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異世界ブローカー  作者: 伍頭眼
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バルダットファミリー「惨状」

取引現場に到着した。

場所は、バルドさんが仕切っていた居酒屋だ。

既に、入口付近では野次馬共が群がっているが、

スラムで野次馬が集まるなんて稀だ。

犯罪が日常茶飯事のアテゴレ地区の住人達は

ちょっとやそっとでは驚かない。

なのに、これだけの奴らが集まってるなんて

一体、中は、どんな状況になってんだ?


「行くぞ。」


「は、はい。」


扉を開けた瞬間、強烈な血の匂いが鼻を刺激する。

そして…絶句した。

辺り一面が血の海になっており、仲間の死体が

散乱している。


「うぅ…!」


ヤバイ!吐きそうだ!何とか、両手で口を抑えて耐えるが、

既に、後ろの仲間は何人か吐いている。

ここは、まるで地獄だ。


「…兄貴……」


小さく呟いたシバァの兄貴が見ている方角を見る。

そこには、バルドさんが居た…無残な姿で。


「………。」


シバァの兄貴は、バルドさんの前に、しゃがみ

一言も発しない。

ただ、強く握った拳からはポタリッポタリッと血が

滴り落ちている。


「シバァの兄貴……。」


仲間の死は、何度も見てきた。だが、実の兄を失った

シバァの兄貴に掛ける言葉が見つからねぇ。


「シバァの兄貴…自分達は仲間の死体を運び

 出します。

 シバァの兄貴は…。」


「もう少し、二人で居させてくれ。」


「解りました…。」


無粋な事を言ったと反省しつつ、仲間の死体を外に運び

出す。

その時、仲間の傷跡に疑問を持った。


「何だ…?この傷跡…?」


よく見れば、死体には殆ど切り傷が無い。

身体中、小さな穴が無数に開いているし頭が

弾け飛んでいる。

剣を使った戦いでは、こんな傷はつかないぞ…こいつ等は

何に殺られたんだ?

ランスで貫かれたのかと思ったが、それなら前後の

傷が綺麗な突き傷になっている筈だが、

この死体達…正面は綺麗な傷だが背中部分を見ると

弾けたように穴がデカくなってやがる。

考えれば考えるほど解らない…シバァの兄貴なら何か

解るかも知れないな。いや…まずは、目撃者を…。


「ルイス、こいつ等を殺った連中を見た奴が

 居たぞ。」


シバァの兄貴がバルドさんを背負い店から出て来た。

その隣には、ガタガタと震えている男がいる、店から

出てきたって事は、生き残りだろう。


「いつまで震えてる?早く言え!」


男は、震えながら見た事を説明したが、あまりにも

信じられない内容だった。


ガルと言う獣人の事。


人間の四人組がバルドさん達を一瞬で殺した事。


火と激しい音が出る武器の事。


最初は、ふざけた内容だと思ったが、あまりにも

男が恐怖で震えているので嘘…では無いのか。


「…シバァの兄貴、この話、本当でしょうか?」


「嘘を言っているようには、みえんな。」


「ですが、人間にバルドさん達を殺るなんて

 信じられませんよ!!」


バルドさんに勝つ人間なんて想像もつかない。


「信じるか信じないかは、会えば解る。」


「確かに…。」


「この地区をしらみ潰しに探せ!なんなら賞金も賭けろ。

 売春街・孤児院・闇市・安宿、徹底的にだ!!

 見つけたら殺さず連れてこい!!」


「は、はい!!」


俺達のファミリーに喧嘩を売った事を必ず後悔

させてやる。

そう強く思い、ルイス達は走り出した。



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