本当はアクシデントに弱いです
この世に生を受けて早25年。
これまでに特筆すべきことはない、平々凡々とした日々を送ってきたけど、オレはそれで十分に満足していた。
普通が一番。
この気持ちは、小学生の頃から少しも変わっちゃいない。
なのに……。
ありえねーんだよ!!
なんなんだよ、美女の口移しとか!!!!
嬉しくないとは言わない。
そりゃ嬉しいさ!
嬉しいに決まってるだろーがっ!
なんかいい匂いしたし!
唇メッチャ柔らかかったし!!
けど…けれどなぁ…。
長年の平凡人生で培った、オレの平凡的勘が告げているのだ。
これは異常事態である…と。
……すんません。
ちょっと語りに中二病入っちゃいました……。
でも普通におかしいよね?
目覚めたら美女がいるとか。
オレ、勇者じゃないし。フツーのサラリーマンだし。
あー…やっぱりアレだな。
昨日の酒が抜けてないんだな。
だいぶ飲んだからなー…。そりゃ多少は痛々しい幻覚も見ちゃうってもんだよなっ。
「勇者様?大丈夫ですか?傷が痛むのですか?」
って、や~め~て~よ~!!
せっかく人が飲み過ぎでオチつけようとしてるのに、優しく顔を覗き込まないで!!!!
えー?
なにこれ、ホントに夢とか妄想じゃないのぉ!!?
こーゆーの、マンガとか小説でなら読んだことあるけど、実際自分の身に起こるなんて…。
よりによって、なんで平凡をこよなく愛するこのオレに!?
「あの…すごい汗ですけど…。そうだ、もっとお水を飲みますか?」
いらない!!
お願いだから、これ以上オレを追い詰めないでえぇぇッッ!!!!