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異世界ブローカー  作者: 伍頭眼
120/248

バベルの世界「追跡」

またまた、新しい方がブクマして下されましたヽ(*´∀`)ノ

なんと嬉しい事か!

これからも頑張って精進していきますよー!


~ボスside~


深淵の森の中に立っているボスは昔の

戦場を思い出していた。

熱帯の様に蒸し暑く木々が所狭しと生え

薄暗く泥濘んだ地面に足を取られた戦場。

至る所に人間の命を刈り取る罠が仕掛けられ

悪戦苦闘したものだ。


此処の深淵の森は、その戦場に地形が似ている。


スッ…スッ…と音も無く森を歩いているボス。

枯葉や枯れ枝が地面を覆い尽くしているにも

関わらず殆ど無音に近い足取りで歩く。

ボスの様に様々な戦場から生き残って来た者達が

出来る芸当なのだ。

そんなボスが、ある場所で立ち止まり折れた枝と

地面に残っている足跡に眼をやる。


折れた箇所が、まだ乾ききっていない。

通過して5分程度か…折れた枝の高さからして

身長168…いや169cm。

地面の沈み具合からして鎧を着込んでいるな。

まぁ、レスタ辺りだろう。

全く、こんなに痕跡を残しやがって。


ボスが辺りを見回すと所処に誰が通過したか

解るような痕跡がチラホラ見える。


山の戦闘は完全に素人だな。

石鹸の残り香まで残してるし足運びが全くなっていない。

そもそも、こんな熱帯の森で鎧なんて通気性の悪い物を

着込んで入る事態で素人丸出しだがな。

刃物の許可は出しているが木々が生い茂っている場所で

長物の剣なんて装備して何がしてぇんだ?あの間抜け共。


ボスは眉間にシワを寄せ溜息を付く。


「さっさと終わらせるか」


殆ど無音に近い状態で険しい森の地形を走る。

視界が悪い森などで追跡する場合は視界だけで無く

五感をフルに使用する必要がある。

自分が、何を触り何を踏んでいるか。

木々や葉の音が風で靡いている音か人為的な音か。

森や山で不自然な匂いがしないか等、とにかく

感覚を研ぎ澄ませながら追跡する。

生き死にが有る戦場では基本だと思っている。

それ以外で何か有るかと言われれば腐る程有るが…。

俺なら最終的に、こう言うな。


訓練と実戦の繰り返し、そして経験だ。


訓練と実戦は当然の事だが経験と言うのは、

どんな事でも人生の宝だと思った方が良い。

戦場では、それが生き死にに直結するからな。

熱帯雨林での戦場も乾燥地帯や都市型の戦闘でも

様々な経験をして、それを繰り返し今の俺がある。


おっと…今は、こんな話どうでも良いな。

此処からは俺が仕掛けたトラップが有る場所だ。

あの騎士の連中が入った痕跡があるな。

あいつ等、何も探らずに入って行きやがったな…。

なら、そろそろ…。


「うわあぁぁぁぁぁぁぁぁ」


「きゃあぁぁぁぁああああ」


はい。一丁上がりだ。

今の声は、キャスって餓鬼と小生意気なウィルって餓鬼か。

あいつ等、散々言ってた割にアッサリ罠に引っかかってるし

叫び声まで上げやがって。

全く駄目だな。ハッキリ言って論外だ。

叫び声なんて上げたら自分の位置を敵に親切丁寧に

教えている様なものだからな。


だが…誰でも最初はこんな感じだ。

俺も新兵の頃は散々、教官に言われたよ。

【戦場では口を閉じて死ね!開く時は敵の情報を言って死ね!】

マジで俺の教官は、こんな感じだったねぇ。


さぁて、見えて来たぞ。

ははっ!両足が縛られて吊るされてるな。


「ウィル!キャス!早く蔦を切るんだ!」


「くっ!クソ!木が邪魔で上手く剣が抜けない!?」


「ウィル姉様!直ぐに助けます!こんな蔦ちぎってやる!」


ブチブチッと力任せに蔦を引き千切りキャスは地面に

着地した。その瞬間…。


「きゃあああ!!?」


地面が、いきなり陥没しキャスは、そのまま落下する。


「キャス!大丈夫か!?」


「だ、大丈夫ですぅ~…レスタ副団長~」


レスタはキャスの無事を確認するとホッと胸を

撫で下ろす。が、それも束の間でリヒトが異変に気付く。


「…ウィンザーとセシルが居ない…」


先程まで居たウィンザーとセシルが居ない事に

気付くとリヒトとレスタは剣を抜き辺りの鼻と耳で気配を

探っている。


ほー、パニックにならずに直ぐに臨戦体制を

取るとは中々だな。まぁ、国の最高戦力なんて

言われているんだ、このぐらいは当然か。


「…ッ…ムッ…グゥ…ムグッ」


苦しそうに声を上げようとするウィンザー。

