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異世界ブローカー  作者: 伍頭眼
205/248

バベルの世界「撮影」

今回、かなり胸糞&スプラッタな表現があります。

お気を付けください。

私の小説を見ている方々なら大丈夫だと思いますが念の為。

因みに私は描いていて若干、気分が悪くなりやした(笑)

ザッ……ザザッ…ピッ。


『映ってるか?』


『あぁ、バッチリだよぉ』


う…んん?何かしら……頭がボーッとして

視界が歪んでいるわ。

確か私達はクインケ神の代弁者で偉大なる

教皇。レリウス・ブリデン教皇様の命により

ラド・バベルなる異教徒と、その犯罪組織を

我等の傘下に引き入れる為に、元ファルシア

大国で現在アトランティスと呼ばれている

地に来ていた筈なのに……此処は、何処なの?


ミネルバは混濁している意識を振り払う様に

自身の頭を左右に振る。

そうすると少しずつだが意識がハッキリ

し始め周りが見えてくる。


煉瓦造りの壁。

窓も無い部屋なのに充分な明かりが周りを

照らしている。

そこに立って居る3人の男と一人の

小柄な女性。


あれは…ラド・バベルと異教徒で低俗な

人間達だ。


その者達を見て動き出そうとするが

異変に気付く。


身体が動かない!?縛られてる!?

どうして!?

周りを見てみると護衛として連れて来た

屈強な神の兵士と呼ばれている神兵と

同じクインケ教の信徒達が椅子に鎖で

縛りつけられている。


『おっ?起きたか』


『これは、どういう事ですか?

 クインケ教に属する信徒の私達に対し

 この様な行いをするとは!

 直ぐに我等を解放しなさい!さもなくば

 クインケ神の天罰が下るでしょう!!』


この様な馬鹿げた行為など……所詮、

暴力でしか何事も成し遂げられない蛮族!

我等、崇高なる信仰を持っている者達の

足元にも及びません!


『さぁ!どうしたのです!?

 早く解きなさい!この邪教徒共!』


ミネルバの罵声を涼しい顔で聞いていた

バベルが煙草に火を着ける。

その後、ボスから鋏を受け取る。

布等を裁断する様な鋏では無く枝等を

切断する鋏だ。


コツ…コツ…と、ゆっくりとミネルバに

近付くと拘束されている手の指に鋏で

軽く挟む。


『な…何をしようとするのです?

 私は、クインケ教の信徒です…よ。

 司教ですよ?わ、私に何かありましたら

 神が貴方に……』


『質問だ。

 俺の部下がクインケ帝国との取引に

 行った際に襲われた。

 奴隷の取引だ。今回、それを一任していた

 責任者を教えろ』


はぁ?何を言うのかと思えば、この男。

奴隷の取引?

そんな話など聞いた事も無い。

まぁ……そんな事をする連中なら少しは

心当たりは有りますがね。


『いえ…初めて聞きましたね

 一体全体何の事をッッッ!!?』


バチンッ!


ポトッ。


バベルはミネルバが喋っている途中で

鋏を思い切り握り人差し指の第二関節を

切断した。


『ぎゃああああああああああああ!』


指!?私の綺麗な指があぁぁ!


『やっぱり刃物は日本産だよな。

 骨も殆ど抵抗無く切れちまう』


シャキ…シャキと鋏を閉じたり開いたり

しながらニタニタと笑う。

そして、次に中指を軽く挟む。


『知らねぇって事はねぇだろ?

 何かしら知っている事を吐け』


『はぁ…はぁ…し、知らない…わ…。

 ぐぅ…貴様、私に、この様な仕打ち!

 これは宣戦布告と見なします!!

 神の使徒達が貴様等を根絶やしに

 する事でしょう!!

 クインケ神に仕える我等に歯向かった事を

 悔いて死ぬがいいぃぃぃいぎゃあああああ!!』


バチンッと顔色一つ変えずに中指の

第二関節を切り落とす。


痛い!痛いぃ!!やめて!やめてぇ!!

神よ!我等の偉大なるクインケ神よぉ!

この者に天罰を!そして私を御救い下さいぃ!


『面倒うだな。こっちは勝手に落として

 行くから何か思い出したら言え』


そう言うとバベルは躊躇無く薬指を

鋏で挟む。


『ちょっ!?待ちなさッッ!』


バチンッ!


