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異世界ブローカー  作者: 伍頭眼
133/248

閑話 「教師達の憂鬱」

おほほーヽ(´▽`)/沢山の方がブクマ&評価して下さり

感謝感激感涙でーすヽ(;▽;)ノ

これからも、外道系頑張ります!


「巫山戯ておる!!」


ドンっと重厚な机を叩き、怒りに震える学長。

その周りには、ファルシア聖騎士学院に勤務している

由緒正しく家柄も良い教師陣。

斯く言う私も、その一人だ。名は、ライドン・バトラー

と言う今年で5年目の中堅教師だ。


「そもそも、何故、王家は奴等を処刑せんのだ!

 建国始まって以来の凶悪犯だぞ!」


虎の獣人で大柄な学長が怒鳴る。


「それは、国の方針で決定したのでは?」


その学長にサラッと物申す副学長。

あんな凶悪な顔をしている学長に良く正面切って

言えるものだと感心してしまうな。私なら絶対無理だ。


「それが、おかしいのだ!何故、国が奴等を庇う!?

 ましてや、由緒正しいファルシア聖騎士学院に

 講師として迎えろなどと戯言を吐かすのだぞ!!」


うむ。学長の言う事も最もだと思う。

私も初めて、その事を聞いた時は何かの冗談だと思ったからな。

実際は、冗談でも何でも無くて本気で凶悪犯達を迎え

入れると言うのだ。

当然、我々も学長も反対した。猛反対した。

何がどうなって学び舎に人間の犯罪者を迎えろと言うのだ?

いくら国の方針だからと言って乱心にも程が有る。


だが、我々が反対すると各貴族や国から圧力を

掛けられた。

各貴族は、資金の提供を一斉に停止すると言われ

国からは指示に従わない場合、教師陣及び学長の

総入れ替えをすると通達されたのだ。

これを言われしまうと何も言えなくなる。


ファルシア聖騎士学院は、生徒の両親から学費以外にも

援助金を頂いているし、国からも補助金が出ている。

これらが全て停止されれば運営も難しい。

何より転勤なんて絶対したくない!

此処からの転勤なんて僻地ばかりだ。

今更、そんな所に行きたい奴なんて相当の変わり者しか

居ないだろうな。

なので、我々は大罪人ラド・バベルを迎える事になった。


今のファルシア大国でラド・バベルの事を知らない者達は

居ないと言って良いだろう。

数々の犯罪行為だけでは飽き足らずファルシア大国に

対し牙を向き甚大な被害を出した男。

そして、その男に従う異常な強さを持つ人間達。


私が初めて、その人間達を見たのはファルシア大国で

開催される武闘大会でだ。

他の物達が、どうか知らんが私にとっては悪趣味な大会だ。

人間達を生贄にし強さを誇示する大会には正直、

教育者として好ましく無い。

まぁ…学長に強制的に連れて行かれたのだから

仕方なく観戦したのだ。

そこでは、驚愕の連続だった。

人間達が獣人の我々を蹂躙しているのだ。

信じられなかった。


観戦者達は、面白可笑しく人間達の蹂躙劇を見れると

意気揚々と観戦する筈が、まさか人間達に蹂躙されるとは

思っても見なかっただろう。

しかも、その光景は凄惨の一言に尽きた。

生きながら両腕を切断した光景には、その場に居た者達

全てを戦慄させた事だろう。

ただ、それも騎士の方々と戦えば終わる。

なんと言っても、この国の最高戦力の方々だ。

皆、そう思っていた…思っていたのだ!


結果から言えばリヒト団長だけが勝利し他の隊長達は敗北。

しかも完全敗北と言っても良い。

ウィンザー隊長は試合では勝利していたが相手が

棄権した事による勝利だ。あれが試合じゃ無ければ

人間が勝っていただろう。

正直、絶望だった。あの気高く美しく強靭な騎士の

隊長達が人間に…しかも犯罪者に敗北したのだ。

明らかに異常事態だろう。


そんなバベル達だったが後の戦いで敗北し囚われたと

聞き内心安心していた。

やはり我がファルシア大国は強国だと思っていた矢先の

この案件だ。

教師達は、この男に一言でも二言でも言おうとしていた。

私も、その一人だ。

犯罪者が学院に居るだけで子供達の心的疲労は計り知れない!

此処の生徒達の中には、あの連中によって命を奪われて者達も

居るのだ!決して好きにはさせない!

全員、熱い思いを胸にバベル一行の元に行ったのだ。


あの男の姿を近くで見た感想を言おう。

怖かった……滅茶苦茶怖かった…。

何なのだ!?あれは!人間?邪神か何かの生まれ変わりだろう。

とゆーか、バベル本人を目の前にした瞬間、教育者としての

信念など一発で吹っ飛んだ。

もうね、全然違うの!オーラと言うか雰囲気と言うか

何から何まで違う!

本当に逃げたかった!脱兎の如く全速力で逃げ出したかった!

