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異世界ブローカー  作者: 伍頭眼
207/248

バベルの世界「決闘」

「うふふ、少し悪戯が過ぎたわね」


ミシッ…パキッ


「でも楽しいです。皆さん可愛いし」


ゴキッ…グリュ


薄暗い部屋で会話している二人組の殺し屋。

彼等は今、準備をしている。


「私は、これで行くわ。簡単だし。

 よいしょっと!」


ゴキキッ!と骨の関節を外し再度嵌め直す。


うふふ…本当に可愛い子達よね。

ちょっと悪戯しちゃったぐらいで決闘だなんて。

この世界に来て正解だったわ~。


あらら!御免なさい。自己紹介が、まだだったわね。

私は、のっぺら坊。殺し屋よ。宜しくね。

全然、自己紹介になってないかもだけど

許してねん。殺し屋なんて仕事してんだから

素性は隠さなきゃね。

でも一つだけなら教えてあげる。

出身は日本よ。後は…そうねぇ…気分が良かったら

少しずつ教えてあげるわね。

楽しみにしててね。可愛い子ちゃん達。うふふ。


「のっぺさん、どうですか?こんな感じですかね」


「あらぁ、バッチリじゃない!完璧よ」


「のっぺさんも完璧ですね」


うふふ!お互い準備万端ね!

じゃー、可愛い子ちゃん達が待ってる訓練場に

行きましょうか。

驚くでしょうね~!うふふ。


◇ ◇ ◇


訓練場に足を運ぶと妙な熱気に包まれていた。

ゲヘナの幹部クラスから新隊員まで訓練場に

集まり今回の決闘を絶対に見逃すものかと

言う気迫を感じる。

だが、決闘は別に珍しいものでは無い。


そもそも、ゲヘナは犯罪組織。

要は犯罪者やゴロツキの集まりだ。

当然、そんな連中が集まればイザコザが

出てくる。

そんな事は誰でも予想出来る。

だから、決闘と言うものがあるのだ。

簡単に言えば、どーしても納得が出来ない!

気に入らない!と言うなら思いっきり

喧嘩しろと言う事だ。


只し、殺しは厳罰。

特に故意に殺害した場合は、その場で射殺だ。

それさえ守れば思い切り殴り合えば良いと

バベルが明言している。

因みに、銃は禁止。

それ以外なら何を使っても良い。

さて、長話も、これぐらいで決闘を楽しもう。





◇ ◇ ◇




「ガル先輩、ファイトだぜぇ!!」


「リー姉様!頑張って下さい!!」


訓練場に立つガルとリーに声援が送られる。

それと同時に賭け事まで発展するのだから

どれだけ熱狂しているか想像出来るだろう。


「リヒト姉様は、どう思いますか?」


「うむ…リーは相当強いな。私でも少々手古摺る。

 それにガルも随分成長しているから一筋縄では

 いかんだろう。………しかし」


元騎士団達も今回の決闘が気になり

見に来て話し合っている。


「相手が未知数だからな。ましてやバベルが

 認める様な連中だ。そう簡単にはいくまい」


その言葉にウィルが小さく頷く。


「どれだけ強いか俺達が見定めてやろーぜ!」


「そうだね。異常さは解ったけど実力は、まだ

 解らないからね」


「…何か、またとんでもない連中の可能性が

 ありますわね」


「これ以上、戦力上げて何しようと

 してるんですかね…はぁ」


そんな事を喋っている内に訓練場はヒートアップ

していく。

今だけは、兵士が訓練する場所も娯楽の為に

造られたコロシアムの様である。

そして、遂に例の殺し屋達が姿を現した。


ザッ…。


「お・ま・た・せ!」


「お待たせしました」


「いつまで、待たせやがっっっ!!?」


少し遅れていた殺し屋達に若干イラついていたガルが

振り向き声を荒げようとした時、彼等の姿を見て

絶句した。

ガルだけでは無い。

あれだけ熱が籠りヒートアップしていた

訓練場が水を打った様に静かになったのだ。

あの者は、信じられない者を見る表情で。

また、ある者は動揺が隠せないと言った表情で。


「……夢でも見ているのか?」


「どうなってんだ……ありゃ…」


「う…嘘だろ…」


全員がガルとリーの前に立って居る殺し屋を

見た後にバベル達が座っているギャラリーに

眼を向ける。

そこには、顔を顰めているボスと京香が居り、

ガストラは驚愕していた。

それも、その筈だ。


「…な…何で…ボスと京香が二人いんだよ…」


そう。

今、ガルとリーの前に立って居る者達は

ボスと京香の姿をしているのだ。


「んふふ~!驚いたかな?」


そりゃあ…驚くわよねぇ。

今、ガルちゃんの前に居るのはボスだし。

リーちゃんの前には京香が居るんだもん。

しかも、瓜二つのね。

けど、バベルの隣にもボスと京香が居る。

ふふふ~、頭が混乱するでしょう。


「な、何だよ!?はぁ!何でボスと京香が!?

 いや、お前等、誰だよ!?」


「魔法の類か!?い、いや、この人間達も

 魔力が備わってないし……変装…?