『ぎゃああ!待って!もうっ』バチンッ!

『いぎゃあああ!わかっ!思い出すかッッ』バチンッ!

『ぎええええ!!やめてぇぇぇ!言う!』バチンッ!

『ウェルダン!ッッウェルダン大司教様があぁ!』バチンッ!


右手の指を全て切断した所でミネルバが

今回の取引に関わっていると思われる

人物の名前を挙げた。


あぁ~…あぁぁぁ…私の手がぁ…

私の指があぁぁ~…うぅぅ…。


『誰だ?そいつ』


『うぅ…ヒック…グスッ…』


ミネルバは美しい顔を苦痛に歪ませて

涙を流している。


『泣いて喋れないなら続行するかな』


今度は左手の人差し指に鋏を向ける。


『ひゃっ!?ウェ!ウェルダン大司教様は、

 兵士の補充をしている最高責任者で!

 あの、えっと!!多分、今回の貴方達の

 取引にも噛んでると思う!!

 それ以外は知らない!本当よ!

 神に誓うわ!!

 私達は、貴方達をクインケ帝国に引き入れろと

 しか言われてないの!!』


ミネルバは必死にバベルに説明する。


冗談じゃないわよ!!

こんなの…こんなのってあんまりだわ!!

私はクインケ神に仕える司教よ!

それ以前に、か弱い乙女なの!

なのに、この男……顔色変える事無く

私の指を……。

こんなイカれた人間なんて相手にしてられない!

そもそも、何で私が、こんな目に合うの!?

護衛も役立たずだし!私じゃなくて別の

役立たずの指を落としなさいよおぉぉぉ!!


『私が知っている事は、これだけなの!

 本当よ!!だから、もうこんな野蛮な事

 止めて解放して頂戴!!』


心の中で悪態を吐きながらミネルバは

涙を流しながら許しを請う。


『ウェルダンねぇ~…まぁ、良いだろ

 そいつには後々、色々と聞くとして…だ。

 次は、俺達の組織を乗っ取ろうとした

 制裁だな』


バベルの言葉にミネルバの目が見開く。


『ま、待って!!私は知ってる事を

 言ったじゃない!もう終わりでしょ!?』


『正門の警告を無視して乗っ取ろうなんて

 舐めた真似されて終わりな訳ねぇだろ。

 クインケ帝国には警告と制裁を

 与えないといけねぇからな。

 とゆー訳で、のっぺら坊、名無しの権兵衛。

 仕事だ。宜しく頼む』


その言葉を聞いた二人は鞄から様々な道具を

取り出し始める。


開口用の医療器具、電動鋸に数種類の刃物。

瓶で小分けにされている様々な薬物。

そして、何故かフライパンや鍋、ガスコンロ等

料理に使用するであろう道具がステンレス製の

テーブルに置かれていく。


『この二人は完全にイカれてるからな。

 相当、苦しむと思うが頑張れ。はっはっ!』


バベルから発せられた言葉に息を飲む

ミネルバ一同。


ふ…ふざけないでよ…。私の指を何の躊躇も

無く切断していった男がイカれてるなんて言う

奴等に拷問なんてされたくない!!


ガタガタと震えているミネルバや他の信徒達を

見ながら名無しの権兵衛が一人の獣人を選んだ。


『貴方は、こちらに』


『な、何をするつもりだぁ!離せ!離っ!?』


赤髪の護衛の男は名無しに引き連られて

簡素な椅子に座らされ身体を固定される。

その光景を見て他の者達は、ほんの少しでは

あるが安堵する。

…が、彼等は知らない。

この後に起きる地獄を。いや、地獄など

生易しいと思う程の凄惨な光景を。


名無しと言う男が私の護衛の服を刃物で

斬っていく。

そして全ての衣服や鎧が取り外されると

シャリ…シャリ、シャリと剃刀を研いだ後に

護衛の頭髪を剃り始めたのだ。


何……一体、この者達は何をしようとしているの?

服を脱がせて全裸にしたと思ったら…頭髪を剃って

……今は体毛を剃り始めている…。

解らない…彼等が何をしようとしているのか

サッパリ検討がつかない。


『名無しー、持って来たよー』


『有難う御座います。こちらも準備出来ました』


ゴロゴロと運ばれて来た大きな金属の塊。


『発電機運転するよー!』


ドッドッドッドッ!!!と部屋中に大きな音が

鳴り響く。


『準備出来ましたね。では、始めますか』


コツ…コツ…と近付いてくると名無しは

不可解な言葉をクインケ帝国の使徒に

投げ掛ける。


『肉料理の腸詰めは好きですか?』…と。


腸詰め…ブルストの事よね?

