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ひ・と・り・ご・と(お題:謎の恨み)
その場所に行くと二度と帰ってはこられなくという。
田舎の田舎の更に田舎の奥の奥の山の祠にまつわる謎。
村人は誰も彼もそこには近寄らない。
山に続く道は荒れ果て、山火事が発生しても見知らぬふり。
どうせ誰も入らないのだから。
なぜ戻ってこられないのだろう。
理由は誰にもわからない。
立ち入ったら帰れない。その事実があるだけだから。
あるとき、その謎を知ろうと一人の若者が山の祠を目指した。
そしてやっぱり帰ってこなかった。
謎は謎のまま。
誰も謎を知ろうとはしない。謎も知ってもらおうとは思わない。
どうせ誰もわかってくれない。
謎は謎であるから謎なのに。
みんな謎を除け者にしやがって。
謎の恨みが晴れることはない。
だって謎だから。
文字数:353字