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異世界ブローカー  作者: 伍頭眼
211/248

バベルの世界「保険」

遅くなりました。最近、職場で人が辞めてしまい忙しくなってきました(´;ω;`)

また、投稿が遅れる可能性があります。申し訳無い!!

出来るだけ頑張りますので気長に待ってて下され!


げっへへへ!

俺様は盗賊団【荒野の蠍】を率いている

ベルティカ様だ。

クインケ帝国から少し離れたルイナイ荒野を

縄張りにしているぜ!


そんな俺達、盗賊団は定期的にルイナイ荒野に

点在する村に行きショバ代を要求する。


あん?

盗賊なのに襲わないのかって?

そりゃあ最初だけだ。

他の盗賊連中は商団を襲ったり小さな村を

襲ったりしてるぜ。

けど、これは馬鹿な行為だ。


だってよ、襲って皆殺しなんてしちまったら

身入りなんて最初だけだろ。

そんで、また新しい獲物を狙うなんて

リスクがありすぎだし面倒だ。

しかも近隣諸国は魔族と戦争状態が

長引いてるからな。

間違ってクインケ帝国お抱えの商団なんて

襲っちまったら眼も当てられねぇ。


だから俺達は点在する村を襲う。

見せしめに一人か二人殺しちまえば相手は

ブルっちまって、後は煮るなり焼くなりだ。

金を要求したり食料を分捕ったりな。

それが払えなきゃ女だ。

それが定期的に続くんだぜ。

楽勝だろ?


そんな感じで今日もルイナイ荒野にある

小さな村に出向いたんだよ。

いつもは小せぇ餓鬼が逃げ回って

馬で追い掛け回したりしながら暇潰しを

している間に俺の部下がショバ代を

回収すんだがよ。


今日は、その餓鬼が居なかったな。

遂に死んだか?

まぁ、それはどうでも良い。

それよりもだ。


「今月の上がりが出せねぇってのは

 どーゆう事だ!?ああん!」


「ひいい!申し訳ありません!ベルティカ様!

 何卒、お許し下されぇ!」


村の村長が頭を地面に擦りつけながら

許しをこう。


チィッ!!

流石に、此処は潮時かも知れねぇ。

散々、搾り取ったからな。


さて…そうなると、どうするかな。

こいつ等は俺達全員の事を知っている。

はい、さようなら…って訳には行かねぇ。

やはり皆殺しか?。

しかし、そんな事をすれば、ちと不味い。

クインケ帝国の連中は戦争で手一杯だし

貧困の村が一つ二つ消えたって気にしねぇ

連中だ。

そーなると出て来るのは冒険者達だ。

奴等は盗賊討伐も仕事の内だからな。

最初の内は返り討ちに出来るかも知れねぇが

そうなると大規模な討伐対象になる。

それは流石に俺達でも殺られるだろう。


うぅむ、と顎鬚を摩りながら考えている

ベルティカに対し村長は恐る恐る声を掛ける。


「恐れながらベルティカ様。実は此処より少し

 離れた場所に旅人が居るのです。

 今回の上がりの件は、この情報で

 勘弁してくれませんか?」


旅人?

ふぅむ。それが本当なら今回は許して

やっても良いか?


「どんな奴だ?騙すつもりじゃねぇだろな」


「め、滅相もありません!本当です!

 相手は人間が4人に獣人の男が一人。

 解っている人数は、これだけですが、

 食料も金も沢山持って居る筈です!

 高級そうな服に見た事の無い乗り物にも

 乗ってましたから」


くっくっくっ!この村長、村と自分が助かりたくて

必死だな。

まぁ、それも、そうか。

こいつの頭の中では皆殺しにされるかも知れないって

事で一杯だからな。


「解った。今回は、それで許してやる。

 只、てめぇ等が、その旅人を殺して

 身包みを剥いで来い。

 それが許す条件だ」


「そ、そんな……」


村長の顔が青くなる。


これは保険だ。

万が一クインケ帝国に通じている奴なら

責任を村人に押し付けられる。

それに、此処は、どの道終わりだ。

なら、こいつ等も巻き込んで密告出来ない様に

すれば良い。

盗賊行為や殺人は普通に重罪だからな。

これなら別に皆殺しにする必要もねぇ。

けっけっけっ!