今、現在ウィンザーとセシルはボスと共に土の中に居る。

罠に掛かった連中に一瞬だけ気を取られた瞬間に

自分から近かったウィンザーとセシルを土の中に

引きずり込んだのだ。

勿論、声等一切出させずに。

これが実戦だったら首を折られているか切り裂かれているか

どちらかだ。どちらにせよ死んで居ただろう。


「少し寝てろ」


そう言うとウィンザーの頚動脈を一気に締め上げ気絶させる。

ボス程の手練になると頚動脈を絞めて気絶させる事なんて

朝飯前だ。3秒も掛からない。

セシルは引き摺り込む時に受身を取れない状態で

引き摺り込んだので後頭部を強打し既に意識は無い。


「駄目だね…2人共何処にも居ないよ。既に捕縛

 されたと見るね」


グレイは引き攣った笑みを浮かべる。


「我々の鼻を誤魔化すとはな…」


リヒトは苦々しい顔をし周囲の気配を探る。

獣人の嗅覚は人間の何百倍もある。が…

ボスは身体に泥や草木で匂いを消しているだけでなく

周囲に嗅覚を狂わせる為に若木等を燻しているのだ。

これにより、余計な匂いで獣人の嗅覚は鈍るだけで無く

煙幕の効果も出てくる。


獣人は人間離れした身体能力をもっている。

しかし、その優位性を逆手に取れば人間でも容易に

倒す事が可能だ。

勝つ為には、まず己の弱点と未熟を知る事。

でなければ、戦場経験豊富なボスに勝てる等、

夢のまた夢である。


さぁて、フィナーレと行くか。


ボスは自分の近くに有るワイヤーを指で弾く。


バシュシュシュシュシュシュシュ!!!


ワイヤーを弾いた瞬間、無数の矢がリヒト達に襲い掛かる。

しかも、前後左右からである。


「グッ!!?」


リヒト、レスタ、グレイは無数の矢を躱し弾き落として

行くが兎に角数が尋常では無い。

訓練の為に先端が丸められている矢だが高速で

飛んでくる矢に当たれば当然痛みを伴うし動きも鈍る。

リヒトは一発も当たる事無く避けているが既にレスタと

グレイは数発当たり苦悶の表情を浮かべている。


ほぉ…リヒトだけは、別格だな。

山での身のこなし方が慣れて来ている。

だが、まだまだ終わりじゃねぇぞ。


ピンッ!


グレイが矢に気を取られていると足元にあった

眼に見えない程細いワイヤーに引っかかる。

その瞬間、地中から無数の木の棒が突き出しグレイの

腹部を強打した。


「グフッ!?」


「グレイ!!」


突き上げられ蹲るグレイを助け出そうとレスタが

不用意に近づこうとするが、急にレスタの動きが止まる。

いや、正確には動けないのだ。

まるで、もの凄い力で足を掴まれている様な…。


「くそっ!?一体、何なのだ!?」


不意に自分の足を見ると、そこには地中から出ている手が

自分の足を掴んでいる光景に驚愕する。


「なっ!?えっ?きゃあああああああ!!」


レスタは、そのまま地面に引き摺り込まれ姿が

見えなくなった。


「レスタ!無事か!?返事をしろ!!」


リヒトは声を荒げ安否を確認するが当然、返事は無い。

その代わり別の声がリヒトの後ろから聞こえ直ぐに

距離を取ると、そこにはボスが立っていた。


「もう、お前しか残って無いぞ」


「……これが、貴様達の本来の戦い方か?」


「そうだな、これが俺達の戦争だ。お前達じゃあ勝てんよ」


ボスの言葉に愛剣を握る手に力が入る。


「だが、迂闊では無いか?わざわざ私に姿を見せるなど。

 貴様なら姿を見せずに私を捕縛出来ただろう?」


「そうだな。わざわざ見せる必要も無いが……

 お前は、もうチェックメイトだからな」


ボスが、そう言葉を発した瞬間、ガンッ!!と言う音と共に

リヒトが身に付けていた頭部の甲冑に衝撃が走る。


「ッッ!?」


ガランッガラン!と甲冑が地面に転がる。


「ガストラの狙撃だ。俺だけに気を取られてたなぁ。

 これが実戦なら死んでるぞ」


そう。凡そ300m離れた距離からガストラは狙撃の機会を

伺っていたのだ。

しかも姿を完全に隠す為に魔道具で有る【タルンカッペ】と言う

姿を消す事が出来る物まで身に付けて。


「ぐぅ…貴様達は武器は使用しないと言ったでは無いか!?」


「戦場では如何なる情報も疑い万全を期して行動せよ。

 俺が今まで培って来た経験による物だ。

 敵の情報を鵜呑みにしてどうする?」


リヒトは、その言葉を聞き地面に膝を着いた。

戦いで初めて人間に負けた瞬間である。

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