だけど、ビビって足が動かない。

それに気付いているのか知らないがバベル一行は

近づいてくる。

心の中で何度も逃げろ!逃げろ!!と呟いたよ。

そして何事もなくバベル達が過ぎ去っていった。

その間、私達は全員下を向き、ただただ震えバベル達が

見えなくなった瞬間、腰が抜けた。

あんな男に、一言申すなんて絶対無理だ!


不甲斐ない私達のせいで、バベル達はファルシア聖騎士学院の

生徒達に指導を始めたのだが…。


本当に、彼らには驚かされる。

見た事の無い戦闘技術に魔道具!あんなの反則では無いか!

兵士の鎧が意図も容易く貫通するのだぞ!?しかも連射可能!?

我々の技術や戦いの根底が覆る代物だ。

そして、やっぱり強い!この人間達は動きが洗練されすぎてて

恐怖を覚える程だった。


バベル達は、生徒達には的確な指示を出しハッキリと口に出して言う。

此処、ファルシア聖騎士学院の生徒達は殆どが貴族や

豪商の子供達だ。一癖も二癖も有るし下手な事など言えば

物理的に首が飛ぶ可能性だってある。

そんな子供達に駄目な所は駄目!と全くオブラートに

包む事無く言ってのける。

今まで、散々甘やかされて来た子供達からすれば衝撃だったろう。

そんな指導では、反感を買うと鷹を括っていたが子供達の

反応は違った。

皆、真剣に話を聞き一挙手一投足見逃さず彼等の

指導を受けていた。

あの気難しく大人達を舐めくさった態度を取っていた者達がだ!

中には、褒められて本当に嬉しそうにする者達まで居た程だ。


私は、その光景を見て衝撃を受けたよ。

相手は人間で犯罪者。そんな彼らが私達、教師よりも

しっかりとした教育をしているのだ。

私は、間違っていたのかも知れない…。

子供達の顔色を伺い兎に角褒めちぎっていた私は

教育者でも何でも無い。ただのゴマ摺りだ。

そんに教育を受けた子供達が社会に出れば一体どうなるだろうか?

そう思った瞬間、教師としての私の誇りはズタズタになったさ。


けど、勘違いしないでくれ。

全員が全員バベル達の指導に向き合っていた訳で無い。

彼らによって命を奪われた親の子供達などは敵意満々だ。

その中で、学院で1位の実力を持っているバロール様には

度肝を抜かされた。


「貴方は私の大切な友人を侮辱し、メアリーの親族を

 殺害した凶悪犯だ!

 私は今まで此処まで怒りを覚えた事は無い!!

 例え大人達が屈し様と我々は絶対貴様達に屈しない!

 覚悟しておけ!ラド・バベル!」


もう何度目か解らない程の衝撃だ。

大人達の私達が姿を見た瞬間、ガタガタ震え何も言えなかったのに

バロール様は、バベル本人に向かって物申したのだ。

何という強靭な心と悪に負けない不屈な精神!

こんな立派な御子息を持っている領主様は、さぞ

鼻が高いだろう。


そう言われたバベルは心底楽しそうにしていたが、

私は、この後のバベル達の本性に戦慄した。


バロール様、ターニャ様、グラッド君がバベルの下に付いている

部下達に殺されかけたのだ。

体罰なんて生易しいものでは無い!決して無い!

あれは、拷問と同じだ。

グラッド君に限っては生きている事が奇跡と言える。

現在、彼ら3人はポーションと治癒魔法で傷は

癒えたが絶対安静だ。

他にも大人の本気の暴力を目撃した為に体調を崩した者達もいる。


バベルの指導は、確かに斬新で良い刺激かもしれない。

が、やはり奴等は犯罪者!我々とは考えも思想も全く違う。

あんな危険人物に子供達を任せる訳には……


ガラッ!


熱き教育魂が燃え始めた矢先、会議室の扉がいきなり開く。


「ん?おぉ、間違えた。便所って何処だ?」


バババババ、バベルゥゥ!何で!?


「無駄にデケェ建物だな、此処は。それより会議してんなら

 俺にも声掛けろよ。一応、教師だぜ?

 まぁ、呼ばれても行かないがな。はっはっはっ!」


そう言って扉を閉めようとしたバベルに学長が吠える。


「貴様!何をしたのか知らんが、此処では好きにさせんぞ!

 必ず追い出すから覚悟しておけ!人間風情が!!」


学長が吠えた瞬間、閉まりかかった扉がピタリッと

止まり、ゆっくりと扉が開いていく。


「勘違いするな。どうせ数日で出て行くさ。

 そーいえば、世話になるアンタにプレゼントが

 まだだったな。ほれ」


ピッと指で弾くと学長が座っている場所に紙がヒラヒラと

舞い机の上に乗る。

その紙を学長が拾い上げると先程までの真っ赤な顔が

ドンドン白くなっていく。


「美人な奥さんと可愛い娘さんだな。くっくっくっ。

 じゃ、短い間だが宜しくな!先輩方」


ピシャっと扉が閉められた後は、静寂が支配し

学長の机の上には、学長の奥さんと娘さんが写石に

写っていた。


私、転勤しようかなぁ……。

そう思った会議室の一幕だった。


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