我ながら天才だぜ。



この時までは、本当に天才だと思ってたんだ。

盗賊になってから周りの馬鹿共が捕まったり

殺されたりしてたけど俺だけは生き延びて

頭領まで上り詰めてよ。


上手くやってたんだぜ。

けど、旅人を襲いに行った連中が戻って

来た時点で、俺は終わったと思った……。


「このゴミ共を唆したのは、お前か?」


俺の眼の前には眼付きが恐ろしく鋭い人間達が

立っていた。

そして、その人間達の足元には先程、旅人を

襲いに行った村長と若者達の首が置いてあった。


心臓の鼓動が早くなる。

息が上手く吸えない。

俺の部下達も事の重大さと恐怖で身体が

動かない。


やべぇ…やべぇよ……何だよ、こいつ等!

普通の旅人じゃ無ぇーじゃねぇか!!


「うわあぁぁぁ!!」


「に、逃げろ!!」


少し目を離した隙に俺の部下2人が馬に乗って

逃げ出そうとする。


ズッドドドドドドドドッ!!!


しかし、その瞬間、名無しが車に設置してある

50口径の重機関銃で発砲。

逃げた部下の身体が千切飛ぶ。


「ッッ!?」


そんな光景をモロに見ちまったもんだから

身体から何故か一気に力が抜けていく。

諦めの境地って奴かな……。

盗賊なんだから根性見せろなんて言うなよ。

訳も分からず部下の身体がバラバラに

なったんだぜ?

俺達が逆立ちしたって敵う訳ねぇだろ。


俺は、その場に力無く腰を下ろす。


「指示したのは俺だ。

 俺も盗賊の端くれ。命乞いはしねぇよ。

 只、殺るなら……出来れば一瞬で頼むぜ」


「ほぉ~、潔いな。もっと抵抗するかと

 思ってたぜ」


「あんな強力な魔法だか何だか解らんのを

 使う連中に戦ったって勝てる訳ねぇだろ。

 ………そーいやぁ…ファルシア大国を

 滅ぼしたって奴等も不思議な魔道具を

 使うって風の噂で聞いた…けど。

 ま………まさか…違うよな?」


「大当たり。その、まさかだよ。

 ファルシア大国を滅ぼした主犯が

 俺達だ」


そう聞いた時、俺は笑っちまった。

だって、そうだろ?

強国と言われたファルシア大国を潰した

連中に喧嘩を売っちまったんだ!

自分の運の無さに思わず笑っちまったよ。


人間がファルシア大国を潰したって

信じるのかって?

ははは!殆どの連中は信じねぇと思うけど

俺は信じるね。

理由なんか無い。直感だ。


「へへっ…最悪な相手に喧嘩売っちまったって訳だ」


「そう悲観するな。皆殺しにするつもりだったが

 二つ仕事を引き受けてくれたら助けてやる」


バベルは邪悪な笑みでベルティカを見つめる。


「助かるなら何でもするぜ」


「一つ、俺達の荷物をクインケ帝国の近くに

 運べ。変装でもして兵士にでも渡してくれれば

 それでいい。それと、もう一つ…」


荷物を運べ…か。要は運び屋をやれって事だろ?

どうせ碌でもない荷物だと思うが此処で断りでも

したらマジで殺されちまうからな。

丁度、クインケ帝国の兵士で知り合いが居るから

そいつにでも渡せば良いだろ。


ベルティカは首を縦に振り了承した。


「あそこの村の連中を全員殺しとけ。

 誑かされたとは言え俺達を売った連中だ。

 何処かに情報を流す可能性があるからな。

 女、子共関係無くキッチリ殺れ」


その言葉を聞いて口元が引き攣る。

まるで日常会話でも話しているかの様に

村の連中を皆殺しにしろと言ったのだ。


「……本気か?」


「本気だ。お前等、盗賊なんだから朝飯前だろ。

 チャッチャと殺せ。

 それと、お前等も俺達と会った事は他言無用だ。

 本当なら殺しとけば確実なんだが俺達の代わりに

 仕事をしてくれるからな」


そうだよな…本気だよな。

だって眼がマジなんだもんよ…。

こいつ等がファルシア大国を滅ぼしたってのも

頷けるぜ。

全く情ってもんが感じられねぇ。


「仕事が全て終ればアトランティスに来れば良い。

 俺達が支配している土地だから、どんな奴でも

 歓迎するからよ。くっくっくっ」


こいつ等が支配している土地か…

正直、怖さも感じるが村を滅ぼしたら間違い無く

俺達は指名手配だ。行くしかねぇよな…。


「解った…村の連中を全員殺した後に荷物を

 届ける。そしたら、アンタの所に顔出すよ」


そう言うとベルティカは腰に挿してあった

剣を抜き、部下達を連れて村に向かったのであった。

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