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異世界ブローカー  作者: 伍頭眼
169/248

バベルの世界「爆弾」

スイマセン!完全に、こちらのミスで

投稿してると思ってました(´;ω;`)

全然、投稿してませんでしたね。

申し訳無い!!

平民街の中心地で豪華な鎧を

身に纏っている一人の獣人。

体格は、ガッチリとしており

鍛え抜かれた身体をしている。

右頬には、大きな傷があり眼光鋭い

武人の様な男だ。


「何をしているのだ!?フォン男爵は!」


怒りが混じった様に吐き捨てる。


予定では、フォン男爵が入口を制圧し

狼煙の合図で突撃する予定だったりに

一向に合図が無い。

先程、羽音の様な奇妙な音がしたと

思ったら不気味な程、静かなのだ。


ええい!歯痒い!早く突撃し我が力を

示し武勲を上げたいと言うのに!!


「アバレ子爵様、お顔が怖いですよ」


「喧しい!儂は早く戦いたいんじゃ!

 なのに、モタモタしおって!

 お主も、もっとシャキっとせい!」


「自分は、戦い向きじゃないんですよ。

 正直、逃げたい気分なんですけど」


儂の横に立ち軟弱な事を言うロイ男爵。

全く近頃の若い者は!

男として生まれたならば戦いで

一旗上げたいと思わんか!?


「それに、相手は懸賞金金貨2万枚の

 連中ですよ?

 そんな相手に勝てると思いますか?」


「馬鹿者!そんな事で臆して、どうする!?

 もっと、この状況を楽しまんか!」


儂は、フォン男爵の様な野心など無い。

只、血湧き肉躍る戦いがしたいだけじゃ!

今までのファルシア大国で大きな戦いは無い。

あったとしても多少の小競り合い程度。

それ以外は、魔物の討伐や盗賊を相手するだけで

全く楽しくない。

歯応えが無さ過ぎる。


しかし、今回は違う!

ラド・バベルと言う人間が筆頭の犯罪組織。

こいつ等は恐ろしく強い。

見た事の無い魔道具。

知らない戦闘技術。

あの、騎士団の小娘共を完膚無きまで

叩き潰した連中との全面戦争だ。

齢60を超えた儂が此処まで心躍ったのは

初めてじゃ!


アバレは、鼻息を荒くする。


「はぁ…戦いを楽しめるのはアバレ様だけですよ。

 私も、そうですけど此処にいる兵士達は

 殆ど実戦経験が無い者達ばかりなんですから。

 私なんて、足が震えっぱなしです」


「全然、震えて無いじゃろが!!」


全く!ロイは昔から全然、変わらん!

飄々としていると言うか掴み所が無いと言うか。

儂に対し正面切って冗談を言うのは、

こいつぐらいな者じゃ。


それに、隠してるつもりか知らんが

貴様が中々の手練だと言うのは知っておるぞ?

孫娘が教えてくれたからの!


「ロイよ…お主、いくつになる?」


「何です?急に……今年で18ですよ」


18か…父親が早くに亡くなり世襲により

男爵になったロイ。

まだまだ、青二才じゃが胆力だけは

儂も認めとる。


「この戦いが終わったら孫娘と結婚

 する事を許可してやるぞ」


「ブッフ!!」


「ガハハ!知らぬと思っておったのか?

 残念ながら、お主の事は何でも知っとる!

 ったく、いつの間にか孫娘と恋仲にまで

 なりおってからに!

 相手が、お主じゃなかったら斬り殺す

 所じゃわい」


「今、そんな事言わないで下さい!

 他の者達も聞いているのですよ!!」


アバレとロイの会話を聞いていた兵士達から

笑みが溢れる。

中には祝福の言葉を投げ掛ける者達も居る。


ふふ、良い部下を持っているでは無いか。

これもロイの人徳よな。

こやつになら我の孫娘も安心して

嫁がせてやれる。


和やかな空気が流れ始めた矢先、事態は

動き始める。


「むっ!?ロイ!!」


「はい!!」


儂の言葉を聞いた瞬間、ロイが剣に手を掛け

戦闘態勢に入る。


これで、戦闘に不向きとは聞いて呆れるの。


アバレとロイ達の先に一人の男が

歩いてくる。

先程までの和やかな雰囲気から一転し

緊張が走る。


「た…助けて下さい…アバレ様…

 ロイ男爵……」


「フォン!!」


「フォン男爵!?」


生きておったのか?……が、状況は

余り良くないの。


「何と酷い事を…」


酷いか…。確かに、ロイの言う通りじゃな。


アバレは一瞬だけロイに眼を向け

直ぐにフォン男爵に眼を向ける。


フォン男爵の胸には細長い鉄製の

棒が刺さっており両肩を外されている。

しかも、よく見ると矢では無く

空洞状になっている棒で血が一定の感覚で

吹き出し地面を赤く染め上げる。


「この辺一帯の民達を避難させて正解ですね。

 あんな光景、見せられない」


「何を悠長な事を言っておる!

