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異世界ブローカー  作者: 伍頭眼
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バベルの世界「設立」

皆様、初めましてですかな。

私、奴隷商店会頭のドラフ・ベルと

申します。

アテゴレ地区で商人となり早35年。

奴隷商人一筋で御座います。


歳は60歳。この歳になりますと中々

痩せずに苦労しております。

ですが、そんな私にも美しい妻と

子供が4人。

子供達も全員、結婚して孫の顔も見れて

感無量ですな。


私生活てしては順風満帆では有りますが

商人としては、まだまだです。

会頭などと言っていますが従業員が10人程で

御座います。まぁ、弱小商店ですな。

今では、何処でも人間の売り買いなど

出来ますから、中々厳しい物が有ります。


しかし、奴隷商などと言う仕事をしていると

考え方と言いますか何と言いますか…。

やはり、異質な考え方を持つ様になるものです。

私の脳裏には、いつも思っていた事がありました。

それは、獣人売買。


何故、人間や家畜を売り買い出来るのに

獣人や亜人を売ってはいけないのか?

知っての通り、この国では獣人売買は違法です。

捕縛されれば極刑。

それが、法律なのだから仕方ありませんが

私は納得が出来ずに今まで過ごして来ました。


ですが!そんな私に運命の出会いが

あったのです!


ラド・バベル様!私の理解者!!


初めて、あの方を見た瞬間まるで電撃魔法を

喰らったかの様な衝撃が走りましたよ。

これでも、私は、長く人間を商品として扱い

数多くのお客様を相手にしてきました。

見れば解るのです!相手が、どの様な相手なのか。


この方に逆らってはいけない。

そして、この方を逃がしてはいけない!


本能で感じ取り、直ぐにバベル様を部屋に

案内しました。

言っておきますが、これは特例中の特例ですぞ。

普通の人間なら相手にもしません。

とゆーか、店の護衛の者達によって叩きだされます。

まぁ、今回の場合は護衛達は全員床に

転がっておりましたので。


そして、バベル様は席に着くなり言いました。


「獣人売買に興味は、有るか?」


心臓がドクンッと跳ね上がりました。

興味ですか?勿論、有りますとも!

ですが、この国では獣人売買は重罪です。

簡単に手を出す事など出来ませんし相手は

人間ですからね。

どれ程の実力なのか解りませんし私共の護衛を

倒す程度の実力では潰されて終わりです。

しかし、バベル様は笑いながら言いました。


「先ずは基礎を固める。手始めにアアル区域を

 支配し後々他の地域の支配者を消して掌握する。

 それと同時に、お前の商店をデカくする為に

 他の奴隷商店を傘下に付く様に圧力を掛ける。

 断る連中も居るだろう。

 いや、多分殆どが断る。なので全員殺す。

 貴族の連中も国の連中も黙らせてやる。

 この国、唯一の獣人売買が出来る奴隷商館として

 活動させてやるぞ」


こんな事を言われても信用出来る筈が

ありません。

私は、商人ですからね。

はっきり言って世迷言と思ってました。

…しかし、バベル様の言葉は本当でした。


アアル区域のコーネルを公開処刑し

シボラ区域のイアンと奥様を殺害。

アッという間に二つの区域を人間が支配する事に

なりました。

もう、この時からバベル様の見る目が変わりましたね。


それからと言うもの、バベル様に私の思いを

全てぶつけました。

その言葉一つ一つにバベル様は肯定し笑顔で

頷きました。初めて同志が出来ました。

心の底から友と呼べる方と出会ったのです!!

夜が明けるまで語り明かした事も何度も有ります。

そしてバベル様は、こう言ってくれました。


「お前は商人の鏡だ。それが正常なんだ」


その言葉を聞いた瞬間、迷いが消え感涙してました。

私は狂っていなかった!正常だったのだ!


