バベルの世界「密告」
またまた、評価が上がっておりましたヽ(;▽;)ノ
自分の小説を評価してれた方々、本当に有難う御座います!
これからも、頑張りますーーー!!(*゜▽゜*)
※また、いつか挿絵投入します!
カツンッ…カツンッ
元他種族刑務所の地下階段を
降りる一人の男がいる。
地下に続く階段は、太陽光発電により
電気が供給され明るい。
その御蔭で男の顔は、ハッキリと見える。
左右の髪を刈り上げツープロックにし
残った髪は針鼠の様に立たせている。
煙草を咥えた口元は薄気味悪く
釣り上げていた。
片方の眼は存在せず眼底ごと無くなって
いるが残っている方の眼は剃刀の様に
鋭くなっている。
男が階段を下り終えると目の前には
重厚な鉄の扉が姿を現す。
「バベ、お疲れ。今、中でボスと
ガストラが尋問してるわ」
「順調か?」
「聞いての通りよ。中入るでしょ?
今、開けるから」
重厚な扉が閉まっているにも
関わらず聞こえてくる苦痛による
叫び声。
ボスとガストラが尋問を始めてから
既に12時間が経過していた。
ガチャンと扉が開くと中からは血と薬品の
噎せ返る様な匂いが充満し、扉を閉めていた時には
聞こえなかったゴリッゴリッと言う何かを
切断している音やブィン!ブィィィン!と言う
異世界では本来聞く事が無い音が聞こえてくる。
「吐いたか?」
「一応ね。ただ肝心な所は、知らぬ存ぜぬだねぇ」
「バベルさん、こいつ等、素人じゃなかったっす。
ボスさんの尋問を12時間も耐えるなんて
相当っすよ」
「と言うと?」
バベルは頭に黒い袋を被せられている男二人に
目線を向ける。
「こいつ等、【緋影】って呼ばれてる
王家直轄の暗部だ」
その言葉を聞き、バベルは手に持っていた
煙草を携帯灰皿に入れて押し潰す。
「…京香、悪いがリヒトとレスタ、それと
ウィルを呼んでくれ。話がある」
「了解」
◇ ◇ ◇ ◇
10分程経つと地下階段を降りてくる
数人の足音が聞こえてくる。
此処は、何だ!?とか一体、何処に?と言う
怒りで隠しているが不安が見て取れる様な
言葉がする。
そして、ガチャリと扉が開くと、リヒト達は
眼を見開き驚愕する。
黒い袋を頭から被せられ息苦しそうに
呼吸をしている二人の男。
その後ろには完全武装しているボスとガストラ。
部屋には、見て解るような拷問器具や
一体何に使用するのか解らない道具と
薬品の数々が置かれていた。
「い、一体何をしている!?この有様は何だ!?」
いち早く反応したのは元騎士団長のリヒト。
「「「…………」」」
それに対し、騎士団を見つめるだけで
言葉を発しないバベル、ボス、ガストラ。
「ッ!姉様が聞いているのだ!?答えろ!人間!」
「貴様達は此処で何をやっているのだ!?」
次に言葉を発したのはリヒトの妹でもあるウィルと
元副団長のレスタだった。
しかし、バベル達は何も発しない。
そんな異様な状況にリヒト達は困惑する。
普段のバベル達なら軽口の一つでも発するのに
今回に限っては一言も発しない。
それが、彼女達にとって何とも言えない
恐怖心で心が満たされていく。
「お前等、これが何だか解るか?」
ボスから丸まっている布の様な物を
渡されたバベルは、ソレを広げ床に
投げ捨てる。
ビチャっと、湿ったような音が部屋に響く。
それを確認すると小さな声を上げて
口元を隠すウィルとレスタ。
「ッッ!?これ…は…」
湿った様な布の様な物…。
部屋の床に投げ捨てられた物は…皮膚だった。
背中の皮膚が二人分。
それが床に張り付いている。
「この背中の刺青に見覚えは?」
顔を顰めている騎士達とは対照的に
眉一つ動かす事無く質問するバベル。
「…この刺青は…王家の暗部の証…だ」
そう答えるリヒトの顔色は先程より
ドンドンと悪くなっている。
リヒトもウィルも同様だ。
これが、どれだけ悪い状況か解っているから
だろう。
「そうだな。暗部の連中だよな。で…
何で、その王家直轄の連中が生皮剥がされていると
思う?諸君」
リヒト達の眼を一切逸らす事無く
射殺す様に睨むバベル。
「…解らない…説明してくれ」
「そうか!解らないか。なら、説明しよう。
俺の元部下が殺されて六日後に密告があった。
差出人不明の手紙で、こいつ等が実行犯と
ほのめかす内容でな。
しかも、ご丁寧に写石で顔写真付きでだ。
で、捕えて尋問した結果…事実だった。
実行犯は、この二人。
指揮したのは、何と驚きのファルシア大国
第一王子のセイント君だ。
こいつ等の持ち物に王家の蝋印付きの
書簡があった。内容は俺の部下を殺す様に
指示されてたな。さて、今、解っている事は
残念ながら、この位だ。何か質問は?」
バベルの説明に目眩と同時に吐き気まで
襲ってくる。
当然だ。
バベル達は、自分達に逆らわなければ
穏便に事を進めると言う契約になっているのだ。
実際、王都を襲撃し国王と契約してから
王都に手は出していない。
なのに今回の事件だ。
しかも実行犯は、王家直轄の暗部。
指示したのはセイント王子。
明らかな敵対行動。裏切り行為だ。
「ま、待て!これは何かの間違いだ!