 先ずは、フォンを助けに行くぞ!」


「お待ち下さい!アバレ様」


「何じゃい!?」


儂が突っ込もうとするとロイが

制止する。


「フォン男爵の事を良く見て下さい」


「んん?……何じゃ?あれは。

 何やら見慣れぬ物を身に付けておるな」


良く見てみるとフォンの身体に

見た事の無い物が括りつけられている。

何か…光が点滅しておるし、小さい音も

聞こえてくるのぉ。

一体何を着ておるんじゃ?あいつ。


「これは、私の予想ですが…アバレ様は

 例の貴族街と平民街で起こった爆発は

 知っていますよね?」


「知っておるわ」


あの事件か…。

ラド・バベルが指揮し白昼の街中で

爆発を起こした大量虐殺事件。

儂の知人も巻き込まれて両足を失った。


「あの事件に使用された魔道具が

 括りつけられているかもしれません。

 ほら、あそこを見て下さい。

 大量の鉄球が付いています。

 あの事件の現場には、アレと同じぐらいの

 鉄球が無数に散乱していたと聞いてます」


何じゃと!?アレがか!!


爆裂魔法などが使用された形跡が無く

何故、爆発したのか原因不明と言われて

おったが、アレが、そうなのか…ううむ。


「もし、それが本当なら最悪じゃな」


「最悪ですよ…よく、こんな非道な真似を

 思いつくもんです」


早くフォンを助けたいが迂闊に手が出せん。

しかし、助け無ければいずれは出血により

死んでしまう。

質が悪いと聞いておったが、此処まで

非道だとはな。

ううむ…どうしたものか…。


アバレが顎に手を置き考えていると

ロイが前に出る。


「…アバレ様、此処は私が出ます。

 貴方の孫娘…スイレナに、私は殉死したと

 お伝えください」


「ッッ!?ならん!何を馬鹿な事を言っとる!!

 貴様の帰りを待つ孫娘に、そんな事言える訳

 無かろうが!」


「ッ!しかし!?」


二人が押し問答をしている状況で

急に、フォン男爵が崩れ落ちる。


「ぎゃあああああ!足が!?足がああ!?」


その叫び声で振り返るとフォン男爵は

膝を押さえながらのたうち回っている。


「一体、何が!?」







◇  ◇  ◇






「左に2mm調整…」


アバレやロイ、フォン男爵から950m

離れた屋根の上に居る一人の男性。

バベル直属の部下で護衛のガストラだ。


だが、その男性を視認する事は出来ない。

何故なら、ガストラが怪しげな店で

購入した魔道具、タルンカッペと言う

マントを羽織っているからだ。

この魔道具は着ている者の姿を完璧に

隠蔽する能力が備わっている。


只でさえ、950mもの離れた距離に居て

姿が見えないガストラは驚異の一言に尽きる。


ガストラは、特殊部隊に所属している時に

狙撃の腕を磨き、フリーになってからは

爆弾の技術を磨いた。


この男は、スナイパーで有りボマーでも

あるのだ。

この二つが融合した時、待っているのは

惨状以外、存在しない。


ボシュ!


サイレンサー付きの狙撃銃からくぐもった音が

すると、スコープ越しから覗いている獣人の

指が3本吹き飛んだ。

弾が当たった男は何か叫んでいるが

此処からだと聞こえない。

聞こえたとしても、ガストラからしたら

どうでも良い事だ。


「助けないんすか~?」


ボシュ!ボシュ!!


更に、右腕と右足を撃ち抜く。


ふぅん。直ぐに助けに行くと思ったんすけど

見当違いっすね。

あちらさんで、勘が鋭い方でもいるのかな?

