揺れる心
『おい!おっさん。どうやって、俺を
プロデュースするのか少し、教えろや!』
『そうですねぇ、
先ずは、最初の資金を稼が無ければ…』
『しかし…俺は金の稼ぎ方も知らねぇ
況してや、弱者を
いたぶる…なんて…
出来やしねぇ』
おっさんは暫く沈黙した後、話始めた。
『計画というものは、先を見通し、それに関わる可能性を全て織り込んで、たてて行くものです。』
そんな難しい事が出来るものなのか?そこまで先を見通せる…
ものなのか?
『事実…日本の企業等は、25年の遠大な計画に沿って、
世界に進出して来ました。』
話が大き過ぎる…
トヨタやソニーの様な大企業の話を、俺に当て嵌めても
貫目が違い過ぎて
ピンと来ねぇ。
『この世の中の経済の仕組みは、資本が大きければ大きい程、リスクを回避して利潤を上げるものなんです。』
俺にはその資本が無い…
こいつ…俺にどんなリスクを負わせるつもりだ。
『資本が無い方は
大きなリスクを背負う事を、余儀なくされて、
仕掛け時を一つでも間違えると…
奈落の底に真っ逆さまです。一旦、奈落の底へ
落ちてしまうと、
なまなかな事では
這い上がれません…
ですが…
当方と御契約戴けると、そのリスクを背負う心配も御座いません。
全てが私共の計画に沿って物事が進行して行きます。』
全てがだぁ!…
それじゃぁ
神か仏じゃねぇか!
『仏には…そんな力は、有りませんよ』
こいつが…俺の心を読む事に余り、
違和感を感じ無くなっている。