ガルの世界「奇襲」
うははーい( *´艸`)いつの間にか評価が上がってました!
ブクマ&評価してくれた方有難うごぜぇます( ;∀;)
これで、あなたも皆さんと同じ猛者読者の仲間入りですぜ!ぐへへ( `ー´)ノ
ブロロロッ!
市街地を走る3台の車。
その内の1台では重苦しい空気が
流れている。
運転手は、ボスで後部座席には
バベル、ガル、ウィンザー、レスタだ。
俺達はチャンとの取引を終えて
前に宿泊した宿に向かってる。
そこで一泊したら例の殺し屋達と
合流して俺達が住んでいる世界に
向かう手筈になってんだけどよ。
けど、その前に、どーしてもバベルの
野郎に聞きてぇ事があんだ。
「どうした?ウィンザー。
さっきから俺の事を見つめて?
ガストラより俺が好きになっちまったか?」
「アホ言うなよな。おめぇなんて、
これっぽっちも好きになんねぇよ!
どちらかと言えば大嫌いだ」
「おう…手厳しいな」
バベルは大袈裟に肩を竦める。
「それで?何か文句あんのか?」
バベルが煙草に火を着けて俺達を見回す。
「こっちの世界では生きた人間まで
バラバラにして売ってるなんて
知らなかったよ。
あんな……ひでぇ事してたなんて…。
ガストラも解った上でバベルの護衛
やってんだよね?」
「勿論だ」
その言葉を聞くとウィンザーは奥歯を
強く噛み締める。
やっぱり…そうなんだな…。
ガストラ達は俺達が思っている以上に
バベルの悪事に手を染めてんのか…。
「一応言っておくが、ガストラ達を
責めるのはお門違いだからな。
あいつ等は俺の指示で動いてる」
「解ってるよ…」
解ってる…解ってるけど、やるせねぇんだよ。
俺の好きな奴が悪事の片棒を背負うのはよ!
ウィンザーが拳を握り締めて俯いていると
レスタがバベルに声を掛ける。
「…バベル。先程の取引を我々は
見た訳じゃない。
だから確証は無い。
それを踏まえて聞くぞ。貴様が取引した
人間達は……我々の世界の人間か?」
そうだ!?
俺も、それが聞きたかったんだ!
バベルは混沌の指輪を付けていた。
なら取引に使われた人間は…。
「あぁ。お前達の世界の人間だ。
あれは良い。国籍も戸籍も無い。
完全に存在してない人間達だ。
言葉は通じないだろうが、ヤルのに
言葉なんて関係ねぇし、死んじまっても
誰が誰だか解らんからな。
リスクを減らせて素晴らしいぞ」
バベルは悪びれる様子も無くケラケラと
笑う。
その様子を見ていたレスタの視線が
鋭くなる。
この…ゴミクズ野郎が…。
俺達の世界に住んでる人間達を切り売りして
何、笑ってんだよ!
マジで反吐が出る。
いや…こいつだけじゃない。
取引相手のチャンとか言う奴も終始
楽しそうにヘラヘラしやがって!
どーなってんだよ!?
この世界の人間共は!
「貴様…我々の民達を…」
レスタが犬歯を剥き出しにしながら
低い声でバベルに言う。
「はっ!?何が、民達だ。アホ。
散々、奴隷として扱って来た連中が
綺麗事抜かすな」
「ッッ…それは……」
「いいか?レスタ。お前達が俺の事を
どう思おうと構わん。
けどな、俺達の世界じゃ、こんな事
普通なんだよ。
なんなら、もっと地獄だってある。
想像出来んかも知れんが俺達の世界は
そーゆう世界だ。
残虐で無慈悲な行為を平然と鼻歌混じりで
実行出来るのが此処の人間だ」
バベルが言うとレスタが黙る。
ガルも何か思い当たる節があるのだろう。
さっきから難しい顔をしてやがる。
これが普通…。
やっぱ俺には信じらんねぇな…。
余りにも俺達の世界に住んでいる人間達と
性質が違い過ぎる。
けど…これが普通ってんならバベルだけが
イカれてるんじゃねぇ。
こっちの犯罪者……しかも組織のトップクラスは
全員、頭が狂ってる。
完全にイカレてるか、少しイカレてるか
ぐらいの差だろうが俺達からしたら
全員、完璧にイカレてんだよ。
初めて、この世界に来た時は、
すげぇ心が踊った。
見る物、触る物全部初めてで、この世界の
発展の異常さに驚愕したもんだ。
けど…それだけだ…。
この世界の住人達は発展の代償に何か
大事な物が抜け落ちてる。
なんつーか……暖かみ?が此処の連中には
感じない。
……ガストラも……やっぱり、そうなのかな…。
そんな事を考えていると信号と言う物が
赤になり停車する。
聞けば、交通?も様々な決まりがあり
破ると面倒らしい。
はんっ!犯罪とゆー犯罪を軒並み犯してる
連中だってのによ。笑えるぜ。
はぁ…とウィンザーは座席に背中を預ける。
その時、何気にボスの方を見るとボスが外を
鋭い眼付きで見ていた。
んっ?何だ?
