ドン引き、ハッ!!
夢だと思いたい。
痛々しい、溜め込んだ欲求不満が噴出しまくりの、ただの夢だと。
でも、夢じゃないみたいなんだなー…コレが。
「勇者様。もう少しお休みになったほうが…目覚めたとは言え、まだ本調子じゃないんですから。あ、やっぱりお水を」
「それはもういい!!」
どんだけ引っ張るんだよ、そのネタ!!
あぁ…いや、ネタじゃないのか…。
本気だとしたら、それはそれでちょっとイヤだなー…。
知ってる?
水も取りすぎると、死んじゃうんだよ?
「ゆ、勇者様…?」
急に大声を出したオレに、美女は怯えたように身を引いた。
てか、ドン引きされてないか?
「あの勇者様が、声を荒らげるなんて…」
な、なんですか?
その恐れおののいたような顔は?
オレ、そんな顔されるようなことしたか?
ちょっと勢い余っちゃっただけだよ??
てかあの勇者様って、どの勇者様だよ!
少なくともそれは、オレじゃねぇッッ!!
「アル!アルベルト!!大変!勇者様がご乱心よー!!!!」
「えっ?ちょっ、まっ…!」
殿中でござる!って、ボケてる場合か!?オレっ!!
「うるせーなぁ…勇者がどーしたっていうんだよ。目が覚めたって報告なら、さっききいたばっかり……誰だ、お前?」
そーいうアナタは誰ですか!!!?
バタバタと走り去った美女の代わりに現れたのは、やたらと目つきの悪い男だった。