何で…いきなり料理の話なんて……。

ま、まぁ…好きか嫌いかなら好きだけど。

クインケ教は別に肉料理を禁じてないし。

とゆーか、今更私達を持て成す気!?

もし、そうなら完全に遅すぎたわね!


ギロリと名無しを睨みつけるミネルバ。


『皆さんには我々の料理風景を見て頂き

 美味しく頂いて貰おうかと思いまして。

 楽しんで頂けると幸いです。

 それでは、まず貴方方の目の前にあります

 鉄の容器。

 これは業務用で使用する電動ミンサーと

 言いまして、簡単に言えば肉を粉々にする

 道具です。牛や豚なんかを丸ごと一頭ミンチに

 する事も出来る優れものなんですよ』


説明しながら名無しがミンサーの電源を入れる。

ギュイイイイィィィィィイイン!と音を出し

破砕機が高速で回転し始める。


肉をミンチにって……。

何で、急に?そもそも材料になる肉が、

何処にも見当たらないじゃない。


ミネルバが、そう思った瞬間、

名無しが先程、全身の毛を剃った

獣人の後ろ首を掴んで破砕機に引き連って行く。


……ま、待って…ねぇ、待って…。

何、何しようとしてるの…?

そんな………嘘。嘘よね?

いくら何でも、そんな事しないわよね?

止めて…ねぇ。ねぇ!?

貴方、一体何しようとしてるのよ!?


ミネルバは、この世の絶望を一身に

受けた顔になる。

真っ青を通り越して土気色だ。

それは、他の信徒達も同様。


『何をする!?ま、待て!止めて!

 離してくれ!!や、止めっ!?』


『美味しくなって下さいね』


そう言って名無しは、先程の護衛を

高速回転するミンサーの中に

放り込んだ。


ガタッガタ、バキャ!メキッ!メキッ!


『ムギュウゥ!モギュウゥゥゥゥゥ!!』




◇ ◇ ◇



バンッ!!!


俺は、直ぐ様プレイヤーの画面を閉じた。


心臓の音と鼓動が今まで経験した事の

無い程、煩く早い。

脂汗と冷や汗が同時に吹き出し吐き気も

襲ってくる。


俺が後ろを振り向くと同様に顔を真っ青に

してゴミ箱や袋にゲーゲーと吐いている。

今回、この映像を見た者は、全員荒事に

特化した猛者達だ。

そいつ等が眼に涙を浮かべて蹲り

吐きまくっている。


「イカれてる……」


誰かが、ポツリと呟く。


あぁ、イカれてる。いや、そんな言葉で

済ます程、生易しいものじゃない!

鬼畜の所業だ。

あの、名無しの権兵衛と、のっぺら坊って

奴は完全に異常だ!まともじゃない!

最後まで映像を見てないが予想

出来る。そして、それを想像すると

胃の中身が全部、外に出ちまいそうだ!


「……あの信徒は、もう普通に生きられ

 ないだろうな……」


元団長のリヒトが呟く。


だろうな……あの部屋から連れ出された

時は眼の焦点が全く合ってなかったし、

身体中、吐瀉物塗れだった。

外傷は右手の指切断だけなのに、自分で

立つ事も出来ない程。

尋常では無い心の傷………いや、もう

壊れちまったんだろう。

多分、部屋から生き残った5人全員の

精神が崩壊してると思う。


俺も…見なきゃ良かった……。

バベルに見ない方が良いぞ、と言われて

逆に気になっちまったんだ。

散々、修羅場を見て来た俺達なら

平気だと思ってたけど……更に上が

あんのかよ…。


映像を見ていた部屋に沈黙が流れる。


「ガルさん」


「ガールちゃん!」


その楽しそうな声を聞いた一同が振り向くと、

名無しの権兵衛と、のっぺら坊が口元を

釣り上げて笑っていた。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 新人さん達イカれてますねえ笑 血や排泄物をちゃんと抜かないとばっちぃですよ!() [一言] 獣人の肉は獣寄り人間寄りのどちらなんですかね、人肉は倫理観や感染症等のリスクを差し引いても美味し…
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