵士が正門に

集まる様に伝達されているが余りにも

事態が急転しており戦場を経験している

魔国の兵士達でもパニックが生じている。

当然、それは軍だけでは無い。


「国民の皆は絶対に家から出るな!!」


「うわぁぁぁん!お母さん!怖いよぉ!」


「大丈夫よ。地下室に避難しましょ!」


「くっそぉ!どうなってやがんだよ!!」


魔国に住まう民達も叫び声を上げながら

逃げ惑い家に逃げ込み扉を固く閉ざして行く。


「隊長殿!こちらの避難完了致しました!」


「よし!我々は此処の持ち場を離れず待機だ!

 もし……奴らの目的が侵略なら命を懸けて

 国民を守るぞ!!」


隊長の言葉に魔国兵士達は「はっ!!!」と

声を上げる。


(魔王様……どうか御無事で!)


国民の避難が終了した隊長は正門に眼を

向けるのであった。



ラズロ魔国正門前。

そこには、国内を守っている兵士以外の

全ての兵士達が隊列を成して待機していた。

ある者は手が震え、またある者は、

緊張で顔が強張っている。


そんな兵士達の後方に、いくつもの

軍幕が張られ、その中でも1番大きく

立派な場所にアガレス魔王と側近達が、

卓に座り会議をしている。


「兵の様子は、どうだ?」


魔王が魔国将軍に声を掛ける。


「はっ!皆、魔王様や国の為に

 一人の脱走も無く配置に着いて

 おります」


将軍の言葉を聞き我は頷く。


そうか。

一人の脱走兵も無く配置に着いているか。

ゲヘナの私兵達は全て屈強で血も涙も

無い冷酷な者達と聞く。

女、子供でさえ敵対すれば見せしめに

皆殺しにする様、訓練されているらしい。

いや、あのバベルと言う男を見れば

頷ける事だ。

そんな相手にも逃げ出さず立ち向かうと

する覚悟!

我は勇敢な兵を誇りに思う。


「しかし、魔王様。まだ、ゲヘナと

 敵対した訳ではありません。

 今回のバベル拘束も本人が承諾

 したもの。

 まずは、相手の動きを見ませんと」


「そうですわね」


宰相の意見は最もだ。

我が妻も同意している。


我が妻も陣営に加わり完全装備だ。


出来れば戦いは避けたい。

帝国と戦争中にゲヘナまで相手に

したら我が国は滅亡の可能性も

ある。

だが……もし戦う事になれば、

我等の誇りに掛けて目に物みせてくれる!


バサッ!


軍の伝令係が軍幕に入ってくる。


「御報告致します!

 ゲヘナに動き有り!

 七大厄災の魔物2体と非武装の

 団体数千人が正門に向かって

 おります!!」


来たか!


「馬を用意せよ!我が出る!!」


「何をおっしゃいますか!?

 危険過ぎます!」


側近達が矢継ぎ早に止めようとする。

皆、我の身を案じての事だろう。


「皆が言う事は解る。

 しかし、我は魔国を統べる王だ!!

 我には、民を!国を!そして、

 お前達、忠臣を護る責務がある!!

 危険は承知!

 だからと言って逃げる訳にも

 いかん!!

 皆!我の背中を、しっかりと見届けよ!」


その言葉を聞いた側近達は全員一斉に

顔を伏せ跪く。

中には感激し涙を流し肩を震わせる者も

いた。


妻は何も言わず、ただ微笑みながら

我の手を優しく握ってくれた。

本来なら言いたい事もあるだろうに…。


我も妻の手を握り返し、軍幕の

外に用意された馬に乗る。


「では、行って来る!」


そう発し我は、馬を走らせた。

国で1番早い馬だ。

我は、あっという間にゲヘナの

者達の前に出た。

そこには、幾千者強者達が居た。


バベルの側近達程では無いにしろ

皆、眼光鋭く良く鍛えられている。


情報では、この者達は全員が

元スラムの住人やゴロツキと

聞いていたが………。

まるで歴戦の兵士の様だ。

明らかに我等の兵士達より

練度が高い。

そして、その中でも抜きん出て

いる2体。


「お初にお目にかかります。

 魔物軍頭領の閻魔と申します」


「魔物軍副頭領の山王でやんす」


異常なまでのオーラを醸し出す

2体の魔物。

我よりもデカイ身体。

盛り上がる筋肉。

流暢な言葉遣い。

異常な魔力量。

七大厄災の化物達だ。


「閻魔殿と山王殿か…。

 して、此度は何用か?その様な

 大軍を率いて」


遠回しに聞くのは無しだ。

単刀直入に聞く。


我が質問をすると山王と名乗った

魔物が一歩前に出る。


「先ずは商品のお届けでやんす。

 奴隷5千。

 戦時中と言う事で、それなりに

 戦える奴隷達でやんす」


奴隷を届けに!?

とゆー事は、敵対関係になった訳では

無さそうだが……それを考えるのは、

時期早々だな。


「……了解した。

 担当の者と金を用意する」


山王は、それを聞くと一歩下がり

代わりに閻魔と名乗った魔物が

前に出る。


「それと、我が主達の解放を

 要求する」


ズンッ!と地響きが聞こえる程の

巨体が一歩前に出ると我の背中に

冷たい物が流れた。


「解放には様々な手続きが必要だ。

 時間が掛かるぞ」


「では、早急に。

 後、面会をさせて頂きたい」


面会?

とゆー事は、この者達を我等の

国に入れると言う事か。

ならば、絶対に聞かなければならない

事がある。


「待たれよ。

 お主達は我等に危害を加えないと

 神に誓えるか?」


もし、危害を加えるつもりなら

絶対に入れる訳にはいかん!


「神なぞ信じて無いので

 誓う事は出来んが主達に

 誓って危害は加えない」


「………良かろう。

 但し、お主達二人のみだ。

 良いな?」


「心得た」


今は、信じるしか無かろうな。

不安は残るが…。


こうして、2体の魔物が国に

入る事になった。

我の後ろを着いてくる魔物達を

見て兵士や隊長クラス。

側近達は目を見開き驚き、恐怖

している。


「あ、あれが七大厄災の……」


「ば、化物だ…」


「あんなの……倒せるのか?」


兵士達が口々に喋る。

同感だ。

王の我が情けない事を言うが

この2体は何をどうやったら

倒せるのか検討も付かない。

何より、こんな化物共が人間の

下に従属している事が異常だ。


そんな事を思いながら歩を進めると

監獄の入口が見え、そこには、

監獄長のヴァイオレットと

近衛のヴァレンティーナが緊張の

面持ちで待機していた。

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