目覚めると美女。これって男のロマンじゃね?
あー…だるっ。
体が重い。
ついでに頭も…。
やべ。
昨日の酒が残ってんだな。
あんなに飲まなきゃ良かったぜ。
…って、分かっちゃいるけど、ついつい飲み過ぎちゃうんだよなー…。
ダメな大人だぜ、全く…。
さて、ウダウダしててもしょうがない。
今日も仕事だし、そろそろ起きるか。
って、誰?
重たい目蓋をムリヤリこじ開けると、そこには見知らぬ美女がいた。
艶やかな黒髪。
大きな瞳。
小さな唇は淡いピンク色だ。
やっべえ。
メチャクチャ好みかも!
…あ、いや。
そーゆー場合じゃないな。
えーと?
そうそう。寝ぼけてるんだな。
よし、もう一回目を閉じて…と。
……もういいかな。
今度こそ!
ちゃんと目覚めろ、オレ!!
「良かった、目が覚めたのですね!?勇者様!」
……やっべえぇぇ!!!!
夢じゃねえ!!!!!!
え、えー?
なんなの?なんなの?
この状況!!
勇者様って、まさかオレのことぉッ!?
「勇者様?どうしたのですか?」
やっぱオレかぁぁぁッ!!!!
「傷が痛むのですね?
申し訳ありません、私の回復魔法では、勇者様の傷を完治することができなかったのです…。
傷口を塞いで、治癒力を高めるだけで精一杯で…」
あなたが何を言っているのか、オレにはサッパリ分からないよ。
てか、これはアレだな。
オレの夢じゃなくて、願望。
中二病が悪化して、ついにこんな幻覚を見るようになってしまったんだな。
あはは。
オレ、ちょーヤベー。
これじゃダメな大人じゃなくて、ダメ人間じゃん!!
「勇者様。喉は渇いていませんか?」
うーんー、喉は渇いてるよ。
寝起きだし、飲み過ぎてるしね。
って、あーもー…声を出すのも辛ぇぇ。
「そうですよね。お水を用意してきます。少し待っていて下さいね」
そんなオレの様子から意図を汲み取ったのか、美女は小さく頷いて、一旦オレの視界から消えた。
すぐにまた現れると、
「では……」
手にしていたコップの水を口に含んだ。
そして、ゆっくりと顔を近づけてくる。
あれれれぇ?
これはもしや???まさかの!?くくくく、口移しってやつかあぁぁぁぁ!!?
いやいやいや、ありえないでしょー!
ああっ!
そうこうしてる間にも、美女の顔が近づいてくるぅぅ!!!!
いいのか、オレ!?
てゆーかキミはいいのか!!??