混沌といえば聞こえは格好いいけど、単にグダグダしてるだけ。
ちょっとだけ、加筆修正させていただきました。
「……と、いうのは冗談だ」
ひいぃぃぃ。
命拾いしたぁ…。
そうだぞ、アルベルトくん。
命、大切。
つーか、冗談なんて言えたんだ。
ちっとも笑えなかったけどな。
お笑いの才能はないみたいだぜ、キミ。
って、また何故睨む?
「どうしたの?アル。怖い顔して。やっぱり殺す?」
ううん。ジルちゃんたらいけずなんだから。
てか、この子怖いな。
しばらくこのネタ引っ張りそうだぞ。うっかり殺されないようにしないとな…。
「いや、そうじゃなくて…」
少し呆れたように肩を下げたアルベルトは、
「こいつ時々、やけに殴りたくなる顔をするんだよな」
言いながら、またまたオレを睨んだ。
「テメーなんかいかがわしいこと考えてねーか?」
はあ?
なんだそれ!?失礼にも程があるぞ!!
こちとら女子と目も合わせられないトゥシャイシャイボーイだっつーのに!!!!
まー考えているけれどもねっ。
だがそれの何が悪い。ふん。
「ほら、その顔だ。アイツはそんな、いかにも品のない、人間らしい表情を浮かべたりしなかった」
だっから、失礼なんだっつーの!!
「ンー、そう言われれば?そんな気もしなくもなくないかも??」
「お前は勇者なら何だっていいんだろーが」
摩訶不思議な言葉を操るジルに、アルベルトは冷ややかな目を向けた。
ジルは可愛らしい顔をカッと赤く染めた。
「そんなことないわよ!中身が勇者様じゃないなら、表情とか、そんなのどうでもいいもの!!
何でもいい、じゃなくて、どうでもいい方の『いい』だもの」
おぉ…。
怒ってる。
怒った顔も可愛いなぁ…。
しかしアレだな。可愛さもここまでくると、むしろ犯罪だな。
俺が警察だったら即逮捕してるところだぜ。
盗んだ俺のハートを返せっ、てな!
「やっぱり今すぐ殺しましょう!?それで、本物の勇者様に帰って来てもらうの!ね?良いでしょう?」
「……その前に一発殴らせろ。なんかまたムカつく顔してるから」
………俺、一体どんな顔してんだろ?
てゆーかアルベルトさん、ただ単に、勇者のことが嫌いなだけなんじゃないのか??
「いいわよ!じゃあ、その後でなら殺していいのね?」
ジルは期待に満ちた目でアルベルトを見た。
もーいい加減そのネタ引っ張るの止めようか?
簡単に言っちゃダメな言葉だよ?ね?幼稚園で習ったよね?ねっ!?
「そうしたいのは山々なんだがな…」
アルベルトはまるでゴキブリでも見るような目で、俺を睨んだ。
「残念ながら、それでリセットできるほど、事は単純じゃねーんだよ」
「?」
ジルはアルベルトを見て、俺を見て、もう一度アルベルトを見て首を傾げた。
「どゆこと?」