その目線を追うと見窄らしい格好をしている
人間の3人組が居た。
「ボス?どうした」
「いや…あの3人組が少し気になっ…」
とボスが喋り終わる前に3人組の一人が
デカイケースから何かを出し構えた。
「ッ!?RPG!!伏せろ!」
ボスが瞬時に拳銃を取り出し武器を構えてる
連中に発泡する。
ドンッドンッドンッ!!
ボスが撃った弾丸でRPGを持っていた
男が倒れる……しかし、ほんの少し遅かった。
ドシュ!
発射された弾頭は俺達の乗っている車の
下部辺りに命中する。
ズドォォォォォン!!
「うわあぁぁぁ!」
「ぎゃあああああ!!」
「うおおおお!!」
俺とガル、レスタが叫び声を上げる。
ドガンッ!ガシャァァァン!!
うぅ…いってぇ…一体何なんだよ!?
あぁ、くっそ、耳がキーンて鳴りやがる!!
現状を確認すると、どうやら俺達が乗った
車は横転したらしい。
ガルとレスタも…無事みてぇだな。
耳を抑えてるから俺と一緒で耳鳴りが
スゲェんだろう。
何とか立ち上がり現場を見ると街中
パニックだ。
人間達が大勢逃げ回っている。
一体何が!?
襲撃か!?
ガンッ!ガキンッ!!
「きゃっ!?」
ウィンザーが立っていた場所で何かが
弾けて火花が散る。
何!?何!?何なんだよ!?
そう思い周りを見ると明らかにボス達以外に
十数人の武装している連中が居る。
そいつ等は街中だろうが関係無しに
銃撃を始めた。
ズドドドドッ!ズドドッ!
ズババババババババッ!!
バンッ!バンッ!バンッ!バンッ!
ババババンッ!!
ぎゃああああ!ザッケンな!!
なんて所で銃撃戦なんて始めやがんだ!
くっそ!戦斧があれば、ぶっ殺せるのに
手元にねぇし!!
頭を低くして移動するウィンザーに
駆け寄る一人の男。
「ウィンザーさん!」
「ガ…ガストラァァ!!」
ガストラが来てくれた!ガストラが!!
ガストラを見たウィンザーは駆け寄り
抱きつこうとしたが、ガストラに頭を
抑えられて地面に這いつくばる。
「フニャ!!」
「頭下げろって!このアマ!」
ふぐぅぅぅ!ガストラのアホォォ!!
口調が元に戻ってんだよぉ!
しかも抱きつこうとした女をいきなり
ハッ倒すなんてぇ!……まぁ、俺が
悪いんだけどさ…。
ズドドドドドドドドドッ!!
「ぐぇっ!?」
「がっ!?」
ガストラが撃った弾丸が敵の胴体と
頭にヒットし相手が崩れ落ちる。
「ガシュトラァ…膝退けてぇ…
顔…ちゅぶれる…。
俺もてちゅだうから!!」
ウィンザーの言葉に気付き膝を退かす。
「ウィンザーさん、銃だ」
ガストラから手渡された拳銃を
手に取り敵に発砲する。
パンパン!パンッ!
クッソが!全然、当たらねぇじゃん!
壊れてんじゃねぇのか!?コレ!?
「ガストラ!全然、当たらねぇ!!
お前のと交換してくれ!」
弾が全く当たらずに苛つきながら
ガストラに拳銃を渡す。
ガストラも持っていたアサルトライフルを
ウィンザーに渡した後に、直ぐに
拳銃で敵に向けて銃撃する。
パンッ!パンッ!パンッ!
