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異世界ブローカー  作者: 伍頭眼
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バベルの世界

ファルシア大国。


古くから、獣人や亜人が住み魔法が

生きる世界。

そして……人間達の地位は、

失われ奴隷として生きる世界。


ここ、ファルシア大国は、

様々な種族で溢れている。

巨大な巨木が生え、その巨木を覆う巨大な岩に

囲まれ壁のようになり、まるで自然の要塞の

ようなこの国は自然と調和し、

皆、人生を謳歌している。


だが、それは獣人や亜人達の話しだ。


他の小国に比べれば治安も良いし、

街に活気がある。

しかし、どんなに治安が良いと言っても

必ず歪みが生まれるのは当然だろう。


特に、大国内のアテゴレ地区。

ここは、最悪だ。表の職業…

つまり堅気の仕事をしてる奴は

絶対に近づかない。

アテゴレ地区の住人は全員悪人だ。

殺しに、盗み、違法鉱石の発掘に、

売春、何でも御座れさ。

その中で、一番人気がある裏の仕事…

それは、人身売買だ。


ガル・フェルナンデス


俺は、そんなクソみてぇな地区で

人身売買の仕事をしてる。

銀髪の長い髪をあげて膝下まである

長い上着をボタンを

閉めずに肌を露出しながら闊歩する。

因みに、自分で言うのも何だか美形だ。

そんなんだから仕事上舐められたりするが

絶対に引かねぇ。

舐めた態度の奴は、ボコボコにする!

そのぐらいの気迫が無いとアテゴレでは

生きて行けない。

そのお陰で一目置かれるようになったし、

仕事もスムーズに捗るようになった。


一応言っとくが、俺たちの世界には

2通りの売買が存在する。

1つは、さっきも言ったが人身売買だ。

これは読んで字の如く、

人間を売る仕事で俺たちの国では、

合法で違法じゃない。

人間なんて下等種族に情けを

掛ける住人なんて居ない。

俺たちの世界じゃ昔から人間は

下等種族だ。


何でも何千年も前に神に挑み、

返り討ちにあって呪いを

掛けられたって昔話をガキの頃に聞いた。

だが、そんな話に興味も無いし、どーでもいい。

人間が商品で、俺は売る…それだけだ。


2つ目は、獣身売買。

これは、人間以外の種族を

売買する事だが、違法だ。

しかも、重罪で捕まれば確実に

死罪を言い渡される程、

愚かな行為だ。

アテゴレの住人は、悪人の集まりだが、

これだけは絶対にしない暗黙の掟がある。

馬鹿で、どーしようもない奴らの集まりだが、

皆己の種族に誇りを持っている。

だから絶対にしない……と俺は信じてる。


まっ、2つ目の売買は俺には無縁だ。

それに、人身売買でも結構な額を

稼ぐことが出来るし俺には、

大口の客が居るからな。


酒の匂いとラムの焼ける良い匂いが充満し、

喧嘩や違法賭博が横行する居酒屋『バルダッド』

この居酒屋の主のバルドと呼ばれる体格の

良い狼族の獣人が上客だ。

当然、ただの居酒屋店主では無い。この男は、

バルダットファミリーの頭領で

売春や違法採掘・武器の

密売を取り仕切っている奴で、

俺と取引している上客だ。


この男に近づくのは中々苦労したが、

まぁ、その分見返りもあったから良しとしようか。


バルドは、いつもの席でエールを

浴びる程飲んでいる、

取引の時は、いつもこんな感じで酔っ払って

いるが今日に限っては酔っていなかった。


「珍しいな、アンタが酔わないなんて

 …何かあったのか?」

 ラム酒を、少し飲みバルドに聞いた。


「参ってんだよ、前に買った人間共を調教したらよ、

 殆ど死んじまった。

 ほんの少し…ほんの少しだぜ!

 客のニーズに合わせてキツイ事させちまったら

 あっという間に逝っちまった!!」


ガンッと勢いよく酒を飲み干した

コップを壁に投げつける。


「人間ってのは弱すぎる!

 全く堪んねぇぜ!!そこで、ガルよ

 相談なんだか、今回の取引…

 少し安く出来ねぇか?」


睨み付けるように、俺の顔を見る。

成る程…そー言う事か、

要は値段を落とせって事だ。

自分の調教の仕方で死んだのに、

全て棚に上げて俺に圧力を掛け値引き交渉か。


「……いくらが、良いんだ?」


腕を組みながら、バルドを見据える。


「半額は、どうだ?」


口元を釣り上げながら放った言葉に

目眩がしそうになった。


「半額!?冗談じゃない!

 いくら何でも安すぎだ!」


商売相手じゃなかったら2、3発

ぶん殴ってる所だ。


「無理か?」


眉間にシワを寄せ、さっきよりも

鋭い眼光で睨みつける。


「無理だ!こいつ等にも色々経費が

 掛かってるんだ。

 その値段じゃ完全に赤字なんだよ。」


今回の取引で売る人間は、4人。

たった4人でも、当然経費が掛かる。

小屋代・移動に使う馬車代・死なない程度に

食わせる食事代他にも金が掛かってる。

それなのに、この男は知ってか知らずか

半額なんてぬかしやがる、冗談じゃない。


「バルドさん、あんたとは何度か

 取引してるから多少の値引きは良い。

 だが、半額は、あんまりだ!」


ここで半額を受けたら、これからも

つけ込まれる…絶対にだ!!

交渉相手は、肉屋の主人じゃない。

アテゴレ地区で裏商売をしてる悪人だ。

一度でも弱みを見せたら丸ごと食われちまう。


「それに、アンタのファミリーは資金が潤沢だろ?

 半額なんておかしいじゃないか。」


いつの間にか煩かった店内が静寂に包まれ

険悪なムードになっている。

バルドの取り巻き達も睨みをきかせるが、

俺も折れるつもりは無い。

俺だって、6年のキャリアとプライドがあるからだ。


そんな険悪の雰囲気が数十秒続いた時、

不意に居酒屋のドアが開いた…。



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