バベルの世界「縄張」
はぁ~ヽ(*´∀`)ノ沢山の方が高評価&ブクマしてくれて
幸せです。
そして、遂にファルシア大国VSバベル愚連隊(笑)の開戦です。
定例会合から数日、事件は突然起きた。
「ガル様、大変です!」
「ん?どした」
俺が一人で筋トレしていると偵察隊の
獣人とゴブリンが走り込んできた。
「アテゴレ地区内にファルシア大国軍の者達が
進軍しようとしています!」
はっ?はあぁぁぁぁ!?
軍隊がアテゴレ地区に入ろうとしてんのかよ!?
でも、バベルは戦争には時間が掛かるって
言ってたのに!!
くそ!早くバベルに知らせねェと!
知らせに来た者達と一緒にバベルが居る場所まで
全力で走る。
何処に……居た!!
「バベル!軍隊がアテゴレ地区に!」
「あぁ、山王に聞いた。ガル、準備したら
現場に行くぞ」
話しを詳しく聞くと国軍の規模は
中隊程度らしく大体300人。
何の前触れも無く現れアテゴレ地区内に
侵入しようとして来たらしい。
当然、アテゴレ地区の住民達は受け入れを
拒否し一触即発の睨み合い状態との事。
「バベル…もし、そんな状態で血が
流れたらさ……やべぇんじゃねぇか?」
「なし崩し的に開戦だ。先手で攻撃
しようとしたんだがなぁ~。
なーに考えてんのかね?あの馬鹿王子」
バベル達と一緒に倉庫に向かうと軍用車が
いくつも並んでおりボス達や他の兵士達も
動き回っている。
「バベルゥ、こっちは準備出来てるよぉ」
重武装のボスが凶悪な笑みを見せながら
腕を組んでいる。
その後ろには、同じくフル装備のリーとツヴァイ。
そして、軍狼と特殊訓練を受けている
ゴブリン達が腕を後ろに組んで待機してる。
「バベルさん!こっちもオッケーっす!」
次に声を掛けてきたのは機銃席に座っている
ガストラだ。
周りの軍用車にも全員が乗り込みエンジンを
噴かしている。
「あははは!血が滾るわね!!
私の可愛い子供達ぃ!皆殺しにしなさい!」
「「「「うおおおおおおおおおおお!!」」」」
最後に京香が大声を張り上げ
閻魔、山王、修羅、羅刹率いる
魔物集団が雄叫びを上げる。
あぁ…本気かよ…。始まっちまうのかよ…。
それからのバベル達は早かった。
アテゴレ地区全域にファルシア大国軍が
進軍して来た事を通達。
アテゴレ地区入口で睨み合っている者達
以外は、武器の準備と戦闘準備を
既に完了しており屋根の上やバラックの中から
攻撃出来る様に弓矢やガストラが教えた
火炎瓶などが大量に備蓄されている。
勿論、進軍してきた軍が囮の可能性も
考慮し他の場所にもプーやノルウェと言った
強力な魔物達も配置する様に手配。
アジトに強襲してくるかとも考えたが
俺達が根城にしている元刑務所は
後ろは断崖絶壁だし正面は一本道だ。
しかもトラップと地雷原がある。
そもそも、アテゴレ地区を突破しない限り
辿り着く事は出来ない。
「バベルゥ、俺は先に行って状況を確認
するねぇ」
そう言ってボスは、異世界産の空飛ぶ死神、
ハインドのコックピットに乗り込む。
キュン、キュン、キュンとプロペラが
回転しだしアッと言う間に高速回転すると
飛び立ってしまった。
「俺達も行くぞ」
その言葉と共に軍用車に乗り込むガル。
◇ ◇ ◇
ファルシア大国アテゴレ地区東門。
此処では、ファルシア大国軍とアテゴレ地区の
住民達が、お互い武器を取り睨み合いを
している真っ最中であった。
「私はファルシア大国軍中隊長。
フォン・デ・トール男爵である!
国王陛下より、この土地に住まう者に告ぐ!
直ちに、武器を置き投降せよ。
さすれば寛大な慈悲を与え平民街に
住まう事を許可する!
但し、抵抗すれば実力行使で排除する!」
鍛えてもいない様なヒョロっとした
男が声を上げると地区内から怒号の様な
荒げた声が響き渡る。
「巫山戯んな!糞貴族がぁ!」
「殺すぞ!テメェ!此処はバベル様の縄張りだ!
出てけやぁ!!」
「テメェ等の言う事なんて信じられっか!
死にてぇのか!ゴラァ!!」
四方八方から荒くれ者達の怒号が聞こえ
先程まで喋っていた中隊長がたじろぐ。
「ぬぐっ!き、貴様等ぁ、解っているのか!?