後は、バベル様を信じ突き進むのみ。

お陰で、奴隷商店ドラフは、アテゴレ地区…いや、

ファルシア大国で唯一の獣人売買店になり

従業員も利益も莫大な物になったのです。

幅を効かせていた貴族の連中も何も言って来なく

なりましたよ。

当然です。なんせ、貴族の方々からの商売が

多いのですからね。


そんな事が有り、バベル様には多大な恩が有る。

どの様にして恩を返そうか悩んでいる所に

今回の一件です。

クインケ帝国とラズロ魔国との争いが激化し

クインケ帝国に居る商人から奴隷の買い付けが

入ったのです。

数は3000人。報酬は金のインゴット300本!

これはバベル様に報告せねばと思い

使いの者を出し商談内容を話していました。


バベル様は内容を聞いても動揺もせず淡々と

了承してくれました。

普通これだけの商談を持ち掛けられたら

動揺の一つも有るのですが。

流石です。

さて、話も終盤と言う所でバベル様は顔を

歪ませ、こう言いました。


「金…もっと欲しくないか?」


欲しいです!是非、話を聞きましょう!


「先ず、クインケ帝国に3000人を売る。

 それは変わらない。

 その後に、ラズロ魔国にも3000人を

 売れば良い。

 そう成れば戦争は泥沼だ」


「し、しかし、その様な事をすればクインケ帝国から

 報復される可能性も有りますし二度と買ってくれなく

 なりますよ」


バベル様の案は双方に奴隷を売れとの事。

確かに、それならば莫大な金が入るが次が無い。

しかも、敵国に協力したとして何らかの

報復の可能性が有る。

流石に、それは避けたいのだが…。


「だろうな。だから別の奴隷商店に売らせる」


「…どーゆう事でしょうか?」


「書類上でだけ存在するダミー商店を作るのさ。

 登記上設立はされているが、存在しない商店を

 作り上げてドラフはクインケ帝国に奴隷を売る。

 そしてタイミングを見計らってラズロ魔国に

 も売れ。

 当然、ドラフ奴隷商店としてでは無く、

 存在しない幽霊商店の会頭としてだ。

 その為に、信用が有る者に会頭役を任せろ。

 そうすれば、クインケ帝国はドラフから。

 ラズロ魔国は、ダミー商店から買う事になる。

 実際は、同じ商店から買うとも知らずにな」


おぉ…おおお!!確かに、これは盲点!

いや、考えもしなかった!

確かに、それなら相手を騙す事も出来るし

際限無く奴隷を売る事が出来る!

しかも獣人売買と言う特殊性ゆえ周りにダミー商店を

周知されていなくて何とでも出来る。


「商売敵が居ないからな。随分やり易い。

 だが、もし魔国が奴隷を所望しなかったら

 別に良い。

 こっちは魔国が潰れるまで人員を売りまくれば

 良いからな。

 もし、魔国が潰れたら魔国の連中を買い付けるのも

 良いかもしれんなぁ。はっはっはっ」


いやぁ…恐ろしい御方だ。

此処まで命を何とも思っていない方も早々居ない。

隣に座ってるガル様の顔が真っ青になって

引き攣っておりますなぁ。


「詳細を詰めるのは、商品が揃ってからだな。

 後、解ってると思うが今回の件は極秘だ」


「心得ております」


そう言うとバベルは、ニヤリと笑う。


「ドラフ」


「はい。何でしょうか?」


「楽しそうだな」


楽しそう?…ふふ、当然です!

今回の取引が上手く行けば莫大な富が手に入る。

それだけでは無い!こんな血沸く肉踊る様な

素晴らしい事に立ち会えるのですよ!

これが、楽しく無い訳無いでは無いですか!


「バベル様も、お顔が綻んでおりますよ?」


「ふっふっふっ、つい…な」


「えぇ、私も同じ気持ちです。

 笑いが込み上げてきますね」


お互い本当に楽しそうに笑う悪魔達の商談と

笑い声は、日が暮れるまで続いたのであった。

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