 しかし……もし変装なら度を越えている…。

 姿形も…声まで…どうなっているのだ!?」


「それは戦いながら説明します。おっと、

 今の私はボスですからねぇ。

 口調も真似しないといけないねぇ。

 お前達の訓練成果を見せてくれぇ」


ボスの姿をしている名無しが口調まで真似すると

リーの全員が粟立った。

それ程、遜色無いのだ。


そして名無しと、のっぺがナイフを構え

臨戦態勢に入るとガルとリーも慌てて態勢に入る。


「此処にいる全員が見届け人だ。

 思う存分やれ。始めろ」


バベルが声を上げると、名無しと、のっぺが

全速力でガルとリーに近付く。

先ずは、ボスの姿をした名無しがガルの

懐に一気に詰め寄るとガルの腹部目掛けて

肘を打ち込む。


「ぐっう!!」


その肘を腕でカバーし何とか防ぐガルだが、

名無しはまるで円を描くかの様なナイフ捌きで

眼、首、肺、鳩尾、心臓、肝臓、足の大動脈と

言った感じで急所を狙う。


うふ!ガルちゃんに防ぎきれるかしらねぇ。

今の名無しはボスそのもの。

顔も声も体格も骨格も真似て、戦闘技術まで

そっくりだから本物のボスを相手している

みたいでしょう~。

いくら刃を潰したナイフでも当たると

痛いわよん!


さて、私はと言うと……。


京香の姿をした、のっぺら坊がリーを

チラリと見る。


全速力で近付いて一撃入れようかと思ったけど

流石、元暗殺者だけあってすばしっこいわねぇ。

頬を掠めて少し血が出ただけか。


「はぁ…はぁ…!」


流石に警戒してるわねぇ。

一挙手一投足を良く観察している。

けど、観察だけしている様じゃ駄目よん。


ダンッ!と地を蹴ってリーに向かう瞬間に

刃が潰れたナイフを投擲する。

それを、リーが弾き後ろに後退すると同時に

魔法で土の壁を出す。


土の壁…生の魔法って凄いわね!

感動した!

けど、残念ながら今の私には、そんな壁

無いに等しいのよ。


のっぺら坊は土壁を左フック一発で粉々に

すると、そのままリーに詰め寄り猛攻を

掛ける。


ビュ!…ビュ!とのっぺの拳が空を切る。

リーも只避けているだけでは無く京香の

戦いを思い出しながら避けている様だ。

そして、のっぺが大振りになった所を

見逃さず手首を取り、腕が伸びきったと

同時に、のっぺの肘関節に強烈な打撃を

叩き込む。

瞬間、ボコンッ!と関節が外れ腕の関節が

あり得ない方向に向く。


「よし!」


リーが勝利を確信した、その時。


「よし、じゃないわよ。阿保ちゃん」


のっぺは、肘と同時に肩も極められていたにも

関わらず、極められた肩を一瞬で外しリーに

向かい合う。

そしてリーの胸部に拳をめり込ませ吹っ飛ばす。


ドガッ!ガッ!……ザザァ…。


「ぐうぅぅッ!?つぅ…!」


あらぁ?中々根性あるじゃない。

胸骨を砕いたのに立ち上がるなんて。


ガキョ!パキッ!


涼しい顔をしながら外れた関節を同時に

嵌めるのっぺら坊。


けど立って居るのが、やっとよねぇ。

のっぺら坊は、フラフラのリーに近付き

首を掴むと一気に持ち上げる。


「これで終わりね。気絶しちゃいなさい」


「っっ!ふ…ざ、けるなぁぁぁぁ!!」


リーは首を掴んでいる、のっぺら坊の肘関節を

思い切り叩く。

そうすると肘は曲がり反動で、お互いの

顔が近付くのだ。

リーは、それを利用して、のっぺら坊の顔面に

頭突きをブチかます。


「あべっ!?」


その衝撃でリーを離し顔を抑える、のっぺら坊。


「はぁ!はぁ!どうだ!?今のは効いたろう!」


「……えぇ、効いたわ」


そう言い顔を上げる、のっぺら坊を見た

リーや野次馬達は眼を見開く。


「な…何なのだ…一体全体、貴様達は

 何者なのだ!!本当に人間か!!?」


普段から冷静なリーが此処まで取り乱すのには

訳がある。

のっぺら坊の顔は、まるで作り物の様に

大きく拉げ片目が落ちていた。

なのに一滴の血も流れていないのだ。


あら?今の一撃で顔が壊れたわねぇ。

ふふっ、まぁ仕方ないかしら。


のっぺら坊は、顔を自身の手で覆うとグニュグニュと

粘土細工の様に顔を弄る。

一通り弄り終わり顔を上げるとリーが「ヒュッ!」と

息を飲む音上げる。


「似てるかしら?リーちゃん」


リーは愕然とした顔で相手の顔を見ている。

いつも鏡で見ていた筈の慣れ親しんだ自分の顔を。


「即興で作ったけど中々良いわね。

 けど、これ以上長引かせるのもアレだし

 終わらせようかしら」


のっぺら坊は右手を軽くリー目掛けて振る。


ブシュ!!


振った瞬間、まるで鋭利な刃物に斬られたかと

思う程の傷口が出来、そこから血が噴き出す。


「な……何がっっ!?」


地面に倒れ伏すリーを見て、リーの顔で

薄ら笑いを浮かべる、のっぺら坊。

そして……。


「決闘は終わりだ。勝者は名無しと、のっぺら坊」


バベルが、そう宣告し決闘が終了した。

因みに、ガルは右手首と左肩を外されて

右足を折られて地面に倒れていたのだった。

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