私達に手を出せば陛下に対し不忠に値い
するのだぞ!?国家反逆罪で全員死罪に
なっても良いのか!?」
その言葉を聞いた住民達が鼻で笑う。
「馬鹿がよ!テメェ等よりバベル様達に
逆らう方が余程、怖ぇぜ」
「全くだ。死罪上等だぜ!バベル様を
裏切ったら死ぬより恐ろしい目に合うんだ」
「それに、俺達が死んだらバベル様は、必ず
お前等に復讐するぜ?
だから死ぬなんて怖くねぇよ」
アテゴレ地区の住民達は恐れるどころか
笑みさえ浮かべている者達も居る。
それ程までに此処の住民達はバベルを
畏怖し尊敬しているのだ。
絶対的強者に憧れるのは何かしらの
本能なのかもしれない。
「はぁ…全く、お前達、泣かせるじゃねぇか」
不意に聞こえて来た言葉に全員が
振り返る。
其処には、軍用車から降りて煙草を
吸っているバベルが居た。
それを見た住民達が咆哮の様な雄叫びを
上げて大地を揺るがす。
物凄い熱気と声だ。
バベルは、その咆哮を聞いた後に右手を
上げる。それと同時に先程までの咆哮が
嘘の様に止み静寂が訪れる。
バベルが歩を進め入口に近付いていくと
住民達が全員道を空け頭を下げる。
流石に、この光景には驚愕したのだろう。
中隊長と名乗った男が眼を見開いている。
そして、バベルが中隊長の前に立つ。
「此処は、俺の縄張りだ。一歩でも
踏み込んだら全員、殺す」
「き、貴様がラド・バベルだな!?
此処は、国王陛下の土地だ!
無駄な抵抗は辞めて投降しろ!」
バベルを目の前にして言葉が出るだけ
大した者だ。
足は、ガクガク震えているが。
「この事は、あの馬鹿王子は知ってんのか?」
バベルが予想していた開戦まで一ヶ月以上
速い行動に少々疑問が残る。
本気でバベル達を討伐するなら相手だって
しっかりと戦力を準備しなければいけない。
情報では、まだ7割程度の戦力だと
聞いていたんだけどな。
「ふん!貴様等程度、我々貴族だけで充分
事足りると判断したまでよ!
私の他にも既に1500程の私兵達が
いつでも突入出来る様に準備している。
我々に楯突いた事を後悔するが良い!」
馬鹿貴族の言葉を聞いて呆れる。
本当に呆れてしまう。
楯突いた?元々、喧嘩を吹っ掛けて来たのは
テメェ等だろう。
それに、たった1800人の兵だけで
此処を本気で落とそうと思っている
馬鹿さ加減にイライラする。
要は、あれだろ?
功績が欲しくて馬鹿王子の命令を
無視して暴走して今、この場に居るって
事だろ?
本当に救い様が無い連中だ。
「そうか。良く解った。
ボス、予定通りだ」
『はいよぉ』
ボスが乗り込んでいるハインドが
アテゴレ地区の入口でホバリングすると
風圧で砂埃が撒き散らされる。
「な、なんだ、あれは!?」
「浮いてるぞ!?一体、どうやって?」
初めて見た武装ヘリに貴族も兵士達も
動揺が隠せないでいる。
あ~あ…こいつ等、終わったなぁ。
ウィーーン……ガチャ!
先端に装備されているバルカンが
標準を合わせる。
「開戦だ」
ブウゥゥゥゥゥゥゥゥ!
ブゥウウゥゥゥゥゥ!
ブウゥゥゥゥゥゥゥゥ!ブゥウウゥゥゥゥゥ!
バベルが合図した瞬間、羽音の様な
特徴的な音を出してバルカンが火を吹いた。
もう、こっからは地獄だ。
毎分4000発~5000発の弾丸の雨を
喰らえば、この世界の鎧程度なら紙くずに
等しい。
一瞬で木っ端微塵だ。
原型なんて残らねぇ。
砂埃と血飛沫が混ざり合って血霧が
発生する。
兵士達の叫び声なんて聞こえない。
バルカンの音と薬莢が降り注ぐ音だけが
響き渡る。
十数秒後、銃撃が終了したアテゴレ地区の
入口は悲惨そのもの。
木っ端微塵になった元兵士達の肉片が
辺り一面に散らばっている状況だ。
「あわ…あわわわわわわわ!?」
信じられない様な光景を眼の辺りにして
もう言葉が出て来ない馬鹿貴族。
「ふっふっ。もう終わりだな。
お前達は俺達に尻尾振ってれば良かったんだ。
なのに御主人様に逆らいやがってよ」
馬鹿貴族は、既にスラムの住人達に取り囲まれ
首や顔に刃物が押し当てられている。
「この国は、徹底的に潰す。
二度と逆らえない様に徹底的にな」
遂に、戦争が始まった。