そもそも、変だと思わないか!?
暗部の者達が指示された証拠を持ち歩いて
いる筈が無い!」
「そうだ!それに差出人が解らない者の
手紙を鵜呑みにして拷問などすれば、
苦痛に耐えかね嘘を言う可能性もある!」
リヒトとレスタの意見も最もだ。
少し考えれば違和感に気付く。
バベル程の人間が、それに気付かない筈が無い。
「そうだな。当然、俺も変だと思う。
明らかに出来すぎてる。
そんな事は、俺でも理解しているつもりだ」
「では、何故!?」
「それを覆す証拠が無いだろう」
バベルの言葉にリヒト達は押し黙る。
事実、王家の蝋印付きの書簡を持ち、
嘘だとしても自分達が実行犯だと吐いたのだ。
バベル達にとっては、報復するに充分な状況だ。
「こいつ等には拷問以外に自白剤も
投与している。この世界には存在しない
薬物でな。質問に対し無意識に答える。
訓練されてれば別だが、この世界に
居る住人じゃあ抵抗する事は不可能だ」
バベルの言葉がリヒトを追い詰める。
「…時間をくれ。早急に確認するから…」
「時間?一体何の時間だ?何を確認する?
馬鹿王子に俺の部下を殺す様に指示したか
聞くのか?
時間の無駄だ。
どの道、セイントは遅かれ早かれ殺す予定だ。
それと、裏でコソコソしている連中も
探し出して全員、始末する」
バベルは真顔でリヒトに言い切る。
「バベル。こいつ等、どうする?
多分もう何も知らないよぉ。
処分しようか?」
「殺さず拘束しておけ。今から2時間後に
このゴミ共を連れて国王に会う。
その後に国王の目の前で殺せ。
最大限の苦痛を与えて見せしめにしろ」
バベルの無慈悲な言葉に尋問されている
者達はガタガタと震えている。
「バベさん、セイントって餓鬼は
どうするっすか?」
「疑わしきは黒だ。殺せ」
「了解」
淡々と受け答えするバベル達に身震いする
リヒト達。
普段のバベル達からは想像が出来ない様な
冷酷さにリヒトは声を上げた。
「待て!待ってくれ!頼むから話を!!」
【黙れ】
声を荒げるリヒトを一言で黙らせる。
騎士団長まで昇り詰め誰よりも気高く強い
リヒトを言葉で一蹴するバベルは、最早
完全に強者だった。
「これでも譲歩しているつもりなんだよ。
正直な話、本来お前等も殺すつもりだった。
特に……」
そう言いながら一人の騎士に歩いていく。
【ウィル…お前だよ】
ウィルの目の前に立ち見下ろす様に
見つめるバベル。
その迫力は言葉に出来ない程、凄まじかった。
ウィルは立っている事自体が精一杯で
少し触れれば崩れ落ちそうな程に
震え眼には涙を溜めている。
【お前、俺の部下が殺された時に随分な
言い方だったなぁ?
聞こえてないと思ったのか?
悪人は死んで当然の様な事を
言いやがって。
舐めてんのか?このメス犬が】
怒気を含むバベルの言葉にウィルは
歯をカチカチと鳴らしながら否定も
肯定も出来ないでいる。
いや、正確には恐怖で、それ所では
無いのだ。
【今、こうして生きてられんのは、
犯人探しの時に、お前以外の騎士が
動いたからだ。
ただ、それだけの事だ。
ギリギリの所で生かされている事を
忘れるなよ】
ガシッと乱暴にウィルの髪を掴む。
【次、巫山戯た事言いやがったら
目の前で騎士の連中を皆殺しにする。
その後に娼館に売り飛ばして死ぬまで
変態共の相手をさせてやるからな】
そう言うと掴んでいる髪を離し
部屋から出て行くバベル。
バベルの足跡が遠ざかって聞こえなく
なると同時に腰が抜けたように座り込み
顔を覆い静かに泣き始めるウィル。
「…ヒック…グスッ…」
「ウィル…大丈夫か…?」
そっと肩を抱き寄せるリヒト
「姉様…ヒックッ…わた、私…私ぃ…」
「お前は正義感が人一倍強いからな…。
言い分も解る。ただ、死者に対して
少し敬意を払いなさい。例え、それが
悪人でも…ね?」
まるで母が子供を諭す様に優しく語り掛けるリヒト。
母性が半端では無い。
その光景を見ていたボスが近付き
二人の前にしゃがみ込む。
「リヒト。今の状況を理解してるか?」
「……」
言葉を発せず俯くリヒト。
理解していない訳が無い。
国の王子が死刑宣告をされ、今度こそ
戦争になりかねない自体だ。
「2時間だ」
「えっ?」
唐突に言われ顔を上げると真剣な
表情をしているボスの姿があった。
「バベルが言ってたろ?出発は2時間後だって。
逆に考えれば2時間猶予があるって事だ。
その間に、お前達が動けば何か
見つかるんじゃないか?まぁ、動くかは
君等次第だがねぇ」
ボスは、それだけ言うと拘束している
男達を立たせガストラと共に部屋を
出て行く。
ボス達が出て行った後、リヒトは
何かを決意したかの様に立ち上がり
出口に歩き始めるのであった。




