兄貴分との決別…
いきなり上総さんに『誰の下でシノギをかけてる?』と俺は聞かれる。…
兄貴分とは縁を切るように言われる。
得体の知れない悪魔堂の動きと上総さんの鶴の一声…
後藤の真のサクセスがはじまる。
上総商事の社長室で、ソファーに腰掛けただ、ただ呆気に取られていた。
半年前にあの工場に融資したと言ってたぞ。!
この都市整備計画書は、この間首長に渡ったハズだ。
すべてが揃い過ぎてる気がする。
まだ、俺は何にもしてねぇ。なのに、
3000万円なんてとんでも無い金額が俺の懐に入ろうとしている。
おっさんは、秘書に紅茶のお代わりを頼んでいる。
『おい!後藤!』
上総さんに、いきなり声を掛けられた。
『はい!』
俺は飛び上がらんばかりに驚き声が裏返りそうになる。
上総さんは言葉を続けた。
『おめぇは、誰の下についてシノギをかけてる。』
『はい!雄二さんです。有田雄二さんです。』
『こりゃまた、役に立たないクズについてんのか?奴はまだ、チンケなヤミ金で堅気の人に迷惑をかけてんのか。
悪い事は言わねぇ!有田雄二を見限れ!奴はうちから、お払い箱にするからよ』
本当に役に立たないクズ…
それが…俺の兄貴分有田雄二という男だ。上総商事の金融部門から金を借り、担保が無いから月に一割の金利で融資して貰い、その融資して貰った金をパチンコ等で首が回らなくなった奴に、十日で一割の金利で貸し出す。
回収は俺らの仕事だ。大体どうやってパチンコで首が回らなくなった奴から回収するんだ!
回収出来なければ、俺がボコられる。
回収に成功したとしても、上総商事の金融部門に元金は返さず。
全部酒を飲んだり女につぎ込む。
バカの見本の様な男だ。
『後藤!…有田雄二をここに呼べ!
30分以内にここに来るように伝えろ!』
俺は携帯を取り出し、有田雄二さんのアドレスを探して呼び出した。
『おう!俺だ!何の用だ!』
電話に出た雄二さんに
『至急頭の所へ30分以内に顔を出す様にと言うことです。』
この…有田雄二という男は、兎に角時間にルーズだ。
上総さんが、
『奴にはかなりの額を融資してある。
支払い期限は随分と過ぎてる。』
そして、内線電話の受話器を取りボタンを押した。
『有田雄二の借入金額を報告しろ!
そうだ!すぐにだ!スグに書類にして持ってこい。』
ものの数分で書類を持って男が入ってきた。
静かに上総さんに
書類を手渡し
『有田雄二の借入金は200万円程度ですが…金利が金利を生み只今500万円程になっております。』
『返済期限はとうに過ぎてるな。今からここに来るからよ!
キッチリと返させろ
型に嵌めても構わん。』
この上総さんは使える奴には仕事を任せるが。使えない奴は、平気で見捨てる。
もうボチボチ30分を過ぎようとしている。
『タイムアウトだ。後藤様子を見てこい』
『はい』俺は短く
返事をしてソファーから立ち上がり、これから有田雄二の身に起きる事を想像すると足が震えた。
ふと…カモメのおっさんに目をやると。
『契約内容とは関わり有りませんので
私はここでお待ちしております。
あっ紅茶のおかわり』
余程に気に入ったらしい。
思いもしない情報を独自に分析して行く悪魔堂…
ちんけなシノギから足を洗い羽ばたけるのか?