まぁ、それも時間の問題っす。


どの道、アレが死ねば爆弾を起爆させる。

C4爆薬8キロが爆発すれば半径30m~

150mに500発の鉄球が炸裂。

50mの範囲に居る連中の9割が死ぬ。


さぁて、どうするっすかねぇ~。






◇  ◇  ◇






「待たんか!?もう、フォンは助からん!!」


「ッッ!?ですが!」


先程まで叫んでいたフォン男爵は今では

か細い声で唸るだけ。

あの出血量では駄目た。助からん。


「……ッッ!!」


ギリッとロイが歯を鳴らす。


いつもは事無かれ主義のロイが此処まで

感情を露わにするとはのぉ。

やはり、ロイは父親の息子じゃ。

あいつも中々、熱い男じゃったからな。


じゃが、このままでは不味いな。

多分じゃが、あの魔道具を仕込んだ者は

我々が助け出そうとした瞬間に何らかの

方法で爆発させる腹積もりじゃろう。


しかし、フォンが死ねば自動的に

理由価値が無くなり爆発。

部隊を下げる事も考えたが、間違い無く

何処かで見られている筈じゃ。

そうなれば、どっち道、爆発するじゃろう。

外道共めが…。

最善策は、余り使いたく無いが

致し方ない。


「ロイよ……すまぬ!」


「えっ!?…ぐふっ!??」


アバレは、謝罪した後にロイの腹に

強烈な一撃を加える。

不意に殴られたロイは、痛みで膝をついた。


「うおおおおおおおおおお!」


咆哮の様に叫び出したアバレは一直線に

気を失っているフォン男爵の元に走り出す。


「アースドーム!!」


アバレが最も得意とする土系の魔法を発動させ

フォン男爵をドーム状に覆い尽くす。

そして、その上にアバレが覆い被さった。


「お前達ぃ!!ロイを抑えよ!

 そして、守れぇぇぇぇい!!」


「アバレ様、何をッッ!?お前達!?

 離せ!離してくれぇ!!」


儂の言葉を聞いた兵士達が一斉にロイを

押さえつける。


「アバレ様!?アバレ様ぁぁぁぁあ!!」


すまぬ…。どうやら儂は、お主と孫娘の

挙式を見る事は叶わぬらしい。

じゃが、儂は満足じゃ。

儂の思っていた戦いとは全く違うが

新しい息子となる、お主を守って死ねるなら

本望じゃわい!


「聞いておるかぁ!外道共!!

 この国には、情熱を持ち国を想う若者達が

 大勢おる!!

 簡単に我等を倒せると思うなぁぁ!!!」


そう大声で叫んだ後に、ロイの方向に

顔を向け、ニコリッと微笑む。


カチッ!


小さな音が鳴った瞬間、猛烈な爆風と鉄球が

炸裂し耳の鼓膜を破る程の爆音が響き渡る。


ズドーーーーーーーーンッッ!!


爆弾の威力は申し分無かった。

濛々と煙が上がり、そこらじゅうに鉄球や

破片が減り込み民家を破壊した。

大勢の死者と重傷者を出した。


「アバレ様ああぁぁぁああぁぁぁあああ!!」


しかし、ロイは生き残った。

周りの部下達が覆い被さり守ったのだ。

そんな光景をスコープ越しに覗きながら

舌打ちをする者がいる。




◇  ◇  ◇





チッ!


普段は温厚なガストラが眉間に

シワを寄せ明らかに機嫌が悪そうにする。


聞こえたっすよ。糞爺。

あの野郎、まさか魔法で包み隠すとはねぇ。

その御蔭で爆発の威力を半分まで殺しやがった。

これは予想外っすわ。


覆い被さる事は想定してたけど、

魔法でドーム状にするとは…。

要改善っすね。


ピッ!


徐に、ガストラは無線のスイッチを

入れる。


「こちら、ガストラ。バベルさん、

 予定通り小包は爆発しました」


『ご苦労さん。……所でガストラ。

 何か、あったか?声が普段と違うぞ』


ははっ、やっぱりお見通しっすか。


「………バベルさん」


『何だ?』


「この国、落とすの…ちょっと面倒かも

 しれないっすよ」


『くくっ…あぁ、解った』


短い会話をした後に無線を切る。


「舐めてるつもりは無いっすけど…これは、

 今以上に本腰入れないと駄目かも知れないっすね」


そう呟いた後、ガストラは屋根から

移動し行動を開始したのだった。

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