先程までウィンザーが持っていた
拳銃で、あっという間に3人の敵を
射殺するガストラ。
……滅茶苦茶、当たってんじゃん…。
俺が撃った時は全く当たらなかったのに!
そんで、ガストラと交換した
アサルトライフルも、やっぱり当たんねぇ!
撃った瞬間に微妙にブレて、サッパリだ!
「うぅ〜!ガストラ!他に何か
無いのかよ!!」
「ウィンザーさん……射撃の訓練
もっと、しっかりしましょうね」
はぁ…と溜め息を吐きながら
背負っていたバックから大型の
マシンガンを取り出す。
「弾が200発入ってますから
これで制圧射撃して下さいっす。
当てる事より、兎に角バラ撒いて
下さい」
そのマシンガンを手に持ち口元を
上げるウィンザー。
真っ赤な髪でガタイが良く、
筋肉が騎士団の中で1番ある彼女が
デカイマシンガンを持つ。
その光景を、ガストラは眼を
細めながら見る。
「メッチャ似合いますね…」
「ハハッ!そうかい?
やっぱり得物はデカイに限るね!」
バラララララララッ!バララララ!
辺りに響く発砲音。
雨の様に降りしきる薬莢。
ガラスが割れ、壁が砕け、車体に
無数の弾痕が出来る。
わははは!!相変わらず
とんでも無い武器だね!こりゃ!
連射も威力も半端じゃない!
これじゃあ、俺達の世界で
身に着けている鎧なんて紙くず同然だ!
ウィンザーが、そんな事を思いながら
弾をバラ撒いて数分が経った頃。
既に、襲撃者達は全て死亡。
立っていたのは、バベル達だけだった。
「お前等、早く車に乗れ」
1台は壊されたので残っている
車に全員が乗り込む。
「はぁぁ…焦ったぜ…
あいつ等、何者なんだ?」
ガルが真っ青な顔でバベルに問う。
「さぁな、俺達が潰したカルテルの
残党だろ。まぁ、恨んでる連中なんて
履いて捨てる程いるからなぁ。
はっはっはっ!」
まるで何事も無かったように
いつもの口調で喋るバベル。
やっぱ、こっちの世界でも相当
恨まれてんだな、こいつ。
ただ、解るのは俺達の世界の連中が
もし復讐するなら最低でも、さっきの
襲撃者ぐらいの武力が無いと
バベル達と戦う事すら出来ない。
初めて銃対銃の戦いを見たけど、
ボスやガストラ、剣崎はレベルが
違う。多分、襲撃者も素人じゃないと
思ったけどボス達程、洗練されて
無かった。
こいつ等は、あんな日常を生き延びて
来たのか……。
「ガストラ達は、凄えな…。
実はさ、ほんのちょっとだけ、
ガストラ達が強いのって銃が
あるからじゃないかって…思ってた。
俺達の世界では存在しない強力な
武器があるから俺達や国に勝てたって。
けど、今日のを見て、そんな考え
吹っ飛んだよ。あんた達は、相手が
銃を持ってても、あっという間に
倒しちまったからな…」
シュンとしながら喋るウィンザーに
バベルとガストラが笑いながら
喋り始める。
「ははは!だから、言ったろ?
ガストラ達は精鋭中の精鋭だってよ。
あれより酷い戦場を何度も戦い
生き延びて戦果を上げた連中だぞ。
お前達の世界や獣人達とは戦いの
土台が違い過ぎるんだよ」
「そっすねー。それに、やっぱり
しっかりと訓練しないと例え銃が
あっても当たらねっす
結局、訓練と実戦を積むしか
無いと思うっすね」
「だから、逆に、そっちの世界で
万が一、銃を俺達から手に入れても
無意味に近いって事だ。
俺の部下達に速攻で殺される
だろうよ。クックックッ」
だよなぁ…そもそも、こいつ等は
銃ありきの戦い方だ。
俺達の世界の連中が銃を手に入れたからって
何も変わらねぇ。
騎士団の俺達が裏切ったとしても
経験と実戦に差が有り過ぎる。
はぁぁぁ……詰んでるよなぁ…。
「まっ、そーゆう事っす。
ウィンザーさん達も訓練を
しっかりすれば自分達に近付くかも
しれねっすよ?ふふふ」
けっ!嫌味かよ!ふんだ!!
まぁ………やるだけ、やってやるけどよ!
「さぁて、俺達の楽しい世界に戻るか!
ハハハハハハ!!」




